ヒートアイランド現象とは?メカニズムや影響をわかりやすく解説
環境

2026.06.02

ヒートアイランド現象とは?メカニズムや影響をわかりやすく解説

「ヒートアイランド現象」とは、都市を中心に島状に気温が高くなる現象のことです。猛暑や大雨、大気汚染にも関係するといわれており、私たちにとっても身近な問題です。

しかし、そのメカニズムや具体的な影響、地球温暖化との違いについては知らない方も多いのではないでしょうか。

そこで、本コラムではヒートアイランド現象に関する基礎知識を、わかりやすく解説します。異常気象や植物の開花時期のずれなど、「昔と変わってきた」と感じることとヒートアイランド現象の関係を知りたい方はぜひご覧ください。

ヒートアイランド現象とは?簡単に概要を解説

地球温暖化が叫ばれるようになって久しいですが、実は都心部の気温上昇には「ヒートアイランド現象」も大きく関わっています。

ここでは、ヒートアイランド現象の定義やメカニズムを地球温暖化との違いも含めて解説します。

ヒートアイランド現象とは都市部の気温が郊外よりも高くなること

ヒートアイランド現象とは、都心の気温が郊外に比べて高くなることを指します。

都心部ほど気温が高く、郊外に向かうほど気温が低くなるという気温分布図が、まるで島のように見えることからこの名前が付けられました。

引用元:気象庁

近年は特に夏の猛暑が問題視されていますが、実は一年を通してヒートアイランド現象の影響は出ています。

日本では東京や大阪、名古屋といった大都市圏で特に顕著です。

例えば、東京では約100年の間に、冬の最低気温が4.8℃、夏の最低気温が2.7℃上昇しました。一方で、世界の平均気温の上昇は、約100年間で0.7℃です。

ヒートアイランド現象のメカニズム

ヒートアイランド現象のメカニズムは、昼にため込んだ熱が夜になっても冷めにくいという、都市特有の構造に起因しています。

昼間の都市は太陽の光や社会活動、エアコンなどの排熱によって地表に熱がたまります。

ただし、熱された空気は上昇し拡散されるため、日中における地表付近の気温上昇は郊外と比べても1~2℃程度に留まります。ヒートアイランド現象による気温上昇が顕著に見られるのは、実は夜なのです。

夜になると、熱の広がり方が小さくなり風も弱まるため、都市部では気温が下がりにくくなります。その結果、深夜の地表付近の気温は郊外に比べて3~4℃高くなり、「熱の島」を形成していきます。

ヒートアイランド現象と地球温暖化との違いとは

ヒートアイランド現象と地球温暖化の違いは、メカニズムにあります。

地球温暖化は、二酸化炭素などの温室効果ガスが増え地球を覆うことで起こるものです。本来なら地球から宇宙へ逃げるはずの熱を温室効果ガスが吸収してしまい、一部を再び地上へ戻すため、気温が上がります。

そのため、ヒートアイランド現象によって気温が上がるのは都市部ですが、地球温暖化では地球全体に影響を及ぼします。

また、地球温暖化は影響範囲が大きい分、森林火災の増加や野生生物の減少・絶滅など、自然環境に与える被害もヒートアイランド現象より甚大です。

地球温暖化について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

地球温暖化とは?原因や影響、対策の取り組みなどわかりやすく解説

ヒートアイランド現象の主な原因は3つ

ヒートアイランド現象は、都市の構造によって気温が上がりやすく冷めにくい状態が作られることで起こります。ここでは、そのような状態を引き起こす主な原因について解説します。

①工場や自動車などからの排熱の増加

ヒートアイランド現象の原因の一つは、人工排熱の増加です。

排熱は、工場や自動車の稼働によって起こるほか、空調機器の使用によって起こります。いずれもエネルギーを消費するに伴って、熱が環境中へと放出されるためです。

日本国内において排熱のなかでも増加傾向にあるのは、一般の住宅やオフィス、商業ビルなどといった建物から出る空調機器の使用に伴うものです。ヒートアイランド現象や地球温暖化の影響を受けて、使用頻度や時間が増えているといった悪循環もあるでしょう。

一方、工場や自動車からの排熱は、減少傾向にあります。省エネルギー化をはじめ、環境に配慮する取り組みが活発な分野であるためと考えられます。

②アスファルトやコンクリート面の比率拡大

ヒートアイランド現象の原因の一つには、地面を覆うアスファルトやコンクリート面の割合増加があります。

アスファルトやコンクリートは太陽光を受けると、表面の温度が50~60℃まで上昇します。さらに、一度温まると夜まで熱を保持するため、夜になっても気温が下がりにくい原因となるのです。

