2024.12.19
風力発電のメリットとデメリットを説明!仕組みや注目されている背景も解説
【キャラクター紹介(しょうかい)】
愛称(あいしょう)
イオン チアーズクラブの男の子
愛称(あいしょう)
博士
愛称(あいしょう)
先生
この前風車が回ってるのを見たんだ!風車って何のためにあるの?
おお、風力発電の風車じゃな。風車が回ることで発電しているんじゃよ。便利だから、家にも設置したいんじゃが……
博士のお家じゃ狭(せま)すぎて、設置は難しいですよ。それに、風力発電は良いところもあれば、悪いところもあるんですから。
そうなの?風力発電についてもっと詳(くわ)しく知りたい!
それじゃあ、風力発電のメリットやデメリット、注目されている理由について詳(くわ)しく解説するから、しっかり聞くんじゃぞ。
目次
風力発電とは?
風力発電は、風の力を使って電気を起こす発電方法です。
風が吹く(ふく)と風車の羽が回転し、風車の中にある発電機に伝わって電気を作ります。
風車って発電のためにあるんだね!
風車は、かざりや風景の一部ではないんじゃ。しっかりとした役割があって、わしらの生活を支えてくれているんじゃよ。ずばり、未来への希望なんじゃ!
なるほど!風力発電ってそんなにすごいの?
じゃあ、どうして風力発電が注目されているかも話していきましょうか。
いま風力発電が注目されているワケとは?
現在、風力発電が注目されている理由は二つあります。
- 地球温暖化の原因となる二酸化炭素などが排出(はいしゅつ)されない
- 再生可能エネルギーで地球に優しい
一つめの理由は「地球温暖化の原因となる二酸化炭素などが排出(はいしゅつ)されない」ことです。
地球温暖化とは、二酸化炭素などの温室効果ガスによって地球に熱がこもり、気温がどんどん上がり続けてしまう現象です。
日本の発電は、石油や石炭などの化石燃料を燃やす火力発電を中心としており、火力発電は多くの二酸化炭素を出すため、地球温暖化を進める原因になります。
地球温暖化が進むと、海面が上がって島が沈(しず)んだり、農作物が収穫(しゅうかく)できなくなったりする可能性があります。
また、地球温暖化により大気が不安定になると災害が発生するリスクも高まり、地球全体に大きな影響(えいきょう)を与(あた)えるのです。
一方、風力発電は風の力でプロペラをまわしておこなう発電方法です。
発電するときに、二酸化炭素や排気(はいき)ガス、燃えカスなどを排出(はいしゅつ)しません。
これにより、風力発電の方が、地球に優しい発電方法として注目されているのです。
二つめの理由は「再生可能エネルギーで地球に優しい」です。
再生可能エネルギーは、自然の力(太陽光や風、水など)を使って発電する方法をいいます。
2021年に、エネルギー政策の基本的な方向性を示すために政府が策定した「エネルギー基本計画」では、風力発電などの再生可能エネルギーは「主力電源化の切り札」と言われるほど、高い期待を集めているエネルギー源となっています。
火力発電の原料となる石油や石炭といった化石燃料は限りある資源で、今のペースで使い続けると将来的に足りなくなってしまうと言われています。
一方、再生可能エネルギーはどれだけ使ってもなくならず、地球に優しいといったメリットがあります。
発電時に温室効果ガスをほとんど排出(はいしゅつ)しないため、地球温暖化対策にも役立ちます。
地球温暖化防止とエネルギー不足の両方の解決に期待されているのが、太陽光発電や風力発電、水力発電といった再生可能エネルギーなのです。
しかし、2022年の時点で、日本の発電の約70%は火力発電が占(し)めています。これに対して、風力発電で作られる電気は全体の約0.9%しかありません。
国の偉(えら)い人たちは、火力発電に使う資源がいつかなくなってしまうことや、地球のことを考えて、これからは風力発電などの再生可能エネルギーをもっと増やす計画を立てています。
風力発電を増やすことで、地球にやさしい方法でエネルギーをたくさん作ろうと考えているのです。
風力発電は地球に優しいんだね!地球温暖化は怖(こわ)いから、もっと風力発電を増やしていかないと!
