【日本の地球温暖化対策 最前線】日本が行っている具体的対策をわかりやすく解説
環境

2025.03.11

【日本の地球温暖化対策 最前線】日本が行っている具体的対策をわかりやすく解説

近年、地球温暖化の影響で世界各地で異常気象や自然災害が増えています。

日本でも、猛暑や豪雨、台風の大型化など、私たちの生活にさまざまな影響があります。

この異常気象や自然災害を乗り越えるためには、地球温暖化について知り、私たちにできることを考え、行動していくことが大切です。

本コラムでは、日本の地球温暖化への取り組みと課題について解説し、美しい地球の環境を守るためにできることを紹介します。

日本の二酸化炭素排出量は?

日本の二酸化炭素排出量は、2021年時点で約9億トンです。

中国だと約106億トン、アメリカが約45億トンとなっていて、日本の二酸化炭素排出量はとても少なく見えるかもしれません。

しかし、2021年時点の約9億トンは、前年の2020年よりも2,150万トン増えている状態です。

また、中国やアメリカと比べて二酸化炭素排出量が少ないように見える日本でも、地球温暖化による様々な影響が出ています。

このまま地球温暖化が進めないためにも、二酸化炭素排出量を減らす取り組みを国や、私たち個人が始めることがとても大切です。

地球温暖化による日本への影響は?

日本では、地球温暖化が進むことで、海の水が増えて砂浜が少しずつなくなったり、豪雨や台風が起こりやすくなったりしています。

夏に最高気温が35℃以上になる猛暑日が増えていることも地球温暖化の影響の一つです。

このまま地球温暖化が進むと、2100年ごろには気温がもっと上がったり、大きな災害が増えたりする可能性があります。

他にも、動物や植物の生態系が変わったり、人の健康にも悪い影響が出たりします。

日本が行っている地球温暖化対策

日本は、これ以上地球温暖化が進まないようにさまざまな対策を始めています。

  • 地球温暖化対策計画
  • 産業部門での対策
  • 家庭部門での対策
  • 運輸部門での対策
  • エネルギー転換部門での対策
  • 業務その他部門での対策

それぞれについて解説していきます。

地球温暖化対策計画

地球温暖化対策計画は、日本政府が「地球温暖化対策推進法」に基づいてつくった「地球温暖化対策に関する大きな計画」です。

日本が決めた目標は以下の2つです。

  • 2030年までに、2013年と比べて温室効果ガスを46%減らす
  • 2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする
    (カーボンニュートラルという施策)

目標を達成するためには、温室効果ガスの一つである二酸化炭素を減らすことが大切です。

そのために、日本政府は再生可能エネルギー(太陽や風の力を利用するエネルギー)の利用を増やしたり、省エネルギー対策(エネルギーをムダにしない工夫)を進めたりなど、地球温暖化を防ぐためのいろいろな政策を進めています。

産業部門での対策

産業部門とは、自動車や家電製品、食品など、私たちの生活に欠かせない「もの」をつくるときにエネルギーを使う仕事全般のことです。

日本の温室効果ガス排出量の37%を出している産業部門は、地球温暖化を防ぐためにとても大切な役割を持っています。

産業部門では、2013年度と比較して2022年度の温室効果ガス排出量を約24%削減しました。

さらに、2030年には二酸化炭素排出量を2.89億トンに抑えて、2013年と比べて38%減らすことを目標にしています。

この目標を達成するために、産業部門では次のような取り組みをしています。

  • 産業界で自主的に行う取り組みを進める
  • 省エネ性能の高い設備や機器を使うことを増やす
  • エネルギーの使い方をしっかり管理する
  • いろいろな業種が連携して、省エネを進める

2050年までの目標を実現するために、産業部門は二酸化炭素排出量削減をさらに進めることが必要です。

家庭部門での対策

家庭部門とは、照明や家電製品、冷暖房など、家で使うエネルギーの量をまとめたものです。

家庭部門では、省エネや電力を使うときに出る二酸化炭素排出の量を減らす工夫をして、2013年度と比較して2022年度の温室効果ガス排出量を約24.5%減らすことができました。

しかし、2013年の二酸化炭素排出量が2.08億トンに対して、2030年には0.70億トン(66%減らす)にする目標があります。

また、2050年までの目標を実現するためには、さらに二酸化炭素の排出量を減らすことが求められています。

この目標を達成するために、家庭部門では次のような取り組みをしています。

  • 国民運動:私たちが日常生活でできるエコ活動を始めることを応援する
    (COOL BIZ、WARM BIZなど)
  • 住宅の省エネ化:新しく建てる家や建物に省エネ基準を守ることを義務にする・古い家には断熱を加える工事を進める
  • 省エネ性能が高い設備の利用を増やす:LEDなど、エネルギーを無駄にしない機器をもっと使うようにする
  • エネルギー管理を徹底する:HEMS(住宅エネルギー管理システム)を使って、家で使うエネルギーをしっかり管理する

これらの取り組みをもっと進めて、家庭部門全体で省エネ意識を高めることが、地球温暖化を防ぐためにとても大切です。

運輸部門での対策

運輸部門とは、人や物を運ぶために、自動車、飛行機、船などを使ってエネルギーを消費する部門のことです。

私たちの日常生活や経済活動を支える大切な役割を持っていますが、同時にたくさんの二酸化炭素を排出しています。

運輸部門では、燃費を良くする工夫や運ぶ量を減らすなどの取り組みにより、2013年度には2.24億トンだった二酸化炭素排出量は、2022年度には約1.92億トンとなり、約14.5%減らすことに成功しました。

