2024.11.28
日本の未来が危ない?エネルギー問題のリアルと解決への道
【キャラクター紹介(しょうかい)】
愛称(あいしょう)
イオン チアーズクラブの男の子
愛称(あいしょう)
博士
愛称(あいしょう)
先生
博士!最近テレビで見たんだけど、日本はエネルギー問題を抱(かか)えてるって本当?エネルギー問題って何?
日本は、電気やガスなどのエネルギーをつくるための資源を海外から買っているんじゃが、将来買えなくなってしまうかもしれないんじゃ。
そうなの?どうして買えなくなっちゃうの?
エネルギーをつくるための資源である石油は139年後、石炭は54年後になくなると言われているからなんじゃよ。
博士!石油は54年後、石炭は139年後で逆ですよ!
ありゃ、そうだったかな…
54年後ってことはぼくがおじいちゃんになるときにはなくなってるってこと!?それは困るよ!何かぼくたちにできることはないの?
日本が抱(かか)えているエネルギー問題や、自分たちにできることについて詳(くわ)しく話していくから、しっかり聞いておくんじゃぞ。
目次
近い将来なくなってしまう!?衝撃(しょうげき)のエネルギー事情
みなさんは「エネルギー」と聞いて、何を思い浮(う)かべるでしょうか?
エネルギーは日常生活に欠かせない存在で、ものを動かしたり、熱や光、音を出したりするために必要となるものです。
エネルギーは、電気やガス、ガソリンなどのことを言い、その大半は石油や石炭、天然ガスといった化石燃料を燃やしてつくられています。
エネルギーのもととなる化石燃料は、実は今のペースで採取し続けていると、石油は54年後、石炭は139年後になくなってしまうと言われています。
じゃあ、エネルギーのもとがなくなっちゃうってことは、今まで通り電気やガスが使えなくなっちゃうってこと?
そうじゃ。将来のために今のうちにできることをやっておかなければな。簡単に言うと、えーっと。
博士、今から代わりになるエネルギーや資源を考える必要があるんですよね。
そうそう、そのとおりじゃ。
日本が抱(かか)えるエネルギー問題とは
まず、日本が直面しているエネルギー問題にはどのようなものがあるのかを解説します。
エネルギー自給率の低さ
石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料からつくられるエネルギーは、毎日の生活に欠かせないものです。
しかし、日本が国内でつくれるエネルギーの割合(エネルギー自給率)がどれくらいか知っていますか?
先進国が加盟する国際機関OECD(経済協力開発機構)の中で、日本のエネルギー自給率は38か国中37位と、低い順位に位置しています。
東日本大震災(だいしんさい)前の2010年度では、日本のエネルギー自給率は20.2%でしたが、震災(しんさい)の影響(えいきょう)で原子力発電所が止まったため、2014年には6.3%に大きく減ってしまいました。
エネルギー自給率が低いということは、日本で利用している化石燃料のほとんどが海外から輸入したものということです。
そのため、輸入先の国で戦争や政治の問題が起きたり、エネルギー資源である化石燃料の価格が急に上がったりすると、化石燃料が買えなくなってエネルギー不足になる可能性があるのです。
化石燃料への依存(いぞん)と温室効果ガスの排出(はいしゅつ)
エネルギーの大部分は、化石燃料によって生み出されています。
化石燃料とは、石油・石炭・天然ガスなどの地下に埋(う)まっている燃料・資源のことであり、日本は化石燃料をほとんど海外から購入(こうにゅう)しています。
化石燃料のなかでも、石油の約90%は、アラブ首長国連邦(しゅちょうこくれんぽう)やサウジアラビアといった中東から購入(こうにゅう)されています。
そのため、中東で戦争が起きたり、国同士の仲が悪くなったりすると、石油をいつものように買うことが難しくなってしまうのです。
また、化石燃料を燃やすと、「二酸化炭素」が排出(はいしゅつ)されます。
二酸化炭素は、地球温暖化の原因となっている温室効果ガスのうちの一つなので、増えすぎると地球の温度がどんどん高くなり、地球温暖化が進んでしまいます。
日本は、二酸化炭素の排出量(はいしゅつりょう)が約10億トンと多く、2022年の世界の二酸化炭素排出量(はいしゅつりょう)ランキングでは、5位にランクインしています。
また、化石燃料を燃やすことで二酸化炭素が排出(はいしゅつ)されるため、地球温暖化を進める原因にもなってしまいます。
