
2025.08.05
気候変動とはどういうこと?定義や原因、対策までわかりやすく解説
「気候変動」は、世界中で注目されている重要な環境問題のひとつです。テレビやSNSなどでよく耳にする言葉ですが、実際にはどのような現象なのか、何が原因なのかを正しく理解している人は少ないかもしれません。
そこでこのコラムでは、気候変動の意味や原因についてわかりやすくまとめました。
さらには私たちにできる身近な対策についても解説しているので、「気候変動について仕組みを知りたい」や、「自分にできることを知りたい」という方は、ぜひご覧ください。
目次
気候変動とは具体的に何?地球温暖化との違いまで解説

「気候変動」と「地球温暖化」は同じ意味だと思われがちですが、実は少し異なります。
ここでは「気候変動とは何か?」を正しく理解し、なぜ今この言葉が世界中で注目されているのかを解説していきます。
気候変動とは、大気の状態が変化する現象のこと
気候変動とは、地球全体の気温や降水量、風の流れなど「気候」が長期的に変化していく現象のことです。これは数十年以上にわたって進行するもので、日々の天気や季節の移り変わりとは異なります。
世界全体の取り決めである「気候変動枠組条約」では、気候変動を「自然要因または人間の活動によって、大気の成分や構造に変化が生じることで起こる現象」と定義しています。
関連する言葉に「地球温暖化」がありますが、地球温暖化は気候変動の一部であり、主に気温の上昇に関する現象を指します。
一方で気候変動は、気温だけでなく、降雨パターンの変化や季節のズレ、異常気象の頻発など、より広い範囲の変化を含みます。
問題視されているのは、人間の活動が原因で起こる気候変動
気候変動そのものは自然現象として存在していますが、現在進行している気候変動の多くは、主に人間の活動により引き起こされていると考えられています。
具体的には、化石燃料(石炭、石油、天然ガス)の大量消費による二酸化炭素の排出、森林伐採などが、人為的な原因として挙げられます。
これらの影響は、産業革命以降に急激に拡大し、地球の気候システムにこれまでにない速さで変化をもたらしているのです。
国連の「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)」も、地球温暖化の主な原因は人間活動による温室効果ガスの増加であると明言しています。
私たちの暮らしと気候変動は決して無関係ではありません。日常の選択が地球の未来を左右しているのです。
気候変動が進行するとどうなるの?
気候変動が進行すると、まず影響を受けるのは気象です。異常気象や猛暑、豪雨、干ばつ、台風の大型化など、極端な気象現象が世界各地で頻発するようになります。
また、海面の温度上昇により氷河の融解が進み、海面は上昇し沿岸地域の浸水リスクも高まります。
すでに農業分野では、作物の収穫量が不安定になる地域が増えており、食料の安定供給への影響も懸念されています。
さらに、気候難民※の増加、健康被害など、気候変動は私たちの暮らしや経済にも大きな影響を及ぼします。
気候変動は単なる「環境の問題」ではなく、社会が直面する深刻な課題であり、早急な対応と国際的な連携が求められています。
※ 気候変動による災害や環境の悪化により、住む場所を追われた人々のこと
気候変動による影響とは?世界でいま起きていること

気候変動は、もはや未来の話ではなく、すでに現実のものとして世界各地にさまざまな影響をもたらしています。
ここでは、気温や天候の変化にとどまらず、生態系や経済、私たちの健康にどのような変化が起きているのかを具体的に紹介します。
気候変動による異常気象の頻発
気候変動によるもっともわかりやすい影響の一つが、異常気象の頻発です。
日本では、猛暑日や豪雨の増加、台風の大型化が顕著になっており、災害による被害が増加傾向にあります。
一方、世界では干ばつや洪水が深刻化し、アフリカやアジアの一部地域では食料不足を招いているケースもあります。
こうした現象は単なる偶然ではなく、気候変動による影響とされており、私たちの日常生活にも直接的なリスクとなりつつあります。
異常気象の一つである地球温暖化について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
地球温暖化とは?原因や影響、対策の取り組みなどわかりやすく解説
生態系・農業・水資源への影響
気候変動は、動植物の生態系にも大きな影響を与えています。
例えば、気温の上昇により、生物は生息に適した気候の場所へと移動せざるを得なくなり、一部の生物は絶滅の危機に瀕しています。
農業では、高温や少雨の影響で作物の収量が減ったり、品質が落ちたりする例が増えています。
また、地域によっては水不足が発生する事例も報告されています。
こうした変化は、食料の安定した供給に関わる問題であり、地球全体の持続可能性な未来に大きな影響を与えています。
健康・経済・安全保障への影響
気候変動は、私たちの健康にも深刻な影響を与えています。
猛暑による熱中症の増加、感染症の拡大、アレルギー症状の悪化などにより、医療現場の負担は年々増しています。
また、農業・漁業への打撃による経済損失も無視できません。
イギリスのロイズ保健協会によると気候変動による農作物の不作など食料供給の不安定化によって、今後5年間で5兆ドルの経済損失が生じる可能性を指摘しています。
さらに、気候変動によって引き起こされる水資源や食料などの資源をめぐる争い、そして環境難民の増加といった問題は、国際的な安全保障への懸念としても指摘されています。
気候変動はもはや環境だけの問題ではなく、社会全体に広く影響を及ぼす複雑で深刻な課題です。
気候変動の主な原因は、人間の生活にある