また、アスファルトやコンクリート面が増えるのに伴い緑地が減少すると、熱をため込む傾向がさらに強まります。

植物も日中に熱をため込みますが、蒸散※1によって気化熱※2として放出されるため、気温が上がる要因にはなりません。生い茂った葉が日差しを遮ることで、日中の地面の温度上昇を抑制するといった働きもあります。

※1 蒸散とは、植物の体内にある水が、葉の表面にある小さな穴から空気中に出ていく現象
※2 気化熱とは、液体が気体に変化する際に、周囲から吸収する熱エネルギーのこと

③都市部における建物の密集

都市部ほど建物は密集しやすくなりますが、これもまたヒートアイランド現象の原因の一つです。

昼間、日光や社会活動で発生し都市にこもった熱は、本来なら風で拡散されたり、夜間に大気に放出されたりして冷却されます。

しかし、建物が密集していると、風向きによっては風力が弱まり、熱の拡散や換気をする効果が弱まります。

特に空が見えにくいほど高層の建物に囲まれているエリアでは、夜間の大気放出が妨げられやすく、夜や朝方になっても気温が下がりづらい傾向にあります。

ヒートアイランド現象がもたらす影響

近年、問題となっている災害級の猛暑や集中豪雨といった異常気象の主な原因は地球温暖化ですが、都市部ではヒートアイランド現象によってその影響がより強まることがあります。

ここでは、ヒートアイランド現象によって起こり得るさまざまな問題を見てみましょう。

熱中症や睡眠の質低下などが起こる

ヒートアイランド現象により気温が高くなると、熱中症や睡眠不足になる恐れがあります。

熱中症とは、高温多湿な環境で、発汗などによる体温調節が働かず、体内に熱がこもった状態のことです。特に、体温調節の力が未発達な子どもや、暑さ・水分不足の感覚を感じにくい高齢者は注意が必要です。

暑さのせいで夜にしっかり眠れず、睡眠の質が下がったり、睡眠不足になったりする懸念もあります。

例えば、東京都の大手町では100年前は年間5日間しかなかった熱帯夜が1970年代後半に初めて年間30日を超え、近年では熱帯夜が40日以上ある年も増えています。

大気汚染が悪化する恐れがある

ヒートアイランド現象によって都市の気温が上がると、大気汚染の深刻化が懸念されます。大気が温まり都市上空の空気の流れが活発になると、大気が拡散しにくくなり、大気汚染物質の濃度が高まる恐れがあるためです。

問題となる大気汚染物質には、例えば、光化学スモッグが挙げられます。

光化学スモッグの原因となる光化学オキシダントは、自動車や工場などから排出される窒素酸化物や揮発性有機化合物が、紫外線を受けることで生成されるものです。気温の上昇と共に増加するという統計データが出ています(出典元:国土交通省)。

光化学スモッグが発生するとモヤがかかったようになるだけではなく、目や喉の粘膜に刺激を与え、健康被害を引き起こす恐れがあります。

集中豪雨が起こりやすくなる場合がある

ヒートアイランド現象によって、集中豪雨が増加する可能性があるといわれています。

豪雨の原因となる積乱雲は、地上近くの温かく湿った空気が、不安定な大気の影響で上昇することで空気の中に含まれた水分が凝結し、発達します。

ヒートアイランド現象では都心部の空気が温まり、上昇気流が起こりやすい状況をつくるため、積乱雲の発達を促す場合があるのです。

ただし、現時点ではデータが不足しており、集中豪雨の増加が必ずしもヒートアイランド現象によるものであるとは言い切れません。

夏場の冷房によるエネルギー消費が増加する

家庭やオフィスなどでの冷房使用によるエネルギー消費量は、ヒートアイランド現象および地球温暖化の影響で増え続けています。

冷房の使用自体もまた、ヒートアイランド現象や地球温暖化を進行させる要因のため、悪循環を起こしやすいのが難点です。

また、身近なところでは、エアコンの使用頻度や時間が増えれば家計負担が大きくなってしまいます。

植物の開花や紅葉時期に変化が起こる

桜の開花日の早まりや、紅葉時期の遅れなど植物への影響も、ヒートアイランド現象や地球温暖化に伴う気温上昇が原因だといわれています。

都市部では近年の気温上昇で桜の開花時期が早まっていることが報告されている一方で、気温上昇による開花日の遅れも報告されています。

落葉樹が春に開花するには、秋から冬にかけて一定の低温にさらされなければなりません。

冬の最低気温が上昇すると、開花に必要な低温時間を満たせず、開花時期がずれてしまいます。梨など果物の実りの時期にも関わるため、農家にとっても深刻です。

また、国立科学博物館では、暑い地域に生息する植物が大きく増え、逆に寒冷地域の植物は大幅に減少したという変化を観測しています。

国や自治体によるヒートアイランド対策例

日本では、2004年のヒートアイランド対策関係府省連絡会議において「ヒートアイランド対策大綱」が策定され、関係府省が連携して対策が進められてきました。その基本方針は次の5つです。