再生可能エネルギー導入の現状と課題
太陽の光や水の力、風の力といった自然の力を使って、何度も電気や熱をつくり出すことができるエネルギーのことを「再生可能エネルギー」と言い、現在世界的に注目されています。
再生可能エネルギーは、化石燃料のようになくなってしまう心配がなく、二酸化炭素も出ないので、地球に優しい発電方法です。
日本では再生可能エネルギーの割合を増やすための政策を進めており、2020年にようやく20%を超(こ)え、2022年には22.7%と上がっています。
しかし、ヨーロッパ諸国ではさらに高い割合となっていて、2021年時点でスウェーデンの再生可能エネルギーの割合は62.6%、フィンランドで43.1%、ラトビアが42.1%となっています。
日本での再生可能エネルギーの割合がなかなか増えない理由は、日本で再生可能エネルギーをつくれる機械を購入(こうにゅう)しようとすると、とても値段が高くなってしまうからです。
また、天気によって電気がつくれたりつくれなかったりするので、電気をためておく方法も考えないといけません。
日本で太陽光発電や風力発電、水力発電といった地球に優しいエネルギーをもっと使えるようにするためには、安く再生可能エネルギーをつくれる機械を取り入れたり、いつでも安定して使えるように工夫が必要だったりと、まだ多くの課題があります。
電気料金の高騰(こうとう)
実は東日本大震災(だいしんさい)のあと、電気をたくさんつくる原子力発電所が止まってしまったため、電気不足になり電気料金が上がる原因の一つとなりました。
以下の表は、家庭向けと産業向けそれぞれの電気料金単価です。
2010年度 | 2016年度 | 2021年度 | |
---|---|---|---|
家庭向け | 21.39円 | 24.31円 | 34.00円 |
産業向け | 14.33円 | 17.47円 | 27.55円 |
2010年度と比べると、2021年度の電気料金は家庭向けで約1.5倍、工場などで使われている産業向けでは約2倍になっていることがわかります。
災害により止まってしまう可能性のある原子力発電所や、数に限りのある化石燃料に頼(たよ)りすぎず、再生可能エネルギーを増やしていくことで、電気料金を安定した値段に保つことが必要と言えるでしょう。
エネルギーの問題は遠い世界の話ではなく、私たちの日々の暮らしにもつながっている問題なのです。
日本はエネルギーの色々な問題があって、ぼくたちの生活だけでなく地球にも関係してるんだね。
将来困らないようにするためにも、今から対策(たいさく)をすることが必要なんじゃ。
次は具体的な対策や取り組みについて解説していきますね。
エネルギー問題への日本の取り組み事例
地球のエネルギー問題は、私たちみんなで真剣(しんけん)に考え、解決していかなくてはならない課題です。
日本は色々な工夫をして、エネルギー問題を解決しようとしています。
日本が行っているエネルギー問題への取り組みについて解説していきます。
省エネ
日本はエネルギー自給率が低く、もし海外からエネルギーを買えなくなったら、電気もガスも使えなくなってしまうかもしれません。
そこで、日本ではエネルギーを大切に使う「省エネ」に力を入れており、将来的に使うエネルギーを約6,200万kL(20%)減らす目標を立てました。
加えて、同じエネルギーでより多くの電気をつくれるようにエネルギー消費効率(しょうひこうりつ)の改善にも取り組んでいます。
エネルギー消費効率を高くすると、使うエネルギーを減らしながらも、電気や熱を多く得られるようになるので、省エネにつながるのです。
2012〜2030年のエネルギー消費効率(しょうひこうりつ)は過去最高水準である40%減を目指して、問題解決のための計画を本格的に進めています。
省エネへの取り組みは、家庭だけでなく、工場や水道、商業に関わる仕事、運輸など、いろいろな分野で行われています。
2030年度以降に建てられる新しい家や建物は、太陽光など自然の力を利用したエネルギーを使ったり、LED照明や高性能な断熱材といったエネルギー効率の良い設備を導入したりして、省エネ性能を持つことが義務になる予定です。
社会全体が省エネと向き合うことで、エネルギー問題の解決への大きな一歩となるでしょう。
カーボンニュートラルの達成
日本は、2020年10月から、2050年までに地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出(はいしゅつ)をゼロにする「カーボンニュートラル」を目指しています。
