
2025.06.17
海の日はいつ?由来や海の環境について考えてみよう!
海の日は、毎年7月の第3月曜日に定められている国民の祝日です。
夏の行楽シーズンに重なることもあって、海開きのタイミングとしても知られています。
しかし、この日は、もともと「海の記念日」と呼ばれていたことをご存じでしょうか?
本コラムでは、海の日の由来や歴史、そして海の日に考えたい海洋問題について解説します。
目次
海の日とは何をする日なの?いつから始まったの?

毎年7月の第3月曜日は「海の日」といって、海の恩恵に感謝するとともに、海洋国家である日本の繁栄を願う国民の祝日です。
しかし、「海の日って何をする日なの?」「どうして7月の第3月曜日が海の日なの?」と疑問を感じる方も、なかにはいるかもしれません。
そこでここでは、海の日に日本ではどのようなイベントが行われているのか、また歴史や由来などについて解説します。
海の日のイベント
日本各地では海の日にちなんださまざまなイベントが開催されているのをご存じでしょうか。
国土交通省は海の日を含む7月の1ヶ月間を「海の月間」と位置付け、海にまつわる全国のイベントを推進しています。
イベント内容はさまざまですが、例えば海の近い都市では、水族館を無料開放したり、子どもを対象としたライフセービング※教室が開かれたりしています。
※ 主に水辺での事故防止や万が一のときのための救助に関する活動全般のこと
海の日の歴史と由来
海の日は、「国民の祝日に関する法律」の改正により1996年1月1日に施行され、同年7月20日に初めて実施されました。
しかし、7月20日は「海の日」と定められる前から、「海の記念日」という名称で多くの人々に親しまれていました。
ここでは、海の日がどのような歴史的背景を経て誕生したのかを、年代順に整理してご紹介します。
1876年7月20日
1876年7月20日は、明治天皇が灯台巡視用の船「明治丸」に乗り、青森・函館を経由して横浜港へ無事帰還された日です。
明治丸はイギリスに発注して作られた鉄製の船であり、当時の最先端技術を駆使して作られたものでした。灯台巡視用ではありますが、豪華な特別室や歓談用のサロンなども備えられており当時大きな話題になりました。
1941年6月5日
明治天皇の航海から65年後の1941年に、7月20日が「海の記念日」として定められました。
この時点では、まだ祝日という扱いではありません。しかし、海の恵みに感謝し、日本が海洋国として発展することを願う日として広く認識されるようになりました。
特に海事関係者(海運業や造船産業などの関係者)は、海の記念日を大切に扱い、毎年、行事を開催していたと言います。
1996年1月1日
1941年以降、海の記念日は各地で親しまれてきました。そしてついに1959年には、海事関係者を中心に「国民の祝日にしよう」という祝日化運動にまで発展したのです。
祝日化運動は長年続き、その努力が実を結んだのは1996年のことでした。1月1日に国民の祝日に関する法律の一部を改正する法律が施行され、ようやくこの年の7月20日に初めての海の日を実施したのです。
日付が変わった理由
海の日は7月20日に制定された国民の祝日ですが、ハッピーマンデー制度の適用により、2003年から7月の第3月曜日に変更されました。
ハッピーマンデー制度とは、週の途中にある祝日を月曜日に移動させ、土日と合わせて3連休を作り、国民の余暇活動をより充実させようといった観点から導入された制度です。
これにより、海の日は毎年3連休の最終日となり、連休が増えると旅行需要が高まることから観光業や観光に伴う交通の活性化を促す役割も果たしています。
海外にも海にちなんだ記念日がある

