海の環境問題とは?海に迫る危機と私たちができる対策について解説!
環境

2025.12.09

海の環境問題とは?海に迫る危機と私たちができる対策について解説!

海の環境問題は、私たちの暮らしにも影響を与えていることをご存じでしょうか。

ゴミ問題や乱獲、海洋酸性化など、海の環境は現在深刻な問題に直面しています。

本コラムでは、海の環境問題の具体的な影響と原因、そして私たちができる対策を解説します。

海の環境問題とは?具体例を解説

私たちの生活は、海がもたらす豊かな恵みに支えられています。しかし現在、その海は深刻な環境問題に直面しています。

ここでは、海の環境問題について具体的な例を挙げて解説します。

プラスチックごみの流出による海洋汚染

プラスチックごみの流出は、現在の海洋環境問題のなかでも特に深刻な課題とされています。

レジ袋やペットボトル、ストローなど、私たちの日常生活で使用されている使い捨てのプラスチックが、適切に処理されないまま川や海へ流出し、海洋ごみとして蓄積されています。

環境省の令和4年度の調査によると、日本の海岸に漂着する人工物ごみのうち、重量で約67%、個数では約93%がプラスチックであると報告されています。

これらのプラスチックは自然分解されにくく、海中や海底、砂浜などに長期間残留し続け、マイクロプラスチック化していくのも特徴です。

近年では、こうした目に見えない微細なプラスチックの拡散も含め、世界中の海洋で広く確認されており、地球規模での対策が急務とされています。

※ プラスチックごみが、紫外線や波によって5mm以下まで細かくなったもの

水産資源の乱獲

水産資源の乱獲とは、魚や海洋生物が自然に再生する速度を上回るペースで大量に漁獲され、資源量が減少する状態を指します。

背景には、世界的な魚の消費量の増加に加え、先進的な漁具の導入によって漁獲効率が飛躍的に向上したことが挙げられます。

国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、世界の漁業資源の約34.2%が「持続不可能な水準」で漁獲されており、資源の枯渇が懸念されています。

さらに、国際自然保護連合(IUCN)は、太平洋クロマグロやニホンウナギを絶滅の恐れがある種としてレッドリストに掲載しており、個体数の減少が指摘されています。

こうした乱獲は、生態系のバランスを崩すだけでなく、乱獲による漁獲量の減少を通じて漁業経済や沿岸部の暮らしにも深刻な影響を及ぼしています。

気候変動による海水温上昇や海洋酸性化など

地球温暖化をはじめとした気候変動は、海洋にも大きな影響を与えています。

代表的なのは、海水温の上昇、海洋酸性化、海面上昇の3つです。

海水温が上昇すると、海流の変化や酸素濃度の低下が起こり、海洋全体の環境が不安定になります。

また、大気中の二酸化炭素濃度の増加に伴い、海水に溶け込む二酸化炭素の量も増え、海が酸性に傾く「海洋酸性化」が進行しています。これにより、サンゴや貝類など、炭酸カルシウムで殻や骨格を形成する生物は成長しづらくなっています。