「ガスをゼロにする」と言っても、工場や車からガスが全く出ないようにする、ということではありません。
木を植えるだけでなく、育てたり、手入れをしたり、必要な分だけ木を切ったりして、森林を管理することで、温室効果ガスが出る量と森林が吸い取ってくれる量を同じにして、差し引きゼロにすることを目指しています。
日本の温室効果ガスの排出(はいしゅつ)量は、さまざまな努力によって年々減っており、2022年度の排出(はいしゅつ)量は11億3,500万トンで、2013年度に比べて19.3%も減らすことができました。
2050年までにゼロにするのは簡単ではありませんが、みんなで力を合わせれば、達成できる目標です。
私たち一人ひとりが、地球に優しい行動を心がけることが大切ですね。
自然災害への対策
日本は昔から地震(じしん)や台風が多い国です。
特に、最近は地球温暖化による天候の変化によって大きな災害が増えており、みんなが安心して暮らせるように対策することがとても大切になっています。
例えば、台風や大雨で電気が止まったり、地震(じしん)で街中が停電したりすると、とても困ってしまいますよね。
そのため、国は2020年6月に「エネルギー供給強靱化(きょうじんか)法」という法律をつくって、災害のときでも電気を安全に届けられるように以下のような対策を始めました。
- 電力会社が災害時に自治体や自衛隊と力を合わせやすくする
- 電気を送るための送配電網(そうはいでんもう)をもっと強く、壊(こわ)れにくいものにする
- 発電所から電気を送れないときも電気を使えるように、太陽光発電など、それぞれの地域で電気をつくる分散型システムを進めていく
- 容器に入れて好きな場所に設置できるLPガスや、太陽光発電や蓄電池(ちくでんち)といった、停電時でも使える災害に強い分散型システムをつくる
こういった取り組みによって、地震(じしん)や台風が来ても、みんなが安心して暮らせる社会を目指しています。
エネルギー問題解決に向けて、色々なことをしているんだね。ぼくにも何かできることはあるかな?
もちろん、たくさんあるぞ。ここから先は、エネルギー問題の解決のためにわしたちにもできることについて説明しよう。えーっと……先生、たのんだぞ。
も~、博士。しっかりしてください。
エネルギー問題を解決するために私たちができる対策
ここまで解説してきた課題やそれに対する日本の取り組みを見ると、エネルギー問題の解決は大変なことのように思えますが、個人でもできることはたくさんあります。
私たちができるエネルギー問題への対策について解説していきます。
電気のつけっぱなしをやめよう
部屋の電気をつけっぱなしにすることは、エネルギーや資源をむだに使うことになります。
発電のための石油や石炭、天然ガスなどの燃料や水などの資源は、有限であり、貴重なものです。
大切に使わなければ、将来私たちや未来の子どもたちが、資源の不足で不自由な暮らしをしなければならなくなるおそれもあるのです。
また、エネルギーをたくさん使うことは、二酸化炭素の発生量が増えることにもつながり、地球温暖化の原因になります。
私たちが、持続的にエネルギーを使用して、豊かな暮らしをするためには、身近なところで節電や節水を心がけることが大切です。
ご飯は好き嫌(きら)いせずに食べよう
好き嫌(きら)いをしてご飯を残すことは、フードロスにつながります。
フードロスとは、食べ残しや買いすぎて使い切れないなどの理由で、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことをいいます。
フードロスによって食品が大量に余ってしまうだけでなく、残った食品を燃やして処分する際に発生する二酸化炭素は地球温暖化の原因になります。
ご飯をつくるときだけでなく、燃やすときにもエネルギーが使われるので、好き嫌(きら)いせず残さず食べるようにしましょう。
牛乳パックやトレーは回収ボックスに持って行こう
牛乳パックや食品のトレーは、スーパーマーケットなどにある回収ボックスで回収してもらうことができます。
回収ボックスに入れた牛乳パックなどはリサイクルされるため、ゴミが減ります。
ゴミを減らすことで、ゴミを燃やすために必要なエネルギーを減らすことができます。
また、リサイクルは、新しいものをつくるよりもエネルギーを節約することができるのです。
