バイオマス発電とは何?仕組みからメリット・デメリットまでわかりやすく解説
環境

2026.01.15

バイオマス発電とは何?仕組みからメリット・デメリットまでわかりやすく解説

バイオマス発電とは、風力発電や太陽光発電と並ぶクリーンなエネルギーとして期待されている方法です。

近年、再生可能エネルギーへの関心が高まるなか、「バイオマス発電」という言葉を耳にする機会が増えたという方も多いのではないでしょうか。一方で、具体的にどのような仕組みで、本当に環境に良いのか疑問に思う方もいるかもしれません。

本コラムでは、バイオマス発電とは何かという基本的な定義から、燃料の種類、発電の3つの仕組みまでをわかりやすく解説します。

バイオマス発電とは?概要をわかりやすく解説

バイオマス発電は、風力発電や太陽光発電と並んで注目されている再生可能エネルギーの一種です。特徴は、暮らしや産業活動から生まれる廃棄物の一部を有効活用できることです。

そもそもバイオマス発電はどのように定義されていて、具体的に何を使って電気を生み出すのでしょうか。まずは定義から詳しく見ていきましょう。

「有機性のエネルギー資源」を使う方式がバイオマス発電

バイオマス発電の「バイオマス」とは、「再生可能な、生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの」と定義されています。具体的には、木材、わら、家畜の排泄物などのことです。石油や石炭など、一度使うとなくなる化石燃料は含みません。

石油や石炭などの資源は、採掘すれば枯渇してしまいます。一方で、バイオマスは、動物や植物などが育つ環境さえあれば、持続的に生まれる資源です。

バイオマス発電とは簡単にいうと、このバイオマスを活用する発電方法です。木材や食品廃棄物といったバイオマスを直に燃やしたり、発酵させてガス化したりして発電します。

発電に使えるバイオマス燃料の種類

バイオマス発電に使われるバイオマス燃料にはさまざまな種類があります。正式に決められた分類はありませんが、一般的に「①廃棄物系バイオマス」「②未利用バイオマス」「③資源作物」の3種類に分けられます。

①廃棄物系バイオマス

廃棄物系バイオマスは、通常はコストをかけてごみとして処分されるものが該当します。

(例)

  • 家畜の排泄物
  • 食品廃棄物
  • 下水の汚泥(おでい)
  • 建設現場から出る廃木材 など

※ 水中の物質が浮いたり沈んだりして泥状になった廃棄物

②未利用バイオマス

未利用バイオマスは、廃棄物には該当しないものの、これまではあまり有効活用されてこなかった資源を指します。

(例)

  • 森林を健全に保つために伐採された木材
  • 農作物の収穫時に発生する食べられない部分(稲わら・もみ殻) など

③資源作物

資源作物のバイオマスとは、食用ではなく、エネルギーを生み出す目的で栽培される植物のことです。

(例)

  • コメ
  • とうもろこし
  • サトウキビ
  • ナタネ など

バイオマス発電の仕組みは3種類

普段は捨ててしまうようなものを使ってエネルギーをつくるバイオマス発電ですが、どのような仕組みが採用されているのでしょうか。

バイオマス発電の仕組みは一つではありません。燃料が持つ水分量や形状などの特性に合わせて、さまざまな方式が開発されています。

ここで、代表的なバイオマス発電方式の仕組みと特徴を詳しく見ていきましょう。

①直接燃焼方式

直接燃焼方式では、まず燃料をボイラーで直接燃やし、その熱で水を沸騰させて高温・高圧の蒸気をつくります。その蒸気の力でタービンを回転させ、発電機を動かして電気を生み出すというメカニズムです。

直接燃焼方式は、一般的な火力発電と基本的に同じ構造で、古くから確立された技術でもあるため、発電方式としては一般的です。ここで使う燃料には、森林などを伐採したときに出た木材や、製材の端材といった木由来のバイオマスが向いています。

直接燃焼方式のメリットは、既存の火力発電所にもバイオマス発電を取り入れられることです。一方で、燃料に含まれる水分が多いと、燃焼効率が低下するのは難点です。資源を乾燥させる工程が発生し、そのためのエネルギーが別途必要になります。

②熱分解ガス化方式

熱分解ガス化方式とは、バイオマスをガスにする装置(ガス化炉)に投入して高温下で処理し、このときに発生する可燃性ガスを使って発電する方式です。

生成される可燃性ガスの種類は条件によって異なりますが、水素や一酸化炭素、メタンなどが中心となっています。

熱分解ガス化方式に用いられるバイオマスは乾燥したものが適しており、木や植物由来のものや紙ごみなどがこれに当てはまります。

熱分解ガス化方式のメリットは発電効率の高さです。先に紹介した直接燃焼方式よりも、効率よく電気に変換できるのです。

一方で、運転効率を下げるタールが生成されやすいという課題もあります。

③生物化学的ガス化方式

生物化学的ガス化方式とは、熱を使わずに微生物の働きを利用して、バイオマスを分解しガスを発生させる方法です。このガスを燃料として、発電します。

生物化学的ガス化方式には、「メタン発酵」と呼ばれる技術が使われています。酸素のない状態でメタン菌などの微生物が有機物を分解し、メタンガスと二酸化炭素を主成分とするバイオガスを生成する技術です。