風力発電でつくっている電気はまだまだ1%にも満たないから、これから先、どんどん増やしていく計画を立てているんじゃ。
風力発電が地球に優しいことがわかったところで、次にメリットとデメリットも見ていきましょう。
風力発電のメリット
風力発電のメリットは4つです。
- 地球に優しい
- 資源がなくならない
- エネルギー変換(へんかん)効率が良い
- 一日を通して発電できる
以下で、それぞれ詳(くわ)しく解説します。
地球に優しい
風力発電は風の力を使って電気をつくるため、化石燃料を燃やして電気をつくる火力発電とは違(ちが)い、二酸化炭素を出しません。
今後、風力発電が広まれば、日々の生活によってつくられる二酸化炭素の量が減り、地球を守ることにつながるでしょう。
資源がなくならない
風はどれだけエネルギーとして使っても、化石燃料のようになくなりません。
また、風力発電は風が吹(ふ)いていれば、時間や天気に左右されず、いつでも発電できます。
風力発電は、私たちの大切な資源を守り、地球に優しいエネルギーを未来へ引き継(つ)ぐために、とても必要とされています。
エネルギー変換(へんかん)効率が良い
風力発電は、太陽光発電などの他の再生可能エネルギーと比べると、エネルギー変換(へんかん)効率が良い発電方法です。
エネルギー変換(へんかん)効率とは、使ったエネルギーに対して、どれだけのエネルギーを取り出せるかを示す数値です。
太陽光発電や地熱発電の場合、エネルギー変換(へんかん)効率は約10〜20%とされていますが、風力発電は最大で約30~40%ものエネルギー変換(へんかん)効率があります。
他の再生可能エネルギーと比べて、2倍近くの高いエネルギー変換(へんかん)効率で発電できるのです。
一日を通して発電が可能
風力発電は風が吹(ふ)いている限り、昼夜や雨の日も関係なくいつでも電気をつくり続けます。
一方、太陽光発電の場合、昼間は太陽の光を浴びて発電できますが、夜や雨の日は太陽の光が届かないため発電することができません。
人間が手を加えなくても自然に電気をつくれる風力発電は、地球全体に優しい発電方法と言えるでしょう。
風力発電にはたくさんの良いところがあるんだね!他の再生可能エネルギーよりも良いところもあるし、もっと増えても良いのになぁ。
良いところもあれば悪いところもあるんですよ。ね、博士。
そのとおり。そう上手くいかないんじゃ。次は風力発電のデメリットについて、解説するからよく聞くんじゃぞ。
風力発電のデメリット
風力発電のデメリットは6つです。
- 発電量が安定しにくい
- 台風や落雷(らくらい)の被害(ひがい)を受けやすい
- 定期的なメンテナンスが必要になる
- 騒音(そうおん)により近くの住民に迷惑(めいわく)をかけることがある
- 設置にかかるお金が高い
- 設置に適している場所が限られている
風力発電のデメリットを6つ解説していきます。
発電量が安定しにくい
風力発電の発電量は風の強さに大きく左右されてしまうというデメリットがあります。
風が弱いと、風車の羽根はゆっくりとしか回らず、発電する電気が少なくなってしまいます。
一方で、台風のように風が強すぎると、風力発電設備が壊(こわ)れてしまう可能性もあります。
風力発電は風の強さに左右されやすく、安定して電気をつくることが難しいという課題があります。
台風や落雷(らくらい)の被害(ひがい)を受けやすい
風力発電は、自然の力を使って電気をつくる発電方法ですが、その一方で台風や落雷(らくらい)といった自然の影響(えいきょう)を受けやすいのも事実です。
強風によって風車が壊(こわ)れてしまうだけでなく、場合によってはタワーが根元から折れてしまうこともあります。
さらに、風車の羽根などの破片が強い風で遠くまで飛ばされてしまうと、近くの家に被害(ひがい)を与(あた)えてしまう可能性もあるでしょう。
また、風力発電の設備は高い場所に設置される場合が多いため、落雷(らくらい)の被害(ひがい)も受けやすいのです。
