
2025.11.11
循環型社会とは?具体的な取り組み事例や私たちにできることを紹介
近年、「循環型社会」という言葉をニュースやテレビなどでよく耳にしませんか。
しかし、具体的にどのような社会のことを指すのか、具体的に何をすれば良いのかがよく分からないという人も多いのではないでしょうか。
そこで本コラムでは、循環型社会の意味から日本の取り組み事例、さらには私たち一人ひとりができることまで、分かりやすく紹介します。
目次
循環型社会とは「資源を無駄なく活用する」環境に優しい社会のこと

循環型社会とは、環境に優しく持続可能な社会のことを指します。
私たちが生きている現代は、資源の大量消費と廃棄が問題視されています。循環型社会は、この課題を解決するために提唱されている社会の理想像です。
循環型社会を実現するには、「5R」と呼ばれる次の行動が重要だと言われています。
- リサイクル(再資源化する):資源をゴミにせず、素材に戻して再び使うこと
- リデュース(減らす):消費そのものを見直し、使う量や買う量を減らすこと
- リユース(再利用する):一度使ったものを、捨てずに繰り返し使うこと
- リフューズ(不要なモノを断る):使い捨てのモノを避けること
- リペア(修理する):壊れたら捨てるのではなく、修理して使い続けること
5Rを徹底するには、技術革新が必要であるほか、私たち一人ひとりの意識と行動の改革も求められます。
そのための一歩として、まずは、循環型社会の実現によってもたらされるメリットや、日本の具体的な取り組みを本コラムで知っていきましょう。
5Rについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
リサイクル・リデュース・リユースを含む5つのRとは?日常生活での取り組み例も紹介
循環型社会が私たちや社会にもたらすメリット

循環型社会がもたらすメリットは、「環境に優しい」だけだと思ってはいませんか。実は、経済効果ももたらしてくれると言われています。
ここでは、環境・経済・地域コミュニティといった3つの視点から、循環型社会のメリットについて解説します。
環境へのメリット
循環型社会を目指す最大のメリットは、地球環境を守れることでしょう。資源を無駄なく活用して、廃棄物を最小限に抑えることは、環境への負荷軽減につながるためです。
私たちが日常的に消費している製品の多くは、生産から廃棄までの各段階で、多量の二酸化炭素を発生させたり、鉱物や森林などの資源を使い込んでいます。
その結果、地球温暖化や野生生物の減少など、さまざまな環境問題が発生しています。
生産から廃棄までにかかる環境負荷を減らせる循環型社会を実現することは、環境問題に対応するうえで必要不可欠なのです。
たとえば、廃棄物のリサイクル率が高まれば、焼却に使われる燃料資源を減らせます。さらには焼却時に排出される二酸化炭素も減らせるので、地球温暖化の対策にもつながる※でしょう。
※ 地球温暖化の主な原因は、人間の活動による二酸化炭素をはじめとした温室効果ガスの発生だといわれています。
経済面でのメリット
循環型社会を目指すことは、環境保全だけでなく、経済の成長にも大きなメリットをもたらすと言われています。
限りある資源を繰り返し使うことは、原材料の調達コストや、廃棄する際にかかる処理コストの削減につながるためです。
使用済みの製品を回収・分解し、再び資源として活用する一連のプロセスは新しいビジネスの領域となり、新たな産業が生まれる可能性もあります。循環型社会を実現するには、その仕組みを支えるサービスを提供する事業者や、革新的技術を開発する事業者など、さまざまな分野で人手も必要となるため、雇用創出にもつながるのです。
ひいては、景気回復にも良い影響を与えると、考えられています。
私たちにとっての身近なメリット
循環型社会の実現のために私たちができることの多くは、「自分のため」「家計のため」「心の豊かさのため」にもなる行動です。
たとえば、フリマアプリで子ども服や家具を手ごろな価格で入手したり、修理して使うことで買い替えの頻度を減らしたりすることは、節約にも直結するでしょう。
「モノを選ぶ視点」が変わり、買い物にも無駄がなくなるため、生活の質が向上したと感じる人も多いと言います。
また、環境に配慮した行動は自己肯定感を高める効果もあります。たとえば「マイボトルを持ち歩く」「ゴミ拾いに参加する」「使わない服を寄付する」など、社会や地球のために何か貢献しているという実感は、心の満足感につながるでしょう。
日本が行っている循環型社会に向けての取り組み