メタン発酵の場合、主に使われるバイオマス燃料は、食品系の廃棄物や下水に溜まる汚泥、家畜の排泄物などです。

これらのバイオマスは水分が多く、直接燃焼方式や熱分解ガス化方式では使用が難しいのですが、メタン発酵を使えば燃料として使用できます。発電効率が高いのもメリットです。

ただし、バイオガスは爆発・火災や人体への悪影響リスクが高いのが難点です。徹底管理をするための各種設備が必要になるほか、厳重な取り扱いが必要になるため、導入難易度が比較的高めでもあります。

バイオマス発電の4つのメリット

バイオマス発電は、他の再生可能エネルギーと同じく、地球環境へ貢献し、暮らしや社会の安定にとって重要な役割を果たす可能性を秘めています。

それでは、バイオマス発電は、環境や社会にどのような影響を与えてくれるのでしょうか。代表的な4つのメリットを具体的に掘り下げ、一つひとつわかりやすく解説します。

①カーボンニュートラルな発電方法である

バイオマス発電の大きなメリットは、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を大気中に増やさない「カーボンニュートラル」という考え方に基づいている点です。

バイオマス発電であっても電力をつくるときには、二酸化炭素が発生しますが、植物はこの二酸化炭素を光合成のために吸収します。

バイオマス発電における燃料もまた植物由来のため、「植物を使って発電⇒発生した二酸化炭素で植物が育つ⇒その植物でまた発電……」というように循環します。家畜の排泄物のような動物由来のバイオマスも同様で、もととなる飼料は植物です。

このような過程を踏まえ、植物が吸収する二酸化炭素量から燃焼時に排出される量を差し引けば、大気中の二酸化炭素はほとんど増加しないと考えられます。これが二酸化炭素の排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」という考え方です。

この考え方に基づき、資源を循環させながらエネルギーを生み出すバイオマス発電は、持続可能な社会を実現する上で重要な役割を担う発電方法として期待されています。

カーボンニュートラルについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

カーボンニュートラルの意味とは?未来の地球のために私たちができる取り組みを解説

②天候に左右されない安定した発電が可能

バイオマス発電がほかの代表的な再生可能エネルギーよりも優れているポイントは、燃料にできる木や食品廃棄物などがあれば、必要なときに燃焼させて計画的に発電が可能な点です。

同じ再生可能エネルギーでも、太陽光発電や風力発電は、天候に発電効率が大きく左右されます。例えば、太陽光発電の場合、快晴の昼間には大量に発電できても、曇りや雨が続くと電力供給が不安定になってしまいます。

特に日本は島国であるため、「天候によって電力が不足したから隣国から購入する」といったことができないため、安定性の低さは他国よりもネックです。

だからこそ、バイオマス発電のように天候に左右されない方法は、電力の安定供給が求められる現代社会において非常に大きなメリットだといえるでしょう。「必要なときに必要なだけ電気をつくる」という体制をつくりやすいため、電力網全体の安定化にも貢献できるエネルギー源として期待されています。

③廃棄物の有効活用でゴミ削減に貢献

これまで活用されていなかったり費用をかけて廃棄されたりしていたものを、価値ある資源として活用できる点もバイオマス発電のメリットです。

例えば、これまではただ処分されていた産業廃棄物や、コストの問題で山林に放置されていた間伐材といった未利用資源の活用が期待されています。

具体的には、製材工場から出る木の端材、建設現場から出る廃木材、下水の汚泥、家畜の排泄物、食品廃棄物などの活用です。

廃棄物を燃料として使うことは、最終処分場の負担を軽減するなどのごみ問題の改善にもつながります。同時に、処分にかかっていたコストを削減できるというメリットもあります。

バイオマス発電は、ごみを廃棄するだけで終わらない「循環型社会」の構築に貢献する可能性を秘めているのです。

④既存の設備を活かして発電所を導入できる

すでに使われている施設を活用して導入できる場合がある点も、バイオマス発電のメリットの一つです。

石炭による発電は直接燃焼方式であり、同様の直接燃焼方式によるバイオマス発電であれば、発電機や蒸気タービンといった主要な設備をそのまま利用できます。

一部設備は改造が必要になりますが、新しい発電所を建設するのに比べれば、初期費用がかかりません。再生可能エネルギーのなかでも、導入ハードルは比較的低いといえるでしょう。

また、既存の火力発電所は一般的に発電効率が高い設備が多いため、バイオマス発電においても高い効率を出しやすいといった傾向にあります。

このように既存の設備を活用して導入できる点は大きなメリットですが、木のバイオマスについては、効率よく燃やすために細かく砕くことが難しいという性質もあり、大量に燃やすことには技術的な課題も残されています。

バイオマス発電の2つのデメリット

環境に負荷をかけないカーボンニュートラルな発電方法として、多くのメリットを持つバイオマス発電ですが、2023年における日本国内の全発電量に占める割合は5.7%にとどまっています。「なぜこれほど優れた発電方法が、なかなか普及しないのだろう」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。