さらに、政府は2030年までに、排出量を1.46億トン(35%減)にすることを目指しています。

この目標を達成するために、運輸部門では次のような取り組みをしています。

  • 電気自動車などの次世代自動車をもっと使うようにする
  • 交通がスムーズになるような道路の使い方を工夫する(道路交通流対策)
  • 環境に優しい自動車を増やす(自動車運送事業のグリーン化)
  • 電車やバス、自転車をもっと利用する
  • 電車や船、飛行機が使うエネルギーを少なくする(省エネ化)
  • ものを運ぶときに出る二酸化炭素を減らす工夫をする

これらの取り組みを通して、運輸部門のエネルギーの使い方を効率良くし、二酸化炭素などの温室効果ガスをできるだけ減らす工夫をしています。

エネルギー転換部門での対策

エネルギー転換部門とは、家庭やオフィスで使う電気やガスをつくるために、石油や石炭、天然ガスを使って発電したり、都市ガスを製造したりする部門のことです。

例えば、火力発電所、原子力発電所、石油精製工場がこの部門に含まれます。

発電をするときに、エネルギー転換部門では多くの二酸化炭素を排出していますが、2013年度と比較して2022年度の温室効果ガス排出量を約20.1%減らしました。

さらに、2030年までに二酸化炭素排出量を2013年の1.06億トンから0.56億トンに削減し、削減率47%を目指しているのです。

この目標を達成するために、エネルギー転換部門では次のような取り組みをしています。

  • 太陽光発電や風力発電、地熱発電、水力発電、バイオマス発電など、再生可能エネルギーを増やす
  • 火力発電では2つの発電方法を組み合わせて、より多くの電気を作れるようにする(コンバインドサイクル発電)
  • 石油製品をつくるときにエネルギーを無駄にしない工夫をする

エネルギー転換部門でのこれらの取り組みは、地球温暖化を防ぐだけでなく、エネルギーを安全に使えるようにするためにも重要です。

業務その他部門での対策

私たちの周りには、オフィスビルや商業施設、学校、病院などいろいろな建物があります。

これらの建物から出る二酸化炭素排出量をまとめたものが「業務その他部門」です。

2013年度と比較して2022年度の温室効果ガス排出量を約23.6%減らすことができました。

しかし、2013年度には2.38億トンも二酸化炭素が出ていたため、2030年には1.16億トンに減らして、2013年度と比べて51%削減するという高い目標があります。

この目標を達成するために、業務その他部門では次のような取り組みをしています。

  • 建物を省エネ化することや、省エネ性能が高い設備や機器をもっと使うようにする
  • エネルギーの使い方をしっかり管理する
  • 複数の建物でエネルギーをうまく使う仕組みを広げる
  • LEDなどの高効率な照明の使用率を、2030年までに100%にする

業務その他部門では、省エネルギーについてもっと意識を高めることが、地球温暖化を防ぐためにとても大切です。

地球温暖化対策として私たちにもできること

日本では、地球温暖化を防ぐために、いろいろな計画が立てられています。

私たち一人ひとりができることは小さいかもしれませんし、国が行う大きな取り組みと比べると成果が目立たないかもしれません。

でも、日本に住むみんなが協力すれば、地球温暖化を防ぐことにつながるのです。

「どんなことをしたら良いだろう」と思ったら、次の5つのことを意識してみましょう。

  • 節電・節ガス・節水を心がける
  • 徒歩や公共交通機関を使う
  • ゴミを減らす
  • 再生可能エネルギーを活用する
  • 環境に配慮した製品を選ぶ

まずは、お家でできることから始めてみてください。

例えば、電気やガス、水を無駄に使わないように意識してみましょう。

外に出かけるときは、それぞれが排気ガスを出す自家用車を使うのではなく、多くの人が乗れるバスや電車などの公共交通機関を使うようにすることも、地球に優しい取り組みです。

さらに、「5R(リフューズ・リデュース・リユース・リサイクル・リペア)」を意識して「ゴミを出さないようにする」「環境にやさしい製品を選ぶ」など、私たちにできることはたくさんあります。

もっと詳しく節約やエコについて知りたいときは、下記で紹介している記事を参考にしてみてください。

【その小さな一歩が未来を変える】一人ひとりができる地球温暖化対策について解説

まとめ

本コラムでは、日本が行っている地球温暖化対策の具体的な例を解説しました。

地球温暖化は、日本の異常気象や、それに伴う海面や気温の上昇、災害や生態系の変化などさまざまな悪い影響をもたらします。

地球温暖化を止めるために、日本ではいろいろな部門で対策が進められていますが、私たち一人ひとりも、できることから始める心がけと行動がとても大切です。

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」では、小学生から中学生のお子さんと環境に関する様々な体験活動を実施しています。気になる方はぜひご覧ください。

食品ロス・店探検|イオン1%クラブ

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域発展の貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

公益財団法人イオン1%クラブでは、小学生を中心とし、体験学習から自然や環境に向き合うことができる「イオン チアーズクラブ」も運営しています。

イオン チアーズクラブではリサイクル工場の見学や、過去にはサトウキビを使ったさまざまなリサイクルの体験など、環境に関する体験や学習をしています。

また、中学生が環境問題を自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ学校で取り組んでいる環境活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」などさまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLからご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

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