ボランティアの意味とは?語源やボランティア活動の意義・背景を知ろう!
教育

2025.09.16

ボランティアの意味とは?語源やボランティア活動の意義・背景を知ろう!

ボランティアの本来の意味や語源をご存じでしょうか。

「ボランティア」という言葉を聞くと、「無償で社会貢献する活動」というイメージを持つ人が多いかもしれません。

しかし、本来の意味や語源をたどると、ボランティアは単なる奉仕活動ではなく、一般的には自発的な意思による社会との関わりを示す言葉なのです。

本コラムでは、ボランティアの意味について、詳しく解説します。

ボランティアの意味や語源、活動の意義は?

ここでは、ボランティアの意味や語源、活動の意義について詳しく解説していきます。

ボランティアの語源と本来の意味

辞書で「volunteer」を調べると、「志願者」「有志」「進んでやろうと申し出る」といった意味が記載されており、「volunteer」の語源はラテン語の「volo(ウォロ)=進んで〜する」に由来します。

17世紀中期のピューリタン革命で全土が混乱状態となったイギリスにおける、自分たちの村や町を守る「自警団への参加者」がもともとの意味でした。その後18世紀には世界中に展開した植民地を守る大英帝国軍への「志願兵」へと意味が拡大しました。

そういった語源的な背景がありつつ、現在では一般的に「自発的な意思に基づき他人や社会に貢献する行為」を指してボランティア活動と言われています。

ボランティア活動をする意義

ボランティア活動は、他者や社会に貢献するだけでなく、参加する方自身にも多くのメリットをもたらします。

例えば、環境保全活動としてゴミ拾いや植樹を行えば、地域の環境を守ることにつながったり、災害支援や福祉活動では困っている人を直接助けられるほか、ボランティアを通じて新しい経験やスキルを得られます。

年齢や職業を超えた多様な人々と交流することで、視野が広がり、自分の成長を実感できるでしょう。

実際に、全国の1万人の大学生や専門学校生などを対象にした、ボランティアに関する意識を探る調査によると、ボランティア活動に参加する方ほど幸福度が高いという結果も報告されています。

ボランティアの歴史とは?日本で必要とされる背景

ここまでボランティアの意味や意義について解説してきましたが、日本におけるボランティア活動はどのように広がってきたのかご存じでしょうか。

日本のボランティアの歴史と必要とされる背景について解説します。

日本でのボランティアの歴史は?広まったのはいつ?

日本では1970年代から1980年代にかけて、家電製品の普及などによる家事の省力化を背景に、生活の時間的なゆとりが増加したことで社会貢献意識が高まり、ボランティア活動が徐々に広がり始めました。

特に1980年代には、日本国際ボランティアセンターの設立や、国連ボランティアに日本から初めて参加するなど、国際的なボランティア活動への関心も高まっていきました。

さらにボランティア活動が日本社会で大きく注目されるようになったのは、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災がきっかけです。

100万人ものボランティアが被災地で支援活動を行い、特に多くの若者が初めてボランティアに参加したことが話題となり、この年は「ボランティア元年」と呼ばれるようになりました。

