ブルーカーボンとは?具体的なメカニズムやメリットのほか課題までわかりやすく解説
環境

2026.03.31

ブルーカーボンとは?具体的なメカニズムやメリットのほか課題までわかりやすく解説

ブルーカーボンとは、海草や海藻などが光合成によって二酸化炭素を吸収することで、結果として海に貯留したものです。地球温暖化の対策につながるということで、注目されています。

しかし、具体的にどのような仕組みで、私たちの暮らしにどう関わっているのかを詳しく知る機会はまだ少ないかもしれません。

本コラムでは、環境問題に興味を持ち始めた方に向けて、ブルーカーボンの基本的な知識から、メリットや課題、さらには私たちにできる取り組みまでわかりやすく解説します。

ブルーカーボンとは?種類やメカニズムを解説

海や沿岸の生態系(海草や海藻など)によって吸収された二酸化炭素は、炭素として長期的に海底や深海に留まるといった特徴を持っています。このようにして海中に蓄積された炭素(カーボン)のことをブルーカーボンといいます。

また、ブルーカーボンを生む沿岸や海洋の生態系のことを「ブルーカーボン生態系」と呼びます。

ここでは、その生態系やメカニズムの特徴をわかりやすく解説します。

ブルーカーボン生態系の種類

ブルーカーボン生態系が具体的に何を指すかというと、海藻(うみも)や海草(うみくさ)など、「二酸化炭素を吸収し、ブルーカーボンを生む生態系」の総称です。

<ブルーカーボン生態系に含まれる種の例>

  • 海藻:コンブやワカメなど、海中に生息する胞子で繁殖する藻類(もるい)のこと
  • 海草:アマモやスガモなど、海中に生息する種子で繁殖する植物のこと。海藻と違い、根・茎・葉の区別がはっきりとしている
  • マングローブ林:海水と淡水が混ざり合うところに生息する樹木のこと。熱帯や亜熱帯の河口付近によく見られる など

いずれも水域に生息しており、光合成によって二酸化炭素を吸収する性質を持っています。

なお、陸地に生息する植物も同様の性質を持っており、その体内に蓄積された炭素のことをグリーンカーボンといいます。

ブルーカーボンのメカニズム

ブルーカーボンが注目される理由は、二酸化炭素を吸収して長期間にわたりためこむ特有のメカニズムにあります。

ここでブルーカーボンがどのように炭素を取り込み、長期間ためこむのか、その仕組みを見ていきましょう。

まず、藻類や沿岸の植物は、光合成によって海に溶け込んだ二酸化炭素を吸収し、自らの体に取り込みます。これらが枯れて死骸になると微生物による分解が始まりますが、その過程でブルーカーボンは二酸化炭素として、ふたたび放出されます。

ただし、ブルーカーボン生態系が存在する海の底や泥の中は酸素が極めて少ないため、分解速度がとてもゆるやかになります。

結果、陸地の木々が蓄積するグリーンカーボンとは、炭素の貯留年数が大きく異なるといった特徴があります。

  • グリーンカーボン:数十年単位で二酸化炭素として放出
  • ブルーカーボン:数千年単位で二酸化炭素として放出

ブルーカーボンのメリット

ブルーカーボン生態系は、地球温暖化対策として特に期待されていますが、その恩恵は多岐にわたります。

ここでは、3つの観点から、ブルーカーボン生態系がもたらす具体的なメリットを詳しく見ていきましょう。

地球温暖化の緩和につながる

ブルーカーボン生態系は、二酸化炭素を吸収するため、地球温暖化の緩和に貢献します。しかも、グリーンカーボン生態系(森林など)よりも、その効果は高いといわれています。

ブルーカーボン生態系は、炭素の吸収力が優れており、単位面積あたりの年間炭素吸収量は、森林(グリーンカーボン生態系)の2.4倍に達するといわれています(出典:国土交通省)。

また、先にお話した通り、ブルーカーボンはグリーンカーボンよりも分解速度が遅く、数千年単位という長期間にわたって炭素をため込めます。二酸化炭素の吸収量だけでなく、このメカニズムも、地球温暖化の緩和に対しメリットをもたらしています。

地球温暖化について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

地球温暖化とは?原因や影響、対策の取り組みなどわかりやすく解説

生物多様性の維持に役立つ

ブルーカーボン生態系は、多様な生き物が生まれ育まれる場として、生物多様性の維持に重要な役割を果たしています。

例えば、アマモなどの海藻が作る茂みは、魚たちの産卵場所や、小さな生き物たちの隠れ家となります。干潟には、カニや貝、ゴカイといった多くの生き物が生息し、それらをエサとする鳥たちも集まってきます。 

ブルーカーボン生態系は、海の生き物たちが産卵や成長を行ううえで欠かせない場所であり、海の豊かさを支えるという重要な働きを担っているのです。

※ 潮の満ち引きにより、時間帯によって干上がったり、海水に水没したりを繰り返す平らな砂泥地(さでいち)のこと

産業利用や地域経済への貢献

ブルーカーボン生態系は、産業利用においても大きな価値を持っています。

例えば、日本では、海藻が古くから重要な食品として利用されており、ワカメやコンブなどは私たちの食生活に欠かせない存在です。

海藻類はそのほかにも、化粧品や燃料などの原材料として活用されています。

さらには、レジャーにおいてもブルーカーボン生態系は重要だといえるでしょう。ダイビングをはじめとした海中のアクティビティにおいて、さまざまな植物や生物などを見つけて楽しめるのは、先にお話した通り、ブルーカーボン生態系が豊かであってこそのものだからです。

