2024.09.09
SDGs達成のため「食品ロス」を減らそう!私たちにできる12の方法を解説
皆さんは、普段の生活で食べ残しが出ないように気を付けていますか?
食べ残しや賞味期限が近いことなどが理由で廃棄される食品のことを食品ロスといい、食べ物が無駄になるだけでなく、実は環境にも大きな影響を及ぼします。
本コラムでは、日本の食品ロスの現状と食品ロスによって起こる問題、そして私たちにもできる対策について解説します。
目次
食品ロスとは?日本の現状について解説
前述の通り、食品ロスとは食べ残しや賞味期限などが理由で廃棄されることにより、本来食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。
食品ロスは食べ残しだけでなく以下のようなものも含まれます。
- 流通・販売の過程で売れ残ったり返品されたりして廃棄された商品
- 規格外として捨てられた農産物
- 野菜や肉・魚などの調理・加工の過程で余分に切り捨てられた部分
日本は食料自給率が低く食料の多くを輸入に頼っているにもかかわらず、年間523万トンもの食品ロスが発生しており、食べ残しや廃棄された食料をごみとして処分するためのエネルギーや費用もかかっています。
このように、日本では大量の食品ロスが発生しており、食料資源だけでなくエネルギーや費用の無駄遣いにもつながっているのが現状です。
食品ロス削減はSDGs目標の何番目のゴール?
SDGsとは「持続可能な開発目標」のことで、人々の生活を向上させながら地球環境を守っていくための世界共通の目標です。
社会、経済、環境の面から17のゴールが設定されており、2030年までの達成が目指されています。
食品ロス削減については、SDGsの12番目のゴール「つくる責任 つかう責任」の中で、「2030年までに世界の食品ロスを半減する」というターゲットが設けられています。
このターゲットを達成するためには、農家から加工業者、流通業者、小売業者、飲食店、そして私たち消費者まで、食品に関わる全ての人の協力が必要です。
SDGsの各目標などについて、以下の記事で詳しく紹介していますのでぜひご覧ください。
SDGsで私たちにできることは?17の目標から小・中・高・大学生向けに解説
最新のデータから見る食品ロスの現状
農林水産省は食品ロスの削減を進めるため、環境省や消費者庁とともに毎年食品ロスの推計量を発表しています。
2023年に公表された2021年度の推計値によると、年間の食品ロス量は523万トンで、前年から1万トン増えました。
内訳を見ると、このうち家庭から出た家庭系食品ロス量は244万トンで前年度より約3万トン減少したものの、食品関連事業者から出た事業系食品ロス量は279万トンと前年より4万トン増えました。
食品ロスの量を国民1人当たりに換算すると、1日約114gで茶碗1杯分に相当します。
年間では約42㎏で、1人当たりの年間の米の消費量に近い量を捨てている計算です。
食品ロスによる3つの現状・問題点
食品ロス削減といっても、そもそも食品ロスは具体的にどのような問題を引き起こすのでしょうか。
私たちの生活に直結する問題もあれば、地球規模で問題視されているものもあります。
食品ロスの主な3つの問題点について、詳しく解説します。
資源の無駄遣い
食品を食べずに廃棄することは、資源の無駄遣いになります。
食べ物そのものが資源であることに加え、食料を生産するためには多くの水や肥料・飼料が必要となるほか、輸送や工場での加工のために燃料などの資源、電気などのエネルギーを消費します。
食料の生産から輸送、加工、販売までの過程でさまざまな資源やエネルギーが使われているため、まだ食べられる食料を廃棄することは多くの資源やエネルギーを無駄にすることになるのです。
また、世界には貧困によって満足に食べ物を手にすることができない人が大勢いる一方で、日本は食料を大量に輸入し、余らせて廃棄しているという不均衡が生じています。
このまま食料資源の無駄遣いと廃棄を続けていると、開発途上国などに食料が行き渡らず、飢餓に苦しむ人たちがさらに増える可能性もあります。
環境への大きな負担
廃棄された食品を焼却処分する際やトラックなどで運搬する際には温室効果ガスである二酸化炭素が排出されるため、食品ロスの増加は地球温暖化など環境への負担を大きくする結果を招きます。
