
2025.11.04
アースアワーとは?世界規模の環境アクションの効果と取り組みを解説!
毎年3月下旬の土曜日に、世界中で同じ日・同じ時刻に1時間の消灯アクションをする「アースアワー」が開催されます。
たった1時間の消灯というシンプルな行動は、何のためのものなのでしょうか。また、参加することでどのような効果をもたらしてくれるのでしょうか。
本コラムではアースアワーを正しく理解できるように、その取り組み内容や成り立ちまでを分かりやすく解説します。
目次
アースアワーとは?

近年、気候変動による異常気象や海面上昇などの問題、また一部の野生生物の減少が深刻化しています。こうした環境問題に対する取り組みの一つが、「アースアワー」です。
ここでは、アースアワーがどのようなイベントなのか、詳しくご紹介します。
アースアワーはいつ?何をするの?
アースアワーは、毎年3月下旬の土曜日に開催される国際的な環境イベントです。
具体的に何をするのかというと、全世界規模での消灯です。
アースアワーは、もともと地球温暖化を防止するためのキャンペーンとして始まったものでした。そのため、「地球温暖化を間接的に引き起こす電気を使用しない時間をつくる」ことをしています。
消灯アクションが行われるのは、現地時間の20時30分から21時30分です。
現地時間ということで、日付変更線に近い国から順に消灯が始まります。その様子はまるで国から国へとバトンをつなぐようであるため、消灯リレーとも呼ばれています。
2024年のアースアワーでは、180以上の国と地域の個人・コミュニティ・法人など多様な主体が消灯リレーに参加しました。
東京タワー(日本)やエッフェル塔(フランス)、ロンドン・アイ(イギリス)など、世界的に有名な建造物も消灯リレーに参加しています。
アースアワーの歴史は?
今でこそ世界的な環境イベントとして知られているアースアワーですが、もともとはオーストラリアで局所的に始まったものでした。
アースアワー誕生のきっかけとなったのは、環境保護団体「世界自然保護基金(WWF)オーストラリア」です。
2004年、WWFオーストラリアは地球温暖化の深刻さを感じ、まずは「どうしたら国民全員が問題に向き合う意識を持ってくれるか」を考えました。
それから複数の事業者、さらにはシドニー市長の協力も得て、2007年3月31日に初めてのアースアワーが開催されました。
このときからすでに1時間の消灯アクションは実施されていましたが、あくまでオーストラリア内に限るイベントでした。
しかし、アースアワーとその取り組みは他国からも大きな注目を集め、「翌年はぜひ参加させてほしい」という国が続々と現れたのです。
そうして2008年には35ヵ国・371以上の都市が参加、2009年には88ヵ国・4,000以上の都市が参加……というように、どんどん世界中にアースアワーが広まっていきました。
その後も毎年のように参加国は増え続け、アースアワーは現在のような世界規模の環境イベントにまで発展したのです。
日本でのアースアワー
日本がアースアワーに初めて参加したのは、2010年です。以降は毎年、WWFジャパンを主体として消灯アクションのほか、環境保全につながる取り組みを推進しています。
2024年のアースアワーでは、日本全国で4,210カ所の施設やモニュメント、さらには自治体や法人などが消灯アクションに参加しました。
▼ 消灯アクションを実施した施設・モニュメントの一例
- 東京タワー
- 東京スカイツリー(R)
- 東京駅
- レインボーブリッジ
- 横浜マリンタワー
- 京都タワー
- 広島城天守閣
- 原爆ドーム
- 五稜郭(ごりょうかく)タワー
- 帆船日本丸
- 日本郵船氷川丸 など
同年の広島平和記念公園では、アースアワーによる消灯と同時にキャンドルを灯し、楽器演奏とコーラスによるミュージックセレモニーが実施されたそうです。
アースアワーに参加することで得られる効果