さらに、極地の氷が溶けることで海面上昇も進んでおり、沿岸地域では洪水や浸食といったリスクも高まっています。

こうした気候変動による変化は、海の環境に大きな負荷をかけています。

外来種の侵入

海洋における外来種とは、本来その海域にいなかった生物が人間の活動によって他地域に持ち込まれ、定着してしまうことを指します。

たとえば現代では海運の発達により、外来種が船舶のバラスト水などを通じて世界中に広がるリスクが高まっています。

バラスト水とは、大型船が航行中の安定性を保つために取り込む海水のことで、その中に微細な生物や卵が含まれる場合があります。

目的地でバラスト水が排出されると、これらの生物が新たな環境で繁殖し、在来種と餌や生息場所をめぐって競合するため、結果として在来種を減少させる原因になっています。

外来種の侵入は、一度発生すると排除が難しく、長期的な管理や対策が求められます。

海の環境問題がもたらす影響

海の環境問題は、単に海そのものにとどまらず、生き物の命や私たちの暮らし、そして地球全体の気候システムにまで影響を及ぼしています。

ここでは、こうした環境問題が引き起こす具体的な影響に注目し、海の生態系や人間社会、地球規模で進行する変化について解説します。

海洋生物の生存が脅かされる

プラスチックごみの誤飲、油の流出による被害、有害物質の蓄積など、人間の活動に起因する海の環境問題は、多くの海洋生物に直接的な健康被害をもたらしています。

たとえば、ウミガメや海鳥はプラスチック片を餌と誤認して飲み込んでしまい、消化不良を起こして命を落とす事例が多数報告されています。

また、流出した油によって、魚類や貝類のエラや体表に油が付着して機能不全に陥る場合もあります。

こうした事例から、海洋生物の存続そのものが危機にさらされているといえます。

生態系のバランスが崩れる

特定の魚種や小型生物の個体数が減少すると、それらを餌とする大型の魚や海鳥も食料を失い、食物連鎖のバランスが崩れていきます。

また、サンゴ礁が死滅すると、それをすみかとしていた小型の魚がいなくなり、連鎖的に大型の魚も減少する例もあります。

さらに、海の生態系の中で重要な役割を担っていた種が減少することで、その代わりにクラゲや外来種のような生物が過剰に繁殖するケースもあります。

このように、一部の種の増減が他の生物に波及し、結果として生態系全体を維持することが難しくなっています。

人間の健康や生活が影響を受ける

海洋環境の悪化は、私たちの生活にも密接に関わっています。

たとえば、魚や貝にマイクロプラスチックや有害物質が蓄積され、それを摂取した人間への健康リスクが懸念されています。

また、漂着ごみや油の流出による景観の悪化や観光資源の損失も、地域社会の経済や文化に少なからず影響を及ぼします。

地球温暖化を加速させる

海は地球の気候を調節する重要な役割を担っています。

しかし、海水温の上昇は台風を発生させたり、異常気象の発生リスクを高めたりする要因になると指摘されています。

また、海が吸収できる二酸化炭素の量には限界があり、その限界を超えると大気中の温室効果ガスが増加し、地球温暖化がさらに進行する可能性があります。

こうした影響は日本だけでなく、世界規模での気候システムにまで及ぶため、気候変動対策と海洋保全の両立が急務となっています。

海を守るために世界が取り組む目標「SDGs」

海の環境問題は、国や企業といったレベルでの対策も必要な地球規模の課題です。

こうした問題に対し、世界各国が協力して取り組むために定められたのが「SDGs(持続可能な開発目標)」です。

ここでは、SDGsの概要と、特に海に関わる目標について解説します。

SDGsとは?

SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年に国連サミットで採択された国際的な目標です。

2030年までに持続可能でより良い世界を実現することを目的に、貧困や教育、ジェンダー平等、気候変動、環境保全など、さまざまな分野に関する17の目標と169のターゲットが定められています。

SDGsについて詳しく知りたい方は、以下の記事で解説していますので、ぜひご覧ください。

【小学生向け】SDGsって何だろう?わかりやすく17の目標などを解説!

目標14「海の豊かさを守ろう」

SDGsの17の目標のうち、目標14は「海の豊かさを守ろう」と定められています。

これは、海洋や海洋資源を持続可能な方法で利用・管理し、海の生態系を保全することを目的とした目標です。

具体的には、海洋汚染の防止、乱獲の抑制、外来種の管理、沿岸や海洋の保護区域の拡大など、さまざまな取り組みが挙げられます。

また、海を守るための技術や資金を、発展途上国や小さな島国に届けることも重要視されています。

海は、気候の安定や食料供給、生物多様性の維持など、地球全体の環境に欠かせない存在です。目標14「海の豊かさを守ろう」は、こうした海の機能を未来に引き継ぐために、国際社会が協力して取り組むべき指針となっています。

海の環境問題に対して私たちにできること

海を守るために、私たち一人ひとりができることはたくさんあります。たとえば次のようなアクションです。

  • 海のゴミ拾い「ビーチクリーン」に参加する
  • マイバッグを持ち歩いて、プラスチックゴミをなるべく出さないようにする
  • 油っぽい食器や調理器具は、新聞紙などで一度拭き取ってから洗う
  • 節電や公共交通機関の利用など、環境に優しい暮らしを心掛ける

海を汚さないためには、ビーチクリーンをして今あるゴミをなくすことも大切ですが、そもそも「なるべくゴミを出さないようにする」ことも大切です。

また、間接的に海の環境問題を引き起こす地球温暖化をはじめとした気候変動は、人間の活動の影響を強く受けています。

節電をはじめ、なるべくエコな暮らしを心掛けることも、海を守ることにつながるでしょう。

このような個人でもできる身近な取り組みに興味がある方は、以下の記事もぜひご覧ください。

【その小さな一歩が未来を変える】一人ひとりができる地球温暖化対策について解説

ビーチクリーンとは?具体的な活動やメリット・やり方について解説

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。

イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。

体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。

「子どもを自然と触れ合わせたい」や「楽しみながら環境や社会について学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

「イオン チアーズクラブ」で開催された活動

ここでは、イオン チアーズクラブでこれまでに実施してきた活動内容の一部をご紹介します。

ビーチクリーン活動

千葉県の九十九里浜や北海道の石狩市三線浜でビーチクリーン活動を実施しました。

マイクロプラスチックや発泡スチロールなどのゴミを拾い集め、砂浜を綺麗にしました。

活動を通じて、子どもたちは「ゴミを減らすために自分たちができることは何か?」を考え、環境問題に向き合う大切さを学びました。

下水道科学館の見学

愛知県のメタウォーター下水道科学館を訪れ、下水処理の仕組みについて学習しました。

館内では、水の循環や浄化のプロセスを学べる大きな滝の展示に感動しながら、環境についての理解を深めました。

また、下水道に関するクイズにも挑戦し、スタッフと一緒に答え合わせをしながら楽しく学べました。

このほかにも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。

イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。

子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!

まとめ

本コラムでは、海の環境問題の具体的な影響と原因、そして私たちができる対策を解説しました。

海の環境問題は、プラスチックごみの流出や乱獲、気候変動など、さまざまな要因が複雑に絡み合いながら進行しています。

こうした問題は海の中だけにとどまらず、海洋生物の命や生態系のバランス、そして私たちの暮らしや地球全体の気候にまで影響を与えます。

海をはじめ、地球全体の未来を守るためには、世界規模の取り組みと同時に、私たち一人ひとりの行動も欠かせません。

海の環境を守るために、日々の生活の中でできることから、少しずつ取り組んでいきましょう。

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。

また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

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