特に、冬に発生する「冬季雷(とうきらい)」は、夏に発生する雷(かみなり)よりも規模が大きく、プロペラの故障など風力発電の設備に大きな被害(ひがい)をもたらす可能性があります。
風力発電は、自然災害に対しての備えをしっかりとしておく必要があります。
定期的なメンテナンスが必要になる
風力発電の風車は外に設置されるため、定期的なメンテナンスが必要です。
雨風や太陽の光にさらされるため、時間が経つと部品が傷んでしまったり、壊(こわ)れてしまったりするからです。
メンテナンスには、風車の羽根や発電機などの部品を定期的に点検・交換(こうかん)する必要があります。
風力発電を安全に、長く使うためには、定期的なメンテナンスがとても大切なのです。
騒音(そうおん)により近くの住民に迷惑(めいわく)をかけることがある
風力発電は、風車が回るときに、低周波音と言われる低い音が発生し、近くの住民に迷惑(めいわく)をかける場合があります。
低周波は人の耳では聞こえにくい音と言われていますが、感じ方には個人差があります。
風力発電の風車を設置するときには、近くに住んでいる住民の方々の迷惑(めいわく)にならないよう、騒音(そうおん)問題に気をつける必要があるのです。
騒音(そうおん)対策には、ナセルと呼ばれる風車上部の部品に防音材を設置したり、ギアレス(ギアがない)で動く風力発電施設(しせつ)を導入したりとさまざまな方法が考えられています。
設置にかかるお金が高い
風力発電を設置するためには、最初にたくさんのお金が必要です。
風力発電の風車はとても大きいので、つくるときも、設置するときも、たくさんのお金がかかります。
さらに、風力発電をするためには広い土地が必要になり、土地を買う値段も高いです。
設置したいと思っても、たくさんのお金が必要になるので、難しいという場合もあります。
設置に適している場所が限られている
風力発電の設置に適している場所を選ぶ際は、これまでにデメリットとして解説したことをよく考えて検討する必要があります。
風力発電を設置するためには「発電量が安定していること」や「台風や落雷(らくらい)の被害(ひがい)を受けにくいこと」「騒音(そうおん)で近隣(きんりん)住民に迷惑(めいわく)がかからないこと」など、さまざまなことを考えなければいけません。
また定期的なメンテナンスも必要ですし、私たち人間だけではなく、鳥類が移動するときの経路にならない場所を選ぶ必要もあるでしょう。
ここに記載(きさい)したすべての条件を満たした場所を見つけることはとても難しいので「どこが良いかな」と国の偉い(えらい)人たちも困っているのです。
そっか、風力発電は最初にお金がかかるし、たまに部品を交換(こうかん)することも必要なんだ。設置したら終わりじゃないから、たくさんのお金がかかっちゃうんだね。
地球には優しいが、お財布には優しくないんじゃ。もっと安くなれば、導入が増えるかもしれないのう。
じゃあ、次は日本ではどれだけの風力発電が導入されているかを解説しましょうか。
日本の風力発電の導入状況(じょうきょう)
国内の2022年度の自然エネルギー電力の割合2022年のデータを見ると、風力発電でつくられた電気は日本で使われている電気全体のたったの約0.9%とまだまだ少ないのが現状です。
ただし 2014年時点では電気全体の約0.5%だったため、風力発電でつくる電気の量は年々少しずつ増えています。
一方、海外では風力発電でたくさん発電している国もあります。
海外各国の2022年の自然エネルギー電力の割合を見ると、オーストリアでは風力発電の割合が全体の110%もあります。
風力発電をはじめとした自然エネルギーの利用は、日本や世界各国が「地球に優しい国を目指そう」という気持ちで進められている取り組みです。
これらの活動を続けることで、地球の環境(かんきょう)を守ることができます。
うーん、風力発電でつくっている電気はまだまだ少ないんだね。
日本は土地が狭(せま)く、風力発電の設置できる場所が少ないというのもあるじゃろう。
そっか。土地が広い国だと、もっとたくさん風力発電の風車を建てられるんだね!
