
2025.06.24
カーボンニュートラルの意味とは?未来の地球のために私たちができる取り組みを解説
近年、地球温暖化や異常気象など、気候変動による問題が世界中で深刻化しています。
そのような状況のなかで注目されているのが、「カーボンニュートラル」です。
日本を含む多くの国々が、カーボンニュートラルを達成するためにさまざまな政策や技術開発を進めています。
このコラムでは、カーボンニュートラルの意味や必要性、日本や世界の取り組み、そして私たちにできるアクションについてわかりやすく解説します。
目次
カーボンニュートラルとは?意味や必要とされる理由を解説

「カーボンニュートラル」という言葉をニュースで耳にしたことがある方は、多いのではないでしょうか。
しかし、具体的にどのような意味を持ち、なぜ今これほど注目されているのかまでは、よくわからないという方も少なくありません。
そこで、カーボンニュートラルの基本的な考え方から、地球環境にどのような影響を与えるのかまで、わかりやすく解説します。
カーボンニュートラルとは「温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」ということ
「カーボンニュートラル」とは、温室効果ガス※を出す量と、木や森などが吸収する量を同じにすることで、地球全体で見たときに「実質ゼロ」にするという考え方です。
カーボンニュートラルを目指すとは、具体的にどのようなことをしているのかを分かりやすくするために、身近な「電気(発電)」を例に挙げて、解説します。
日本では、発電の際に化石燃料を燃やしてエネルギーに変換することが多いのですが、このときに多くの温室効果ガスが発生してしまいます。対策として、カーボンニュートラルの考えに基づいた取り組みをする場合、次のようなものが挙げられます。
- 発電時に温室効果ガスを発生させない再生可能エネルギーを開発、使用する
- 植樹や森林の手入れによって木々を増やし、温室効果ガスの吸収率を高める
温室効果ガスを地球温暖化が起こらないレベルに削減できることが一番ですが、人間の活動上、どうしても難しいところがあります。そこで、再生可能エネルギーを利用し排出量を減らしたり、木々の持つ温室効果ガスを吸収する働きによってカバーできれば、実質ゼロに近付けられるという訳です。
※ 温室効果ガスとは、二酸化炭素やメタンなどのことを指します。
カーボンニュートラルは地球温暖化への対策につながる
カーボンニュートラルは、地球温暖化への対策に効果的だと考えられています。地球温暖化の主な原因は、温室効果ガスの過剰発生だといわれているためです。
温室効果ガスは、太陽の熱(赤外線)を吸収する性質を持っています。そのおかげで地球は気温を保てていますが、過剰発生ともなると、今度は気温が上がり過ぎてしまうのです。
世界ではすでに、地球温暖化による災害や健康被害が起きており、各国でさまざまな対策が取られています。例えば、再生可能エネルギーの導入や森林保全などといったものです。
カーボンニュートラルもまた、このような地球温暖化対策の一つとして、注目されています。
カーボンニュートラルに取り組んでいる国はどのくらいあるの?

現在、世界には「2050年までにカーボンニュートラルを実現すること」を宣言したうえで加わる「Climate Ambition Alliance」と呼ばれる国際同盟があります。
2020年に環境省が発表した内容によると、すでに120以上もの国とEU(欧州連合)が「Climate Ambition Alliance」に参加しています。そのなかには先進国はもちろん、開発途上国も含まれています。
目標や取り組みは国によって異なりますが、カーボンニュートラルの実現は一部の国だけでなく、世界中が目指す「共通のゴール」になりつつあるといえるでしょう。
日本の2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みの現状は?

残念ながら日本は、他国に比べてカーボンニュートラル実現のための取り組みが遅れていると言われています。
日本は2020年10月に、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを宣言し、Climate Ambition Allianceに参加しました。
また、これに伴い、内閣では多くの議論を重ねて多くの施策を検討・実施し、2021年には「2030年度までに温室効果ガスの排出量を46%削減する(2013年度比)」といった中期目標も打ち立てました。
反面、日本のエネルギー事情はというと、今もなお温室効果ガスの発生要因となる化石燃料に頼っている状況です。
2023年に国連本部で開催された「気候野心サミット2023(Climate Ambition Summit 2023)」においても、「化石燃料からの脱却の重要さ」が説かれただけに、このような現状には危機感を持たなくてはいけないでしょう。
日本では、「(カーボンニュートラル実現に対する)国民の意識も低い」といった問題点もあります。
日本労働組合総連合会(JTUC)が、2024年に実施したアンケートによると、カーボンニュートラルの取り組みが「必要だと思う」と回答した方の割合は、全体の67.2%だったといいます。一方、「必要か分からない」と答えた方も20.6%いました。
また、「カーボンニュートラルという言葉すら知らない」と答えた人も26.1%いました。国内での浸透度は、まだ十分とはいえないでしょう。
世界の2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み