また、廃棄された食品の一部は埋め立て処分されますが、埋め立てられた食品が腐敗すると温室効果ガスであるメタンガスが発生し、やはり地球温暖化の進行につながります。
地球温暖化は石油や石炭などのエネルギー資源に関わる問題だと考えられがちですが、食品ロスも密接に関わっているのです。
家庭における食品ロスは「お金の無駄遣い」になっている可能性もある
食品ロスは大きな社会問題の1つですが、家庭における食品ロスは単純に無駄遣いとなり家計にとって痛手となりえます。
毎日少しずつ食品を無駄にしていると気が付かないかもしれませんが、年間を通して考えると、かなりの無駄遣いになってしまっている可能性があります。
総務省がまとめた2023年の家計調査によると、2人以上の世帯の食料費は月平均8万6554円で、家計支出の約3割を占めます。
このうち、どれくらいの食料を捨ててしまっているか、考えたことはあるでしょうか。
家計の節約のためにも、食品ロスを減らすことは大切です。
食品ロスはなぜ起こるのか
食品ロス削減のためには、食品ロスが発生する原因について理解することが大切です。
食品が捨てられる原因がわかれば、日常の中でも意識してその原因を減らしていける可能性があります。
なぜまだ食べられるのに捨てられてしまうのか、そしてなぜ廃棄される食品が大量に出てしまうのか、その理由を解説します。
食品の消費期限・賞味期限切れ
家庭やスーパー、小売店で多いのが、消費期限や賞味期限を過ぎたことによる食品の廃棄です。
買い過ぎたり、仕入れ過ぎたりして余った商品を食べずに捨ててしまうのが主な原因です。
また、買い物の際に期限までの日数が長い商品を選ぶ消費者が多いと、期限が近くなり売れ残って廃棄される商品が増える可能性があります。
私たちが買い物をする時の意識も、食品ロスの量と無関係ではありません。
3分の1ルールによる廃棄
日本独自の商慣行である「3分の1ルール」も食品ロスの原因になっています。
これは「製造日から賞味期限までの日数の3分の1以内の日程で納品する」「製造日から賞味期限までの日数の3分の2を過ぎたら返品する」という、店などが独自に設けているルールのことです。
もともと、消費者に常に新しい商品を提供するという企業姿勢から始まったとされますが、このルールによってまだ食べられる食品が大量に廃棄されています。
コンビニエンスストアをはじめとした小売店では、商品の陳列方法として賞味期限が近いものほど手前に、新しいものほど奥に並べられることが多くあります。
しかし、多くの消費者は賞味期限を気にするあまり、つい奥にある新しい商品に手を伸ばしてしまいがちです。
その結果、手前にある賞味期限が近い商品は売れ残ってしまい、食品ロスに繋がる可能性があります。
賞味期限が過ぎてしまっても、「安全に食べられる期限」である消費期限を過ぎていなければまだ食べられるということを覚えておくと良いでしょう。
食べ残しが普通の状態になっている可能性がある
家庭や飲食店などで多く発生するのは、やはり「食べ残し」です。
家庭での食べ残しにも、「量を多く作りすぎた」「好き嫌いがある」「残しておこうと思ったが、傷んでしまった」などさまざまな事情があります。
飲食店でも食べ残しが多く、宴会などでは「食事を切らさないように多めに注文する」「とりあえず目に付いたものから注文してしまう」という人もいるでしょうし、家族の外食でも「食べられると思っていたが思ったより量が多かった」といったことがあるでしょう。
また、飲食店における予約の無断キャンセルも食品廃棄の一因です。
そして、私たちの生活の中でこのような食べ残しが当たり前になってしまっていることが、食品ロスが増える大きな原因となっています。
生産量に対して需要が少ないことによる廃棄
食品に限ったことではありませんが、生産量に対して需要が少ないと商品は売れ残ってしまいます。
特に野菜や牛乳などの農畜産物は、需要に合わせて生産量を増やしたり減らしたりすることが困難で、売れ残ってしまうと保存することができず廃棄するしかありません。
また、クリスマスのケーキやお正月のおせち、節分の恵方巻など、季節のイベントに合わせて販売される商品も想定より売れないと大量に廃棄されてしまうことがあります。
【シーン別】SDGsの食品ロス問題について私たちにできる12のこと
さまざまな原因で大量の食品ロスが発生し、資源の無駄遣いや環境問題などを引き起こしていることを見てきましたが、食品ロスを減らすために私たちには具体的に何ができるでしょうか。