気候変動の背後には、人間の活動が深く関わっています。特に、エネルギーの使い方や自然との向き合い方が地球に与える影響は大きく、ここではその要因を2つの観点から整理します。
人の暮らしのなかで温室効果ガスが多く発生している
家庭や企業で使用される電気やガス、車の燃料など、私たちが日常的に利用しているエネルギーの多くは、石油・石炭・天然ガスといった「化石燃料」を使用した火力発電に依存しています。
これらの化石燃料を燃やすことで発生する二酸化炭素は、気候変動を引き起こす主な温室効果ガスとされています。
つまり、私たちの「暮らしの選択」そのものが、地球環境に大きな影響を与えており、一人ひとりの行動が気候と深くつながっているのです。
人間の活動によって森や緑が減っている
もう一つの重要な要因が、森林の減少です。
農地の拡大や都市開発、違法伐採などによって、世界中で森林が急速に失われています。日本でも、手入れがされない人工林の放置や緑地の減少が進み、二酸化炭素の吸収源としての機能が弱まっている状況です。
森が減ると、二酸化炭素の吸収力が減るだけでなく、生態系のバランスが崩れたり災害リスクが高まったりするなど、さまざまな悪影響が生じます。
森林を守ることは、気候変動を抑えるために欠かせない対策の一つです。
気候変動対策はSDGsでも重視されている
気候変動への対応は、国連が定めた「SDGs(持続可能な開発目標)」においても、重要な柱の一つとされています。
特に、目標13「気候変動に具体的な対策を」では、温室効果ガスの削減、気候変動への適応力の強化、環境教育の推進などが掲げられています。
また、気候変動は他のSDGsの目標とも密接に関係しています。
例えば、次のようなことが挙げられます。
- 目標2「飢餓をゼロに」:気候変動による農業への影響と関連する
- 目標3「すべての人に健康を」:猛暑による熱中症や感染症の拡大など健康被害と関連する
- 目標14「海の豊かさを守ろう」:生態系保全と関連する
- 目標15「陸の豊かさも守ろう」:生態系保全と関連する
SDGsは、政府や企業だけでなく、私たち一人ひとりが身近に取り組める目標です。気候変動について理解を深めることは、SDGsへの第一歩とも言えるでしょう。
SDGsについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
【小学生向け】SDGsって何だろう?わかりやすく17の目標などを解説!
SDGsで私たちにできることは?17の目標から小・中・高・大学生向けに解説
私たちにもできる気候変動への対策

気候変動への対策は、国や企業だけでなく、私たち一人ひとりの行動でも進められます。
例えば、家庭で使用する電気を再生可能エネルギーに切り替える、冷暖房の設定温度を見直す、車の利用を減らして公共交通機関や自転車を活用するなど、身近な工夫で温室効果ガスの排出を減らせます。
また、地元産の食品を選ぶ、食べ残しを減らす、ごみの分別を丁寧に行うといった取り組みも、日々の生活のなかで実践できる対策です。
大切なのは、「自分にもできることがある」と気づき、行動に移すことです。
公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。
イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。
体験学習では子どもたちがチームを組み、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。
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イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。
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まとめ
本コラムでは、気候変動の原因や影響、私たちにできる対策について解説してきました。
気候変動は、地球規模の大きな課題であると同時に、私たちの暮らしと密接に関わる問題です。これは遠い未来の話ではなく、すでに進行している現実の変化であり、今まさに行動が求められています。
大切なのは気候変動について、まず「知ること」です。そのうえで私たちの日々の行いを「変える」ことも少しずつ始めましょう。
未来の地球のために、今日からできる一歩を踏み出してみませんか。
公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。
また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。