その背景にはコストや効率、燃料確保といったデメリットが存在しています。ここで、バイオマス発電の3つのデメリットをわかりやすく解説します。

①発電コストと燃料の供給に課題がある

バイオマス発電のデメリットであり、普及の大きな壁の一つとなっているのが、他の発電方法に比べて、燃料の収集・運搬・管理のコストが割高である点です。加えて、安定的に燃料を供給することも容易ではありません。

燃料となる木材や家畜排泄物などは、ほとんどが広範囲に分散して存在します。

例えば、間伐材や製材廃材などを森林や工場から調達したり、食品の廃棄物や家畜の排泄物などを分別・収集したりして、発電所まで運ぶ必要があります。このような管理や運搬には、多大な人件費や輸送費がかかってしまうのです。

また、バイオマス発電は継続的な燃料の確保にも課題を抱えています。

例えば、木材由来のバイオマス燃料の場合、運搬効率を考えると、現実的な収集範囲は発電所から半径約50km圏内とされています。このエリア内に木材を安定して調達できる場所を用意できれば良いのですが、森林は簡単に整備できるものではありません。

光や風を直接エネルギーに変える太陽光発電や風力発電とは異なり、燃料の確保から輸送まで人の手が必要となる点は、コスト面・燃料供給面の両方でバイオマス発電の普及を停滞させる一因になっているでしょう。

②発電効率が低い

現時点におけるバイオマス発電の発電効率(投入したエネルギーのうち電気に変換される割合)が、比較的低めであるのは大きな課題です。

燃料となるものや方式によっても異なりますが、木材を使ったバイオマス発電の効率は、20~25%ぐらいだといわれています。

一方で、火力発電や、バイオマス発電と同じ再生可能エネルギーの発電効率は次の通りです。

  • 火力発電:約40~55%
  • 水力発電:約80%
  • 風力発電:約30~40%
  • 太陽光発電:約20%

バイオマス発電の発電効率は、太陽光発電よりも高いといえるものの、火力発電や水力発電、風力発電よりも低いです。

さらに、バイオマス発電の効率を考える際には、先に解説した燃料調達コストについても踏まえる必要があります。

発電効率が同程度の太陽光発電の場合は、燃料調達コストがかかりません。結果、太陽光発電と同程度の発電効率では、バイオマス発電のほうがコストパフォーマンスが劣ります。

このようにバイオマス発電は採算が取りづらく、これもまた導入が進まない理由の一つだと考えられます。

バイオマス発電の課題克服に向けた国内の取り組み

バイオマス発電が抱えるデメリットに対し、国内では課題克服に向けたさまざまな取り組みが進んでいます。

中心的な役割を担っているのが、国が再生可能エネルギーの電気を一定期間、決まった価格で買い取ることを約束するFIT(固定価格買取制度)です。

「自宅にソーラーパネルを設置すると、家庭で使わなかった分を売れる」というような話を聞いたことはないでしょうか。これは、再生可能エネルギーの一つである太陽光発電で作った電気を電力会社が買い取る仕組みがあるためです。国はFITにより、このような取り組みを後押しし、再生可能エネルギーの導入を促進しています。

FIT制度の活用によって、日本ではバイオマス発電の導入が着実に進められてきました。

さらに近年は、次のような取り組みも行われており、バイオマス発電の導入と持続的な運用を後押ししています。

  • 地域内で収集から供給までを一貫して行う体制の構築
  • 発電時に発生する熱を、農業用ハウスの暖房などに利用してエネルギー全体の利用効率を上げる

日本のエネルギー問題と克服に向けた取り組みについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

日本の未来が危ない?エネルギー問題のリアルと解決への道

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。

イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。

体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。

「楽しみながら環境や社会について学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

「イオン チアーズクラブ」で開催された活動

ここでは、イオン チアーズクラブでこれまでに実施してきた活動内容の一部をご紹介します。

環境プラザの見学

イオン札幌発寒店チアーズクラブのメンバーたちは札幌市環境プラザを訪れ、エネルギーに関する学習や施設見学を行いました。

「エネルギーをたどれ!」というタイトルで行われた学習では、普段使っている家電などがどのようなエネルギーで動いているのかを考えました。

学習の最後には、自分たちができる省エネの方法について一人ずつ発表する時間を設けました。

学習のあとは、環境プラザの施設を自由に見学させてもらいましたが、メンバーたちは発電自転車などを体験し、楽しそうな様子でした。

この他にも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。

イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。

子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!

まとめ

カーボンニュートラルの側面を持つバイオマス発電は、廃棄物の有効活用にも貢献する発電方法です。その一方で、燃料の収集・運搬にコストがかかる点や、燃料の安定供給が難しいといった課題も抱えています。

「バイオマス発電が私たちの未来や地球の環境のために、どのように貢献してくれるのか」をまずは考えてみましょう。普段から何気なく使っている電気やガスなどのエネルギーと比較し、違いを意識することが持続可能な社会を実現するための一歩となります。

未来の地球のために何ができるのか、一緒に考えていきましょう。

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。

また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

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