マイクロプラスチックとは?環境問題や人体への影響・対策をわかりやすく徹底解説
環境

2025.12.23

マイクロプラスチックとは?環境問題や人体への影響・対策をわかりやすく徹底解説

マイクロプラスチックとは、5mm以下の微細なプラスチックのことです。環境や人体などへの影響が懸念されており、特に海洋への流出は世界的な問題になっています。

しかし、テレビやSNSなどで言葉は耳にしても、「具体的に何を指すのか」「どのような影響を及ぼすのか」などを正しく理解している方は少ないかもしれません。

本コラムでは、マイクロプラスチックの原因や影響から対策までわかりやすくまとめました。基礎知識を知りたい方や、問題視されている理由を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

マイクロプラスチックとは?定義を簡単に解説

マイクロプラスチックとは、直系5mm以下の微細なプラスチックのことです。プラスチックごみが紫外線や波などの影響により小さくなることや、合成繊維が使用された衣料の洗濯などにより発生します。

現在、マイクロプラスチックは年間数百万トン以上が海洋に流出していると見積もられており、生物や生態系、生活環境などへの影響が懸念されています。

微細なマイクロプラスチックは、海洋をはじめ自然界に流出すると回収が困難です。そのため、発生や流出を防ぐ、代替素材を普及させるなどの対策が重要とされています。

マイクロプラスチックは2種類に分けられる

マイクロプラスチックは、一次マイクロプラスチックと二次マイクロプラスチックの2種類に分けられ、定義や自然界に流出する原因が異なります。

現在、日本の海岸では一次マイクロプラスチックよりも二次マイクロプラスチックが多いため、特に後者が問題視されています。

ここでは、一次マイクロプラスチックと二次マイクロプラスチックの定義や、自然界に流出する原因を解説します。

一次マイクロプラスチックの定義

一次マイクロプラスチックとは、洗顔料・歯磨き粉のスクラブ剤に利用されるマイクロビーズや、プラスチック製のモノをつくる際に原料となる樹脂ペレットなど、5mm以下の状態で製造されるプラスチックのことです。

例えば歯磨き粉を使ったあとは、多くの方がそのまま洗い流すでしょう。その場合、家庭の排水溝から下水処理施設を通り抜けて、川や海にマイクロプラスチックが放出されます。

一次マイクロプラスチックは、一度流出すると回収できないのが難点です。

日本では、マイクロビーズの代替になる素材の開発をはじめ、「そもそも一次マイクロプラスチックを使わない」ための努力が積極的に行われています。

二次マイクロプラスチックの定義

二次マイクロプラスチックとは、元々は比較的大きなプラスチック製品だったものが、紫外線や物理的衝撃で劣化・破砕されて5mm以下になったものです。

二次マイクロプラスチックが発生する主な原因は、ペットボトルやビニール袋などのプラスチック製品のポイ捨てです。

二次マイクロプラスチックは、ポイ捨てをしないのはもちろん、プラスチックごみそのものを削減するなど、マイクロ化する前の大きなプラスチック製品の状態で対策を行うことにより発生を抑えられます。

マイクロプラスチックがもたらす問題とは?環境や人体への影響を解説

マイクロプラスチックが及ぼす環境や人体への影響は研究途中であり、明らかではありません。しかし、海洋生物や人体などへのさまざまな影響が懸念されているほか、経済にも影響を及ぼす恐れがあるといわれています。

ここでは、マイクロプラスチックがもたらす可能性のある問題について、さまざまな視点からわかりやすく解説します。

海の生態系への影響

マイクロプラスチックがもたらす海の生態系への影響は、すでに甚大であり、このままではさらに悪化していくともいわれています。

例えば、サンゴと植物プランクトンの褐虫藻(かっちゅうそう)は、サンゴが排出する二酸化炭素と太陽の光で褐虫藻が光合成を行って有機物を作り出し、サンゴがそれを栄養とする、という共生関係にあります。

しかし、マイクロプラスチックを摂取したサンゴ礁のいる海域を調査したところ、褐虫藻の数が減っていることがわかりました。褐虫藻が減ることは、有機物すなわちサンゴの栄養も減るということであり、その生育に悪影響を与えることにつながります。

このようにマイクロプラスチックは、海の生態系にリスクをもたらしているのです。

人体への影響の懸念

マイクロプラスチックは、摂取から1日程度で便としてすぐに排出されるため、人体に影響は出ないのではないか、と推察されています。

しかし、「体内に存在する時間が短い=マイクロプラスチックの成分が一切吸収されない」ということは、まだ証明されていません。

万が一、吸収される場合には、肺の組織に悪影響を与える可能性が示唆されています。

経済への影響の懸念

マイクロプラスチックをはじめとした海洋に流出したプラスチックごみは、環境・健康だけでなく、経済的にも大きな損失をもたらすといわれています。観光地の景観損失、清掃コストの増大、漁業資源の減少が主因です。