家や学校の近くに回収ボックスがあるかどうか、探してみましょう。
使わなくなったおもちゃや洋服は捨てずにリサイクルしよう
使わなくなったおもちゃや洋服は、捨てずにまずはリサイクルを考えましょう。
リサイクルショップやフリマアプリに出品すれば、ゴミが減るうえ、必要としている人が使ってくれるため、一石二鳥(いっせきにちょう)です。
家族に相談し、出品できる方法を探してみましょう。
買い物のときはレジ袋(ぶくろ)の代わりにエコバッグを使おう
買い物には、エコバッグを持って行きましょう。
レジ袋(ぶくろ)は使ったら捨ててしまうことがほとんどですが、エコバッグは何度も使うことができます。
レジ袋(ぶくろ)の代わりにエコバッグを使うことで、レジ袋(ぶくろ)の使う量を減らすことができ、エネルギーの節約やゴミを減らすことができます。
また、レジ袋(ぶくろ)の主な素材であるプラスチックは、ゴミとして燃やすときに、地球温暖化を引き起こす二酸化炭素が発生してしまいます。
そのため、レジ袋(ぶくろ)などのプラスチックがゴミにならないようにすることはとても大切です。
レジ袋(ぶくろ)の代わりに積極的にエコバッグを使うことで、地球を守ることにつながります。
遊びに行くときはマイボトルを使ってゴミを減らそう
遊びに行くときは、水筒(すいとう)などのマイボトルに飲み物を入れていきましょう。
コンビニやスーパー、自動販売機(じどうはんばいき)で買う飲み物のペットボトルもプラスチックでできています。
レジ袋(ぶくろ)と同様に、ペットボトルも、燃やして処分するときには二酸化炭素が発生したり、つくるときにたくさんのエネルギーが必要となります。
飲み物をマイボトルに入れて持って行くことで、ペットボトルのゴミを減らし、エネルギーの節約にもなるでしょう。
遊びに行くとき、学校に行くときは、繰(く)り返し洗って長く使えるマイボトルを持ち歩くようにしましょう。
電気をつけっぱなしにしないことや、ご飯を残さないようにするのもエネルギー問題解決になるんだね。これから気にして生活してみるよ。お父さんとお母さんにも教えなきゃ!
一人ひとりが意識するだけで、エネルギー問題解決への一歩になるんじゃ。
まとめ
本コラムでは、日本のエネルギー問題と、日本で行っている取り組みや対策について詳(くわ)しく解説しました。
エネルギー問題は世界的な問題で何から始めたら良いかわからないかもしれませんが、エネルギー問題を解決するために個人でもできることはたくさんあり、小さなことでも意味があります。
電気をこまめに消す、食べ物の好き嫌(きら)いをしないなど簡単なことからやってみましょう。
こまめに電気を消したり、ゴミを減らしたりと、エネルギーを無駄遣(むだづか)いしないように心がけることが大切じゃ。一人ひとりができることは小さくても、みんなで取り組めば大きな変化になるからな。
わかった、今日から少しずつでもできることをやってみるよ。
エネルギー問題について詳(くわ)しく知りたいのなら、公益財団法人イオン1%クラブのホームページを見ると良いぞ。公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」の体験学習に参加してみるのもおすすめじゃ。
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公益財団法人イオン1%クラブについて
公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域発展の貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
公益財団法人イオン1%クラブでは、小学生を中心とし、体験学習から自然や環境に向き合うことができる「イオン チアーズクラブ」も運営しています。
イオン チアーズクラブではリサイクル工場の見学や、過去にはサトウキビを使ったさまざまなリサイクルの体験など、環境に関する体験や学習をしています。
また、中学生が環境問題を自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ学校で取り組んでいる環境活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」などさまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLからご覧ください。