でも、今は色んな風力発電があるんですよ。
そうなの?それについても教えて!
風力発電の種類
風力発電には大きく分けて二つの種類があります。
以下で、風力発電の種類について解説していきます。
陸上風力発電
陸上風力発電はその名の通り、陸の上に風車を建てて風力発電を行う方法です。
日本で一番見かける発電方法で、広い平野や山の上など、風が安定して吹(ふ)く場所に設置されます。
陸上風力発電は、次に説明する洋上風力発電よりもお金があまりかからず、設置もしやすい方法です。
しかし、騒音(そうおん)や景色が台無しになる、鳥がぶつかるなどの問題もあり、設置場所は慎重(しんちょう)に決める必要があります。
洋上風力発電
風力発電には、海や湖の上に風車を建てる方法があります。
こういった水上に建てる風力発電のことを「洋上風力発電」と言います。
海の上は障害物がないため、陸の上よりも風が強く、洋上風力発電は陸上風力発電よりもたくさんの電気を発電できる可能性があるのです。
日本では、風力発電に適した広い土地が少なく、周りが海で囲まれているため、最近では洋上風力発電が注目を集めています。
海の上にも風車って建てられるんだ!
昔は陸にしかなかったが、これも技術の進歩じゃよ。日本は洋上風力発電が向いている国なんじゃ。
では、洋上風力発電についてもう少し詳(くわ)しくお話ししましょう。
いま注目されている洋上風力発電とは
洋上風力発電とは海の上に風力発電設備を設置し、風力を利用する発電方法です。
陸上風力発電と比べると、洋上風力発電には以下のようなメリットがあります。
- 海上は陸上に比べて強い風が安定して吹(ふ)くため、より多くの電力を発電できる
- 陸地から離(はな)れた場所に設置されるため、騒音(そうおん)問題が起こりにくい
- 周りに障害物がないため大きな風車をつくりやすく、発電できる電気も増える
一方で、以下のようなデメリットもあります。
- 海上に設備を設置するため、建てるのにお金がたくさん必要
- 海上に設置されるため、陸上に比べて点検や部品の交換(こうかん)といったメンテナンスが難しい
洋上風力発電はメリットとデメリットの両方がある発電方法ですが、地球に優しいエネルギーのため、世界で積極的に導入を進めています。
日本でも洋上風力発電が増えていけば、風力発電の割合を増やし、地球が抱(かか)える色々な問題の解決につながるかもしれません。
うーん、良いところも悪いところもあるんだね。
たくさん発電できる代わりに、海の上につくったり、手入れをしたりするのが大変なんじゃ。じゃが、今後の技術の進歩によっては、もっと簡単にできるようになるかもしれないぞ。
世界の導入例を参考に、日本でも積極的に取り組んでいきたいですね。
まとめ
今回は、地球に優しいエネルギーである風力発電について詳(くわ)しく見てきました。
風力発電は、風の力で風車を回して電気をつくる、地球に優しい発電方法です。
たくさんのメリットがある一方で、発電量が風の強さに左右されたり、台風や落雷(らくらい)による被害(ひがい)を受けやすかったりといった課題も抱(かか)えています。
日本は現在、風力発電を増やせるように色々な方法を試しているので、みんなも風力発電についてもっと知って、地球の未来について考えてみましょう。
風力発電ってとても地球に優しい発電方法だったんだね!これからどんどん増えていくと良いな。
デメリットもありますが、地球の将来を考えるのなら、今後も導入は進むでしょうね。
なら、いつかはあちこちで風車が見られるようになるかも!
エネルギー問題についてもっと詳(くわ)しく知りたいのなら、公益財団法人イオン1%クラブのホームページを見ると良いですよ。公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」の体験学習に参加してみるのもおすすめじゃよ。
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