海にちなんだ記念日は、日本だけでなく海外にもあることをご存じでしょうか。
- 国連「世界海洋デー」
- アメリカ「国立海洋デー」
- イギリス・カナダ「海の日」
ここでは、世界の代表的な海にちなんだ記念日を3つ紹介します。
国連「世界海洋デー」
毎年6月8日は、世界海洋デーです。
1992年の地球サミットで初めて提案され、2008年12月に国連によって正式に制定されました。翌2009年から、国連が定める国際的な記念日としてスタートし、以来、海洋に関する問題への関心を喚起する重要な日となっています。
制定の目的は、海洋の大切さや役割を広く認識し、海の保全に向けた意識を高めることです。
世界海洋デーには、世界中で海を守るためのイベントやキャンペーンが開催されます。
- 世界海洋デー・セレブレーション(ハワイ):家族連れ向けのイベントを実施、サンゴの餌付け体験や各種展示・解説など
- Ocean Week Canada(カナダ):海に関するワークショップや映画上映、サーフィン体験など
- ビーチクリーン(日本ほか多数):海の清掃活動をイベントとして大々的に行う国が多数
アメリカ「国立海洋デー」
毎年5月22日は、アメリカの国立海洋デーです。
この日は1819年5月22日にアメリカの蒸気船サバンナ号が、世界で初めて蒸気機関を使用しての大西洋横断に成功したことに由来しています。
18世紀に蒸気船が発明されるまでは帆船(はんせん)といって、風を動力とする船が一般的だった時代でした。蒸気船による大西洋横断のニュースは衝撃が大きく、物流の仕組みが大きく変わっていくことを予感させる重大な日となったのです。
それから100年以上の時を経て、1933年5月20日、フランクリン・D・ルーズベルト大統領はサバンナ号の功績を称え、毎年5月22日を「国立海洋デー」と定める宣言を行いました。
それ以来現代に至るまで、アメリカでは毎年5月22日には国旗を掲げ、海の安全や国家の繁栄を願う記念日として親しまれています。
国立海洋デーは、英語では「National Maritime Day」と呼ばれ、アメリカ各地で殉職船員(じゅんしょくせんいん)の慰霊(いれい)や海事産業の表彰などの式典が催されます。
イギリス・カナダ「海の日」
イギリスとカナダでは、世界海洋デーと同じ6月8日を海の日(Ocean Day)として定めています。由来は、1992年の地球サミットで世界海洋デーが提案されたことです。
両国はこの日の目的として、「海洋環境を守り再生すること」を据えています。
イギリスでは水族館で海の日にちなんだイベント、カナダではダイビング教室や乗船体験などといった海にちなんだイベントが実施されています。
海の日は海の環境について考えてみよう!

今、世界では海洋汚染やサンゴ礁の絶滅危機など海に関するさまざまな環境問題が起きていますが、海の日はこれらの問題に目を向けて私たちにできることを考える良い機会です。
ここでは、今、海にどのような問題が起きているのか、私たちはどのようなことを考えたら良いのかについて解説します。
SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」について知ろう
SDGsとは、2015年に国連サミットにおいて「持続可能な開発目標」として採択されたもので、大きく分けて17の目標があります。そのうちの14番目として掲げられているのが、「海の豊かさを守ろう」です。
「海の豊かさを守ろう」が目指すのは、「海の資源を守り、大切に使う」ことです。この目標を達成するには、国や事業者による大規模な取り組みが必要ですが、一方で私たち一人ひとりの意識改革も欠かせません。
まずはSDGsを参考にして、「世界的にどんなことが必要だと言われているのか」を確認しましょう。
「海の豊かさを守ろう」には、小目標が7つ、具体的な方法が3つ設定されているのですが、ここでは分かりやすいものをピックアップしてご紹介します。
小目標1
2025年までに、海洋ごみや富栄養化※など、特に陸上の人間の活動によるものをふくめ、あらゆる海の汚染をふせぎ、大きく減らす。
※ 水の中に、プランクトンなどの生物にとって栄養となる成分(リンやちっ素など)が増えすぎてしまうこと。赤潮の原因になるなど、生態系に影響を与えるといわれている。
出典:日本ユニセフ協会
小目標2
2020年までに、海と沿岸の生態系に重大な悪い影響がでないように、回復力を高めることなどによって、持続的な管理や保護をおこなう。健全で生産的な海を実現できるように、海と沿岸の生態系を回復させるための取り組みをおこなう。
出典:日本ユニセフ協会
小目標1では、海をこれ以上、汚染しないことを目標としています。小目標2では、生態系保全および回復のための取り組みを進めることを目標としています。
このような小目標をはじめ、「海の豊かさを守ろう」の内容に一度目を通すことは、「世界的に注目されている海の環境問題とは何か」を知ることにつながるでしょう。
海洋汚染について考えよう
海洋汚染とは、私たち人間の日常生活や産業活動から発生するゴミや排水が、海洋に悪影響を及ぼすことです。
海のゴミは年々増え続けており、このままでは2050年には海洋ゴミが魚より多くなってしまうと考えられています。
なかでも、深刻な問題とされているのがプラスチックゴミの流出です。
海に流れ出たプラスチックゴミを海の生き物が餌と間違えて食べると、窒息する危険性があります。また、プラスチックゴミが胃に溜まって健康へ悪影響を及ぼし、最悪の場合、死に至るケースもゼロではありません。
海の日をきっかけに海洋汚染について考え、ゴミの分別やリサイクルなど、身近な行動を見直してみましょう。
サンゴ礁の絶滅について考えよう
地球温暖化によって引き起こされる海水の温度上昇や、海洋酸性化などによってサンゴ礁の数が大きく減少しています。
サンゴ礁には、9万種もの生き物が暮らしているといわれるほど、生物多様性に富んでいるのが特徴です。
サンゴ礁が死滅してしまえば、サンゴに卵を産み付ける魚は種の保存ができなくなります。そうなると、その小魚を食べている中型の魚が減り、さらには中型の魚を食べる大型の魚も数が減ってしまうといった悪循環が起こります。
海の日には、サンゴ礁を守るため、ひいては二酸化炭素の排出を減らすために自分にできることはないかを考えてみるのも良いでしょう。
私たちにもできること「ビーチクリーン」に参加してみよう!