現在では、地域の行事の運営や交通安全活動などの地域社会の支援、環境保護、災害支援など、さまざまな分野でボランティア活動が行われています。

今、日本でボランティアが必要とされる背景

現在の日本では、少子高齢化や若者の都市部流出などにより、地域社会が抱える課題が複雑化しています。

これらの課題は、行政だけでは対応が難しくなっており、社会を支える新たな担い手としてボランティア活動の重要性が高まっています。

少子高齢化による担い手不足

日本の人口は減少傾向にあり、2023年の出生数は1947年以降で過去最低の72万7277人と、前年より約4万3482人減少しました。

合計特殊出生率※も1.20に低下し、人口減少が進行しています。

また、2023年時点で65歳以上の高齢者が人口の29.1%を占める「超高齢社会」となっており、介護や生活支援を必要とする高齢者が増加傾向にあるのが現状です。

これにより、福祉ボランティアなどの需要が高まっています。

※ 一人の女性が年齢別出生率で、一生の間に生むとしたときの子どもの数を表す数値。

若者の都市部への流出

2023年には東京圏への転入超過数※が12万6,515人となり、前年に比べ2万6,996人増加しています。

特に年代別に見ると、20代前半の転入超過数が最も多く8万1,537人に上り、前年に比べ8,324人増加しました。

地方から若者の都市部への流出により、地方では働き手や地域活動の担い手が減少しているのです。

※ 一定期間における転入者数が転出者数を上回っている数。

ボランティアの4つの原則

ボランティアの定義は難しいところですが、活動の性質上、「自主性・主体性」「社会性・連帯性」「無償性・無給性」「創造性・先駆性」という原則を持っているといわれています。

ボランティア活動をするなら参考になる内容です。ひとつずつ分かりやすく解説しているので、まずは一度、確認してみてください。

自主性・主体性

ボランティアにおいて大切なのは、「やりたい」という気持ちを大切にしながら、自発的に取り組むことです。指示を受けてや義務感ではなく、自分の意思で一歩を踏み出す姿勢こそが、ボランティア活動を支えます。

きっかけは、友人の誘いや学校・職場の行事、ニュースで見掛けた話題など、ささいなものでかまいません。大切なのは、その情報に触れたとき「自分もやってみよう」と心が動くかどうかです。

自主性や主体性のある自発的な関わり方を選ぶことが、ボランティア活動の第一歩を踏み出すきっかけになります。

社会性・連帯性

ボランティアは、社会の課題に働きかける共同活動であるため、「社会性・連帯性」といった特徴を持つといわれています。

実際、ボランティアを行うときには、多様な立場の人と交流し、互いを尊重しながら支え合う姿勢が欠かせません。

社会には貧困、環境、災害支援など解決すべき課題が数多くあります。こうした問題を見つけて解決するには、課題を自分ごととして捉える視点を持ちつつ、周囲と協調して行動する力が重要です。

無償性・無給性

ボランティアは、基本的には金銭や物的利益を目的にしない活動です。金銭をはじめとした物質的な利益が無い代わりに、活動を通じた発見や感動、人との出会い、やりがいなどの心に残る体験を得られます。こうした内面の充実が、ボランティアを続けるエネルギーになるのです。

交通費・食費・材料費などの必要な費用は、「無償」の範囲として扱うのが一般的です。支出が全て自己負担なのか、主催者が負担するかは、活動前に確認しましょう。

なお、必要経費であれ金銭の受け取りが発生する場合には、一般的なボランティアと区別して「有償ボランティア」と呼ばれることもあります。

創造性・先駆性

ボランティア活動は、既存の制度や慣習だけでは行き届かない課題に対し、人々が自らの手で新しい解決策をつくり出す場です。

固定観念にとらわれず、広い視野で状況を見極め、自由な発想で行動に移すという創造性・先駆性が、より良い社会を切り拓く原動力となります。

例えば、公的サービスの対象外となる地域の困りごとに対し、「それなら私たちでやろう」と住民が立ち上がって独自の体制を整えた事例があります。従来のやり方や考え方を超えて社会を良くしていこうとする姿勢も、ボランティア活動では重要なのです。

こんなにある!ボランティア活動の種類

ボランティア活動には、日常的に行われるものや不定期に実施されるもの、さらには災害発生時の支援など、さまざまな種類があります。

代表的なボランティア活動の種類と内容

種類主な内容
環境保全のボランティア活動・ゴミ拾い:公園や川、海岸などの清掃活動
・植樹:森林保全や緑化推進を目的とした植樹活動
地域おこしのボランティア活動・地域行事の運営:祭りやイベントの企画・運営補助
・農作業支援:農家の人手不足を補う農業ボランティア
国際分野のボランティア活動・発展途上国での支援:医療・教育・インフラ整備などの支援活動
・外国籍の子どもへの学習支援:日本語教育や学習サポート
被災地支援のボランティア活動・がれき撤去:地震や台風などで発生したがれきの除去
・炊き出し:避難所での食事提供や調理支援
子どもの成長を支えるボランティア活動・子ども食堂の手伝い:食事提供や運営のサポート
・学習支援:経済的困難を抱える家庭の子どもたちへの勉強サポート