今日からできる簡単な対策をシーン別に12個紹介します。
ぜひ、普段の生活に取り入れてみてください。
【買い物編】
- 買い物リストをつくる
- 不要なものは買わない
- 陳列棚の手前から商品を取る
普段の買い物では、必要以上に「買い過ぎない」ことが大切です。
買い過ぎをなくすには、買い物に行く前に冷蔵庫や食品庫などを確認して買い物リストをつくるとよいでしょう。
余裕がないときは、冷蔵庫の中をスマホなどで撮影しておくと冷蔵庫の中の写真をあとで見ることができ、すでにある食材を買ってしまうといった無駄を防げます。
また、スーパーなどの売り場では、できるだけ商品棚の手前にある賞味期限・消費期限が早めの商品を選び、売れ残りが出ないよう協力しましょう。
【家庭編】
- 食べきれる量を作る
- 長期保存できるよう工夫する
家では料理を「作り過ぎない」ように気を付け、食べ残しが出ないようにしましょう。
家族の生活がバラバラだと料理が余ってしまうことがありますが、家族の体調や予定にも配慮しながら、できるだけ量を調節して料理を作ることが大切です。
家族も料理を作ってくれる人に配慮し、自分の予定や食欲の有無などをあらかじめ伝えるとよいでしょう。
食品の保存法も重要で、正しい保存法で傷んだり劣化したりしないようにし、できるだけ早く食べきりましょう。
一度に食べきれない野菜や生ものは、調理したうえで冷凍すると長持ちして、おいしく食べられます。
【学校編】
- 好き嫌いをせずに食べる
- 量が多すぎる場合は最初に減らしておく
学校の給食でも食べ残しの量が問題になっています。
給食の食材の中に苦手なものが入っていたり、体調が悪かったりして、給食を食べられない日もあるでしょう。
できるだけ好き嫌いをせずに食べること、体調が悪いときや食欲がないときはあらかじめ取り分ける量を減らしておくことを心がけて、給食の食べ残しをなくしましょう。
【外食編】
- 食べられる分だけ注文する
- 料理を残さず食べきる
- 数人で食事をする場合は、みんなで分け合う
- 料理の量を選べる店や食品ロス削減に配慮した店を選ぶ
- 持ち帰りOKの店を選ぶ
外食は食べ残しが多くなりがちです。
特に大人数での会食や宴会は、注文し過ぎたり、会話に夢中になって食事がおろそかになったりしてしまうことがあります。
食べられる分だけ注文するよう気を配ったり、互いに分け合ったりして、食べ残しが出ないように気を付けましょう。
また、料理の量を選べたり、食品ロスの削減に取り組んでいる店を選ぶほか、利用する前に持ち帰りが可能かどうかを確認することも大切です。
まとめ
食品ロスは日本だけでなく、世界共通の問題です。
単に「もったいない」「お金の無駄」というだけでなく、資源やエネルギーの無駄遣いや、二酸化炭素排出量の増加にもつながります。
食べ物は私たち一人一人にとってなくてはならないものであり、身近な存在だからこそ、私たちの日々の生活を少し変えるだけで、食品ロスを減らせる可能性があるのです。
このコラムを読んで「もっと食品ロスについて知りたい」「食品ロスを削減するために何かを始めたい」「SDGsについて知りたい」と思った方は、公益財団法人イオン1%クラブのホームページをぜひご覧ください。
子どもたちが取り組むさまざまな環境・社会貢献活動をご紹介しています。
公益財団法人イオン1%クラブについて
公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域発展の貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
公益財団法人イオン1%クラブでは、小学生を中心とし、体験学習から自然や環境に向き合うことができる「イオン チアーズクラブ」も運営しています。
他にも、中学生が環境問題を自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ学校で取り組んでいる環境活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」などさまざまな活動を実施しています。
小学生から高校生まで幅広い年齢の方がさまざまな体験学習を通してSDGsに触れられる活動を多数実施していますので、ぜひ下のURLからご覧ください。