例えば、美しい海岸線がプラスチックごみで汚染されれば景観が損なわれて観光客が減少します。ごみの多さに比例して、清掃コストも増えるでしょう。

漁業資源の減少に関しては、前述したとおり海の生態系に影響を与えるためです。

日本と世界のマイクロプラスチック対策の動向

マイクロプラスチックを含む海洋プラスチックごみの問題は、国連をはじめとするさまざまな国際会議において重要かつ早急に解決すべき課題として挙げられており、国際規模で対策が進められています。

ここでは、日本を含む世界のプラスチック対策の動向を解説します。

国際プラスチック条約策定への取り組み

年々、深刻化するプラスチック汚染に歯止めをかけるため、「国際プラスチック条約」を定めるための取り組みが国連を中心とした世界規模で行われています。

当初は「2024年末までに条約の策定完了」が目標に掲げられており、実際、2024年に開催された第5回政府間交渉委員会 (INC-5)では、「これが最後の交渉の場となる」と想定されていました。

しかし、議論はまとまらないまま第5回政府間交渉委員会 (INC-5)は終わり、2025年に持ち越すこととなりました。

なお、日本国内としては、WWFジャパンを筆頭に国際プラスチック条約策定に向けて積極的な動きが見られます。

2023年11月には、WWFジャパンを事務局とする「国際プラスチック条約 企業連合(日本)」が発足し、プラスチック製品のライフサイクル全体に関わる国内企業10社が参加しました。

国際プラスチック条約企業連合(日本)は、日本政府に対しても条約交渉で積極的なリーダーシップを発揮するよう声明を出しています。

SDGs(目標12・14)による世界への呼びかけ

SDGsの目標12と14は、プラスチック対策と深く関係しています。

  • 目標12「つくる責任 つかう責任」:持続可能な生産と消費を推進し、資源の効率的使用と廃棄物削減が目標
  • 目標14「海の豊かさを守ろう」:海洋生態系の保護と海洋汚染の削減が目標

「目標12:つくる責任 つかう責任」では、生産者と消費者の両方に対して、地球の環境や人々の健康を守ることを意識した責任のある行動を取ることを呼びかけています。

例えば、マイクロプラスチックの流出を避けるための企業努力や、地球に優しいモノ選びおよびゴミの正しい捨て方などの取り組みはこちらに含まれるでしょう。

「目標14:海の豊かさを守ろう」では、海と海の資源を守ることを呼びかけており、そのなかには当然、海に流出するゴミの汚染を防ぐことも含まれています。

※ 2030年までに持続可能でより良い世界を目指すための国際目標のこと。全17の目標が設けられている。

日常でできるマイクロプラスチックの対策

マイクロプラスチックを減らすためには、発生自体を抑制することと流出を防ぐことが重要です。

企業や政府の対策も必要ですが、私たち一人ひとりが日常生活でできる小さな行動の積み重ねが大きな効果を生みます。

私たちがすぐに取り組めるマイクロプラスチック対策の例は、次のとおりです。

  • 細かい網目(0.05mm)の洗濯ネットを使用し、洗濯表示に従って洗濯をすることで合成繊維の流出を防ぐ
  • ごみは所定の場所に捨て、ポイ捨てや不法投棄をしない
  • マイバッグやマイボトルを持参して、レジ袋やペットボトルなどのごみを減らす
  • シャンプー・洗剤などは詰め替え用を購入してボトルを再利用する

いずれも、日常のなかでできることです。普段からマイクロプラスチックの発生・流出防止を意識し、できることから取り組みましょう。

マイクロプラスチックの流出をはじめ、海洋汚染に対し私たちができることについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

海洋汚染に立ち向かうために私たちにできることとは?具体的な対策を7つ紹介

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。

イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。

体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。

「楽しみながら環境や社会について学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

「イオン チアーズクラブ」で開催された活動

ここでは、イオン チアーズクラブでこれまでに実施してきた活動内容の一部をご紹介します。

九十九里浜ビーチクリーンの活動

九十九里浜で開催されたイベント「千葉県誕生150周年九十九里ビーチクリーン」に、千葉県内のイオン チアーズクラブから計64名のメンバーが参加しました。

メンバーたちはマイクロプラスチックや発泡スチロールなど、多くのごみを拾い集めて、海岸をきれいにしていきました。

この他にも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。

イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。

子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!

まとめ

本コラムでは、「マイクロプラスチップとは何か」をよく理解できるように、原因や影響について特に詳しく解説しました。

マイクロプラスチックは直系5mm以下の微細なプラスチックで、私たちの身近にあるモノにもよく含まれています。非常に小さいため一度流出すると回収が難しいことから、流出を防ぐ努力が求められています。

マイクロプラスチック削減のためには、世界規模や日本規模での取り組みのほか、個人での取り組みもとても重要です。

未来の地球を守るためにも、本コラム内で紹介した日常でできるプラスチック対策も参考に、日常生活のなかで自身にできることから一つずつ始めてみましょう。

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。

また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

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