これは一部で、他にも多くのボランティア活動があるため、自分に合ったボランティア活動を探しましょう。

今日から始められる!初心者向けボランティアの始め方

「ボランティアに興味はあるけれど、何から始めればいいかわからない…」と悩んでいる方もいるかもしれません。

ボランティア活動にはさまざまな種類があり、初心者でも気軽に参加できるものもあります。

ここでは、ボランティアの探し方や選び方、そして活動する上でのマナーと心構えをわかりやすく解説します。

まずは募集サイトなどで情報収集する

ボランティア活動には決まった形がなく、取り組む課題や地域、参加者によって活動内容は多種多様です。

まずは、どのような活動があるのかを知ることから始めましょう。

ボランティア募集のWebサイトや地域のボランティアセンターで、どのような活動が行われているか調べることができます。

今まで知らなかったボランティアの活動を知ることで、「自分にできること」が見えてくるかもしれません。

ボランティアの経験談や事例をチェックしながら、興味のある分野や自分のライフスタイルに合った活動を選ぶことが大切です。

自分に合った活動を選ぶ

ボランティア活動を無理なく始めるには、自分に合った活動を選ぶことが大切です。

1. 体力・能力に合った活動を選ぶ

ボランティアには、力仕事が必要な活動もあれば、話し相手になったり、事務作業をサポートしたりする活動もあります。

自分の体力やスキルに合った活動を選ぶことで、無理なく取り組めます。

2. 活動の頻度を考える

ボランティアには、単発で参加できるものから、毎週・毎月のように定期的に行うものまで、さまざまな頻度の活動があります。

仕事や学業、家庭の予定に支障が出ないよう、自分のライフスタイルに合ったものを選びましょう。

3. 周囲の理解を得る

家族や職場の理解を得ながら活動することも大切です。

特に、長期間続ける活動や、遠方でのボランティアに参加する場合は、事前に相談しておくと安心です。

無理をせず、自分に合った活動を見つけ、楽しく取り組めるボランティアを選びましょう。

ボランティア活動をする上でのマナーと心構え

ボランティア活動は、多くの人と関わりながら行うものです。

活動先の人々や他のボランティアと良好な関係を築き、お互いが気持ちよく活動できるよう、基本的なマナーと心構えを押さえておくと良いでしょう。

1.時間と約束を守る

集合時間や決まりごとを守り、やむをえず遅刻や欠席をする場合は、必ず事前に連絡を入れましょう。

また、活動のルールや服装などの決まりを守ることも大切です。

2.あいさつと礼儀を大切にする

あいさつは、信頼関係を築く第一歩です。

受け入れ団体のスタッフや他のボランティア、利用者に対して、積極的にあいさつを心がけましょう。

3.目的を意識し、活動に集中する

ボランティア活動は遊びではなく、社会貢献の場です。

友人と参加する場合も、おしゃべりに夢中にならず、活動に集中しましょう。

4.相手の立場を尊重し、思いやりを持つ

ボランティアの現場には、さまざまな背景を持つ人々がいます。

文化や考え方の違いを尊重し、相手を思いやる姿勢を持ちましょう。

5.個人情報や活動先の情報を守る

ボランティア活動中に知った利用者や関係者の個人情報は他言しないようにしましょう。

SNSへの投稿も、許可のない写真や内容を載せないよう注意が必要です。

6.わからないことは遠慮せず聞く

「わからないことを聞くのは失礼」と思うかもしれませんが、むしろ積極的に質問することが大切です。

間違った方法で活動を進めるより、事前に確認することで、円滑な活動につながります。

7.自主的に行動し、気づいたことを提案する

ボランティア活動では、指示を待つだけでなく、「今、自分にできることは何か?」を考えて行動することが大切です。

「こうすればもっと良くなる」と思ったことがあれば、遠慮せず提案してみましょう。

ボランティア活動は、ただ手伝うだけでなく、相手を尊重しながら主体的に取り組むことが大切です。

基本マナーと心構えを押さえて、自分も、周りも、気持ちよく活動できる環境を作りましょう。

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。

イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。

体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。

「子どもを自然と触れ合わせたい」や「楽しみながら環境や社会について学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