ブルーカーボンの課題

さまざまなメリットを持つブルーカーボンですが、その効果を十分に発揮するためには解決しなくてはいけない課題も存在しています。

ここでは、ブルーカーボンが抱える主な課題点について詳しく見ていきましょう。

正確な効果測定が難しい

ブルーカーボンの課題の一つは二酸化炭素をどれだけ吸収しているのかといった効果測定が難しいことにあります。

効果測定は、今後の研究・開発および取り組みの実施を効率化するためには必要不可欠です。

しかし、現在、確立されている効果を測定するための手法は、現地での直接的な調査が必要です。

ブルーカーボンは海底に蓄積されるということもあり、現地調査には、高度な技術かつ多くの費用がかかるため、測定が難しい状況にあります。

ただし、日本では国を挙げて調査およびそれに伴う開発が進められており、2024年4月には、国連に対して、海草藻場と海藻藻場の炭素吸収量の算定結果を報告しました。これは世界で初めてのことです。

事業性が低く人手や資金の調達が難しい

ブルーカーボン生態系の保全や拡大に必要な人手および資金の調達が難しいことも、課題の一つとして挙げられます。

人手・資金調達の難しさには、直接的な収益が得づらいといった事業性の低さが関連していると考えられています。

グリーンカーボンであれば、例えば取り組みの一環として森林管理に投資したなら、その過程で産出される木材をそのまま、または原料としてモノを作り販売しやすい傾向にあります。

一方、ブルーカーボンの取り組みで得られるのは、漁業資源の安定化や海に関連したレジャー・教育産業など、海が主体となったサービスの活性化です。これらは社会全体に利益をもたらしますが、木材のように直接的な収益に結びつく企業は少ないでしょう。

日本のブルーカーボンに関連した取り組み事例

日本では政府を中心として、ブルーカーボンを活用した地球温暖化対策を促進するための取り組みが活発に行われています。

環境省は2024年、青森県風間浦村、静岡県熱海市、福岡県宗像市の3地域を選んで重点調査を開始しました。地域の特性に合わせた海藻の試験栽培を行い、どの種類の海藻がその環境下で効果的に二酸化炭素を吸収できるかを調べる取り組みが行われています。

国土交通省では、2022年から「命を育むみなとのブルーインフラ拡大プロジェクト」をスタートさせました。海藻や海草が育つ藻場・干潟をブルーインフラと名付け、全国の港でブルーカーボン生態系の整備を進める取り組みです。

取り組みの成果を評価するため、国土交通省は「全国海の再生・ブルーインフラ賞」を創設し、優れた活動を表彰する制度も始めています。

ブルーカーボン生態系を守るために私たちにできること

海藻や海草が減少する原因の一つには水質汚染があります。私たちが海を汚さないように心掛けることは、ブルーカーボン生態系を守ることにつながるでしょう。

具体的な取り組み例としては、まず、ビーチクリーンなどの海岸清掃活動への参加が挙げられます。海岸に落ちているプラスチックごみや発泡スチロールは、やがて海に流れ込んでマイクロプラスチックとなり、水質汚染の原因となります。

また、海から遠い地域であっても、陸上でのゴミ拾いは重要です。陸地で捨てられたゴミであっても、雨や風で川へと運び込まれ、やがては海へと流れついてしまうためです。

日常生活では、洗剤や油などを適切に処理することが水質汚染の抑制につながります。例えば、食器洗いなら、環境に優しい洗剤を選択したり、油や汚れを先にふき取ってから洗うなどといったアクションを取ってみましょう。

ビーチクリーンについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

ビーチクリーンとは?具体的な活動やメリット・やり方について解説

※ 5mm未満のとても小さなプラスチックごみのこと

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。

イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。

体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。

「楽しい活動を通して、環境を守る方法やその大切さを子どもに実感してほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

「イオン チアーズクラブ」で実施された活動

ここでは、イオン チアーズクラブでこれまでに実施してきた活動内容の一部をご紹介します。

九十九里浜ビーチクリーンの活動

九十九里浜で開催されたイベント「千葉県誕生150周年九十九里ビーチクリーン」に、千葉県内のイオン チアーズクラブから計64名のメンバーが参加しました。

メンバーたちはマイクロプラスチックや発泡スチロールなど、多くのごみを拾い集めて、海岸をきれいにしていきました。

万博記念公園クリーン活動

イオン高見店チアーズクラブのメンバーが、大阪府の万博記念公園のクリーン活動に参加しました。メンバーのほか、北大阪エリアの従業員など約100人による大規模なクリーン活動でした。

初顔合わせのメンバーもいましたがすぐに打ち解けていた様子で、天候にも恵まれたなか公園を歩きながらごみ拾いを行いました。

大勢の人と一緒に目標を持って取り組んだことで、メンバーたちも楽しく活動ができました。

このほかにも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。

イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。

子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!

まとめ

ブルーカーボンは、地球温暖化対策の新たな希望であると同時に、生物多様性の維持やさまざまな産業にも貢献しています。

まずは、私たちの暮らしが、実は海の豊かさやブルーカーボンと深く繋がっていることを意識してみてはいかがでしょうか。日々の生活排水やごみの問題が、巡り巡って海の生態系に影響を与えていると知ることは、未来の海を守るための大切な第一歩になります。

豊かで美しい地球を未来へとつなぐために、私たちに何ができるのかを一緒に考えていきましょう。

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

公益財団法人イオン1%クラブでは、小学生を中心とし、体験学習を通して自然や環境に向き合える「イオン チアーズクラブ」も運営しています。

他にも、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」などさまざまな活動を実施しています。

小学生から高校生まで幅広い年齢のお子さんがさまざまな体験学習を通してSDGsに触れられる活動を多数実施していますので、ぜひ下のURLからご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

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