世界の2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組みもまた、国によって進捗に差があります。
そこで、特に高く評価されているEU(欧州連合)とイギリスの取り組みについて取り上げ、解説します。
EU(欧州連合)
EUは、2050年カーボンニュートラルの実現に向けての取り組みが特に優れていると評価されています。
EUではこれまでに温室効果ガス削減の目標を定め、実現するために必要なことをとても細かく策定・提案してきました。
その結果、2020年時点で20%削減を目標(1990年度比)としていましたが、2018年には目標を達成するどころか23%削減と、目標を上回ったのです。
なかでも電力を太陽光や風力といった再生エネルギーの普及を積極的に進めていることが、高い効果を発揮しているといいます。
また、2021年には「欧州気候法」を制定し、法的拘束力の元で温室効果ガスのさらなる削減対策を進めています。
イギリス
イギリスでは、「ネットゼロ戦略」といって2050年までに温室効果ガスの100%削減を掲げ、太陽光や風力といった再生エネルギーの普及を国を挙げて推進しています。
ネットゼロ戦略の実現にあたり、2021年には260億ポンド(1ポンド162円換算で約4兆円規模)の設備投資を行うことも発表しており、取り組みに対するイギリスの積極的な姿勢が伺えます。
また、2022年には、「エネルギー安全保障戦略」を発表しました。ネットゼロ戦略をより確実なものにするための施策です。
内容としては、「2035年までに太陽光発電容量を最大70GW(ギガワット)まで増やす」などといった、各エネルギーごとの目標を具体的に示したものとなっています。
私たちでもできる!カーボンニュートラルに向けたアクション

カーボンニュートラル実現のためには、国の政策や事業者の努力だけでなく、私たち一人ひとりの行動も大切です。
電気の使い方、ゴミの出し方、食べ物の扱い方など、日常のちょっとした意識で二酸化炭素の排出を減らせます。今日からできる行動を見ていきましょう。
節電をする
カーボンニュートラルを実現するための第一歩は、日々の暮らしのなかでできる「節電」です。
例えば、使っていない部屋の電気をこまめに消したり、冷蔵庫の扉を開く時間を短くしたりするだけでも、電力の消費を抑えられます。
また、資源エネルギー庁によると、夏の夜は、エアコンによる電力使用量が照明や冷蔵庫の倍以上にもなっているそうです。
夏場の節電なら、エアコンによる冷房効率を高めるため、フィルター掃除や室外機周りの掃除を徹底しましょう。
ゴミを減らす
ゴミをなるべく出さないように生活することは、カーボンニュートラルの実現に貢献します。日本ではゴミを焼却処分することが多いですが、このときに多くの二酸化炭素を排出するためです。
ゴミを減らすための行動として意識したいのが、次の「5R」です。
- リサイクル(Recycle):資源として再利用する
- リデュース(Reduce):ゴミを減らす
- リユース(Reuse):繰り返し使う
- リフューズ(Refuse):不要なものは受け取らない
- リペア(Repair):壊れたものを修理して使う
例えば、買い物にはマイバッグ、お弁当にはマイ箸やマイボトルも一緒に持って行くといった工夫は、誰でもすぐに始められるでしょう。
このように、日常生活のなかでゴミを減らすことは、カーボンニュートラルにもつながる大事な一歩です。
食べ物を残さない
食べ物を残さず、食品ロスを出さないこともまた、カーボンニュートラルの実現には欠かせません。ゴミとなった食品の焼却時に二酸化炭素が発生するのはもちろん、食品を作る過程や運ぶ過程などでも二酸化炭素は発生するためです。
日本では、年間で約472万トンの食品ロスが出ているといいます。これだけの食品が製造から廃棄までに排出する二酸化炭素量は、1,046万トン(消費者庁調べ)にも及ぶそうです。
さらに、約472万トンのうち半分の約236万トンは、家庭から出ている食品ロスだと発表されているだけに、私たち一人ひとりの行動が重要になるでしょう。
まずは、食べきれる量を選ぶことから心掛けていきましょう。
公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。
イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。
体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。
「子どもを自然と触れ合わせたい」や「楽しみながら環境や社会について学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。
イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。
子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!
まとめ
このコラムでは、カーボンニュートラルの必要性や、日本と世界が行っている取り組み、そして私たちにできることを解説しました。
カーボンニュートラルは、未来の地球と私たちの暮らしを守るための大きな挑戦です。
国や事業者だけでなく、私たち一人ひとりができる行動を積み重ねることが、持続可能な社会の実現につながります。
今日からできることを、少しずつ始めてみませんか。
公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。
また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。