「電気を1時間消すだけのアースアワーで、地球環境は本当に良くなるの?」と、疑問に思う方もいるでしょう。
しかし、たったこれだけの小さなアクションであっても、全世界の人々が一斉に行うことには意味があります。
ここでは、アースアワーに参加することで得られる効果について、具体的に解説します。
環境問題に対する関心が高められる
アースアワーの取り組みは、気候変動や生物多様性保全といった環境問題に対する人々の関心を高めるために実施されています。
WWFジャパンも、消灯アクションをすることで「地球のための1時間を過ごしてほしい」と呼びかけています。
たった1時間のことであるとはいえ、電気を消すという行動は明確かつ、誰でも簡単にできることです。
だからこそ、参加した人々は自然と「地球のために過ごしている」ことの実感を得やすいでしょう。
また、そのような実感がきっかけとなり、「地球では今、何が起きているんだろう」「自分にできることはあるんだろうか」などと考える機会にもなります。
気候変動をはじめとした環境問題は、さまざまな原因が絡み合って複雑なため、一人ひとりのアクションが大切だといわれています。
アースアワーで環境問題に対する関心を高められることは、間接的ではありますが、アクションを起こすきっかけになるという、とても大きな効果を与えてくれることでしょう。
現在、世界で起こっている環境問題について、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
地球からのSOS!?環境問題の具体例や原因と今日からできることを解説
世界規模で電気使用量を少し減らせる
アースアワーの消灯アクションに世界中の人々が参加すれば、イベント時間中の電気使用量を大きく減らせます。
電気使用量を減らすことは、家計の節約につながるだけではありません。
私たちが利用している電気の多くは、化石燃料を燃やす火力発電によって作られていますが、大きな問題があることをご存じでしょうか。
電力に変えるために石炭や石油を燃やすと、多くの二酸化炭素が発生するため、地球温暖化を進行させてしまうのです。
つまり、アースアワーの消灯アクションに参加して、電気使用量を減らすことは、地球温暖化を防ぐ取り組みの一つだといえます。
参考までに、照明を1時間つけっぱなしにしたときの電気使用量は、約0.03kW(キロワット)※1程度です。消灯アクションによる効果は、一つの家庭単位で考えると、残念ながらとても小さいでしょう。
しかし、日本の家庭すべてが1時間の消灯をした場合、1時間の消灯により削減される電気使用量は約168万2,400kW※2にもなります。世界規模での消灯となれば、膨大な電気使用量の削減につながるでしょう。
※1 「8~10畳」向け、消費電力が約0.3kWのLEDシーリングライトを想定して算出したものです。
※2 日本の総世帯数は、2024年推計の総世帯数5,608万世帯(国立社会保障・人口問題研究所調べ)を基準としています。
絶滅危機にある野生生物を守ることにつながる
アースアワーの消灯アクションは地球温暖化の防止につながると先にお話ししましたが、これは間接的に生物の多様性を守ることにもつながります。
温暖化によって地球の環境が変わると、変化に適応できない野生生物や、それを食料としていた生物たちに生命の危機がやってきます。
実際、IUCN(国際自然保護連合)の調べによると、温暖化が原因ではないかと疑われている絶滅危惧種は7,400種以上です。
地球温暖化の背景には、私たちの暮らしにともなうエネルギーの大量消費や森林破壊などがあるとされています。アースアワーは、こうした問題に気づき、見直すきっかけにもなるのです。
今、地球に存在している野生生物を守りたい気持ちがあれば、消灯アクションに参加することから始めてみるのも良いでしょう。
アースアワーに参加してみよう!

地球のために何かをしたい気持ちがあれば、ぜひ今年のアースアワーに参加してみましょう。アースアワーの参加に、特別な資格や準備は必要ありません。
3月下旬の土曜日、20時30分になったら照明を消して、地球の環境問題やその対策についてじっくりと考えてみましょう。
また、イベントの前後で消灯以外のアクションにもできる範囲で取り組んでみると、より良い時間を過ごせるでしょう。おすすめのアクションは、次のようなものです。
- スマートフォンやパソコンの設定を「ダークモード」や「省電力モード」にする
- 稼働効率を高めるため、エアコンや空気清浄機などのフィルターを掃除する
- LEDライトをはじめ、省エネに替えられそうなモノが自宅にないか探してみる
- 散歩やアウトドアを楽しんで、自然の魅力や大切さを実感してみる など
個人ができる環境問題の対策として、さまざまな視点から節電に取り組んでみましょう。
また、散歩やアウトドアを通して、豊かな地球だからこそ得られる自然の良さに触れるのもおすすめです。
地球の魅力を知り、大切にしなくてはいけないという気持ちが強まれば、さらなるアクションを起こす力にもなるでしょう。
公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。
イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。
体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。
「子どもを自然と触れ合わせたい」や「楽しみながら環境や社会について学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。
「イオン チアーズクラブ」で実施された活動

ここでは、イオン チアーズクラブでこれまでに実施してきた活動内容の一部をご紹介します。
「イオン ふるさとの森」での生き物調査
イオン チアーズクラブでは、イオン ふるさとの森で生き物調査を実施しています。
これは、森において、どのような生物多様性が育まれているかを確認するための調査です。
イオン チアーズクラブのメンバーには、森で見つけた鳥や昆虫、植物などをアプリで撮影し、記録を保存してもらいます。
動物と自然について学ぶ
イオン チアーズクラブ御嶽山駅前店では、上野公園と上野動物園を見学し、動物と自然について学ぶとともに、上野公園の歴史や文化にも触れました。
日本で最初の動物園がなぜ上野に開園したのか、「上野の森」と呼ばれるほど自然豊かな公園がどのように形成されたのかといった背景に子どもたちが興味を持つきっかけづくりになったようです。
また、園内の動物を観察でき、喜ぶ子どもたちの姿が見られました。
このほかにも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。
イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は、以下のURLからご覧ください。
子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!
まとめ
本コラムでは、毎年3月下旬の土曜日に行われるアースアワーの成り立ちや、参加することで得られる効果などを解説しました。
アースアワーの目的は、単に電気を消すことだけではありません。具体的なアクションを起こすことで、人々が地球に対して意識を向けることが狙いです。
それは間接的に、地球温暖化の防止や野生生物を守ることにもつながります。
アースアワーをきっかけにして、地球のためにできることを考え、行動を起こしてみましょう。
公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。
また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。