  1. 人工排熱の低減
  2. 地表面被覆の改善
  3. 都市形態の改善
  4. ライフスタイルの改善
  5. 人の健康への影響などを軽減する適応策の推進

こちらの方針に基づき、各自治体がヒートアイランド対策を行っています。ここでは、東京都と埼玉県を例に見てみましょう。

東京都「東京暑さマップの作成・公開」

東京都では、2025年6月に「東京暑さマップ」を作成・公開するという取り組みを実施しました。

東京暑さマップでは、都内全域の暑さ指数を1km単位で表示しており、さらには1週間先まで暑さ指数の最高値を確認できる仕組みになっています。これにより、自宅周辺や職場・学校周辺などの熱中症リスクがピンポイントでわかります。

※ 【注】暑さ指数とは

人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい 1)気温、2)湿度、3)日射・輻射など周辺の熱環境の要素を取り入れた指標です。

引用元:東京都

埼玉県「ヒートアイランド対策住宅街モデルを創出」

埼玉県では、2016年度から2018年度まで、ヒートアイランド対策を施した先導的な住宅街モデルを3か所に創出しました。

この取り組みによって、街ではヒートアイランド現象対策になる舗装や緑化の整備が進められました。住宅は、すべてヒートアイランド対策設備を2種類以上設置するなどの条件を満たしており、効果検証も行っています。

検証では、通常の舗装や近接住宅街と比較して、多くの場所で、道路の表面温度や外構全体の温度が10℃程度低くなっており、ヒートアイランド現象緩和への有用性が示されています。

ヒートアイランド現象に対して私たちができること

ヒートアイランド現象の対策として、私たちにもできることはたくさんあります。

例えば、エアコンを過度に稼働させないように心掛けて、排熱を削減しましょう。

暑い時期には部屋に余計な熱をためないようにするため、断熱性の高いカーテンを取り入れたり、扇風機やサーキュレーターで空気を循環させたりするのも有効です。

ベランダや庭があるご家庭では、ゴーヤなどの蔓性植物を育てて、グリーンカーテンをつくるのも良いでしょう。日よけになるほか、蒸散の働きによって周囲の熱を奪ってくれます。

そして、忘れてはいけないのがヒートアイランド現象がもたらす酷暑のなかで自分自身や家族を守ることです。日傘や帽子の使用、水分の補給、暑い日は日中の外出を控えるなど、暑さを避ける習慣を身に着けましょう。

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。

イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。

体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。

「環境保全の大切さを子どもにも楽しく学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

「イオン チアーズクラブ」で実施された活動

ここでは、イオン チアーズクラブでこれまでに実施してきた活動内容の一部をご紹介します。

木々の成長の学習

イオン箕面(みのお)チアーズクラブのメンバーたちはクラブの開会式を行うとともに、木々の成長について学ぶ活動をしました。

メンバーたちは桜の木を観察し、その成長を確認するとともに「一緒に頑張ろう」という気持ちを共有しました。

また、桜の木がピンクから緑に変わることを不思議に感じたメンバーがいたことをきっかけに、その仕組みについて説明する場も設けられました。

こうした体験を通して、メンバーたちは少しずつ自然に興味を持ち始めたようです。

植樹体験

福井県のショッピングセンター「そよら福井開発」で行われた植樹祭に、4つのイオン チアーズクラブから25名のメンバーが参加しました。

植樹祭には、近隣の幼稚園や小学校の子どもたち、その保護者の方も200名ほど参加されていました。

メンバーたちは地域の方々と協力して真剣に苗を植え、最終的に植えた苗の数は、全体で36種類・2,100本にもなりました。

このほかにも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。

イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。

子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!

まとめ

ヒートアイランド現象は、都市を中心に近郊へも徐々に拡大していることもあり、その影響は年々、強まっています。

ヒートアイランド現象の原因には、エアコンや自動車の使用など、私たちの生活に関わることも多いのが特徴です。

まずは排熱を減らせる省エネ生活を意識してみたり、地域の緑化活動に参加してみたりなど、身近なことから始めてみてはいかがでしょうか。

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。

また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

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