海の日は、海の恵みに感謝するとともに、海について知り、海を守るために何ができるかを考える日でもあります。
「海が大切なことはわかったけれど、何をすれば良いだろう」「みんなで協力して海を守る活動にチャレンジしたい」という方は、ビーチクリーン活動への参加がおすすめです。
ビーチクリーンとは、海辺の清掃活動のことで、単にゴミを拾うだけでなく、美しい海や砂浜を守ることや、海の生き物を保護することにもつながる活動です。
また、ゴミ問題への意識を高めることも大きな目的の一つであり、参加者や周囲の人々に環境保護の大切さを伝える役割も果たします。
ビーチクリーンの取り組みを詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
ビーチクリーンとは?具体的な活動やメリット、やり方について解説
海の環境について学ぼう!公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。
イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。
体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。
「子どもを自然と触れ合わせたい」や「楽しみながら環境や社会について学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。
イオン チアーズクラブで開催された活動

ここでは、イオン チアーズクラブでこれまでに実施してきた活動内容の一部をご紹介します。
海の環境について学ぶイベント
イオン チアーズクラブは、京都大学フィールド科学教育研究センターと公益財団法人イオン環境財団による新しい里山・里海共創プロジェクトの一環として、「白浜の豊かな海と生き物について学ぼう」というイベントに参加しました。
講義室で海の中の生態系の基礎について学んだ後、実験所の設備を見学し、白浜水族館の展示観覧とバックヤードツアーを行いました。
普段見ることのできない水族館の裏側や、海の生き物の観察を通して、海の環境を守る意識を高める活動となりました。
ビーチクリーン活動
イオン チアーズクラブでは、これまでに千葉県の九十九里浜や、北海道の石狩市東地区海浜地、通称三線浜(さんせんはま)などでビーチクリーン活動を行いました。
落ちているマイクロプラスチックや、発泡スチロールなど多くのゴミを拾い集め、綺麗になった砂浜を見てメンバーたちは嬉しそうでした。
ビーチクリーン活動を通して、メンバーはゴミを減らすためにできることをあらためて考える良い機会となりました。
河川の水質調査
イオン チアーズクラブでは、毎年環境の日(6月5日)に合わせて、全国で近隣の河川の水質調査を行っています。
調査キットを使用して水質汚濁の度合いなどを計測し、身近な水環境について学ぶとともに、魚たちが住みやすい環境かどうかを調査しました。
結果は、全国水環境マップ実行委員会によって公開され、水環境の変化の把握や、水質改善や水辺の環境整備など水環境を守る活動に役立てられています。
この他にも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。
イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。
子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!
まとめ
本コラムでは、海の日について由来や歴史、海の環境問題について解説しました。
海の日は、海の恩恵に感謝するとともに、海洋国家日本の繁栄を願う日です。この日をきっかけに海洋問題や、私たちにできることについて調べてみましょう。
海の日に各地で行われるさまざまなイベントへの参加は、海の大切さを学べる良い機会です。家族で楽しめる体験イベントから、ワークショップまでさまざまあるので、興味のある方はぜひ参加してみてください。
公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。
また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。