「イオン チアーズクラブ」で開催された活動

ここでは、イオン チアーズクラブでこれまでに実施してきた活動内容の一部をご紹介します。

九十九里浜でのビーチクリーン活動

千葉県内のイオン チアーズクラブのメンバー計64名が、「千葉県誕生150周年九十九里ビーチクリーン」のイベントに参加し、九十九里浜でビーチクリーン活動を実施しました。

メンバーは、砂浜に落ちているマイクロプラスチックや発泡スチロールなどのごみを拾い集め、海岸の環境保全に貢献しました。

この活動を通して、ごみを減らすために自分たちができることをあらためて考える機会にもなりました。

熊本市水前寺江津湖の一斉清掃活動

イオン チアーズクラブ熊本のメンバーが、熊本県の水前寺江津湖公園(すいぜんじえづここうえん)の清掃ボランティアに参加しました。

公園内の湧水路に生えた雑草を刈り取り、美しい景観を維持することができました。

また、水辺の生き物や植物の観察会も行われ、清掃活動だけでなく、環境について学ぶ貴重な機会が得られました。

万博記念公園クリーン活動

イオン高見店チアーズクラブのメンバーが大阪府吹田市(すいたし)の万博記念公園で清掃活動を実施しました。

「多くのごみを拾う」という目標のもと、大勢の参加者と協力しながら楽しく活動しました。

初対面のメンバーとも積極的に交流し、社会貢献活動を通じて協調性やチームワークを学ぶことができました。

この他にも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。

イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。

子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!

まとめ

本コラムでは、ボランティアの意味や語源、歴史など幅広く解説しました。

ボランティア活動は、明確な定義づけが難しいところですが、「自分の意思で他人や社会に貢献する行為」として、世界的に広く認識されています。

ボランティア活動は、行政が対応しきれない部分を支援し、人と人とのつながりを強くする役割も果たします。

ボランティアは活動を通じて社会に貢献するだけでなく、自分自身の成長にもつながり、より良い社会をつくる力となる重要な取り組みなので、ぜひ参加してみましょう。

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。

また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

他の記事も読む

  • ボランティアの意味とは?語源やボランティア活動の意義・背景を知ろう!

    ボランティアの意味とは?語源やボランティア活動の意義・背景を知ろう!

    ボランティアの本来の意味や語源をご存じでしょうか。 「ボランティア」という言葉を聞くと、「無償で社会貢献する活動」というイメージを持つ人が多いかもしれません。 しかし、本来の意味や語源をたどると、ボランティアは単なる奉仕 [&he

  • 子どもの貧困問題とは?日本や世界の現状と原因について解説

    子どもの貧困問題とは?日本や世界の現状と原因について解説

    「子どもの貧困」と聞くと、どこか遠い国の話のように感じる方もいるかもしれません。しかし実際には、日本でもおよそ9人に1人の子どもが貧困と呼ばれる状況に置かれています。 このコラムでは、「子どもの貧困」とはどのような状態な [&he

  • 文化の日とは?由来や何をする日かを知り、文化の重要性を再確認しよう!

    文化の日とは?由来や何をする日かを知り、文化の重要性を再確認しよう!

    文化の日とは、11月3日に定められている国民の祝日です。 しかし、「具体的にどういった日なの?」「何をするのがいいのだろう」と思っている方もいるのではないでしょうか。 本コラムでは、文化の日の由来と歴史、おすすめの過ごし [&he

  • 世界食料デーとは?世界の食料難を知り、私たちにできることをしよう!

    世界食料デーとは?世界の食料難を知り、私たちにできることをしよう!

    毎年10月16日は、国連が定めた「世界食料デー」です。 世界では十分な量の食料が生産されているのにも関わらず、飢餓に苦しむ人々が数多く存在し、特に子どもたちの健康や成長に深刻な影響を与えています。 世界食料デーは、私たち [&he