日本は現在、「循環型社会」の実現に向けて、さまざまな施策を推進しています。この取り組みは、5Rを社会全体で実践するための具体的な仕組みづくりです。
例えば、「リデュース(減らす)」によって「資源を使いすぎない社会」、「リユース(再利用する)」や「リペア(修理する)」によって「再利用が当たり前の社会」、そして「リサイクル(再資源化する)」によって「ゴミを出さない社会」の実現に繋がります。
ここでは、日本が行っている代表的な取り組みを4つ紹介します。
循環型社会形成推進基本法の制定
「循環型社会形成推進基本法」とは、2000年に日本で制定された法律です。
法律の内容を簡単に解説すると、「いかにゴミを出さずに資源として循環させるか」を重視したものになっています。
また、循環型社会形成推進基本法では、循環型社会を実現するための基本的なルールや国・自治体・事業者・国民の役割を明確に定めているのが特徴です。
循環型社会の実現は、廃棄物の排出から処理、リサイクルに至るまでの各段階で、国民一人ひとりが責任を明確にし、国全体で協力する必要がある」と示した、重要な法律だと言えるでしょう。
廃棄物発電の導入
焼却処分されるゴミには、実は大きなエネルギーが含まれています。これを有効活用する技術が「廃棄物発電」です。
廃棄物発電を行えば、焼却時に生まれるエネルギーを無駄にせずに済み、さらには発電と焼却を別々に行うよりも発生する二酸化炭素の量を減らせます。
年々、廃棄物発電用の専用設備が併設されたゴミ焼却場は増えています。また、2018年度時点で約70%の廃棄物が廃棄物発電に使用されているという報告もあります。
バイオマス資源の活用
バイオマス資源※をエネルギーや肥料として再利用する仕組みは、地球温暖化の予防につながるため、循環型社会の実現につながる取り組みの一つとして進められています。
バイオマス資源の特徴は、再利用する際に大気中の二酸化炭素を増加させない「カーボンニュートラル」という性質を持っていることです。主な活用方法には、エネルギーとして利用する方法と、肥料として利用する方法があります。
エネルギーとして利用する場合、バイオマス資源を燃焼させて電気や熱を得るケースがあります。このとき、二酸化炭素が発生しますが、これは原料の植物が成長過程で吸収したものであるため、二酸化炭素の排出量は相殺されると考えられています。これがカーボンニュートラルです。
肥料としてバイオマス資源を利用する場合、燃焼は伴いません。バイオマス資源による肥料で植物が育ち、その植物が光合成によって大気中の二酸化炭素を吸収します。これも二酸化炭素を増やさない活用法です。
※バイオマス資源とは動植物由来の有機資源のことで、具体的には、食品廃棄物や家畜の排せつ物などを指します。
運搬効率を高める仕組みの整備
循環型社会においては、「モノを効率よく集めて運ぶ仕組み」の整備も欠かせません。
リサイクルやリユースがどれだけ進んでも、それらを回収し、適切な場所へ運ぶ仕組みが整っていなければ、社会全体の循環がスムーズに回らないためです。
具体的な取り組みとしては、複数の自治体や事業者が連携して回収ルートを共有したり、空きトラックを活用した「共同回収」も全国的に広がりつつあります。
また、使用する燃料や発生する二酸化炭素量を削減するため、AIやIoT※といったテクノロジーを活用して、収集状況やルートを最適化する取り組みも進められています。
※ IoTとは、従来インターネットに接続されていなかった様々なモノを、インターネットに接続する技術の総称です。モノがネットに繋がることで、その状態に関するデータをリアルタイムで収集したり、遠隔で操作したりできます。
循環型社会を実現するために私たちにできること

これまでご紹介してきたように、循環型社会の実現には国や事業者の取り組みが重要な役割を担っています。
しかし、それと同じくらい大切なのが「私たち一人ひとりの日常の選択や行動」です。
ここでは、家庭や地域で今すぐに始められる具体的な取り組みをご紹介します。
家庭でできる取り組み
普段の何気ない暮らしのなかでも、循環型社会を実現するためにできることは、さまざまあります。
何から始めれば良いか分からない場合は、まず取り組みやすい普段の買い物や食事の見直しから始めてみるのがおすすめです。
たとえば、買い物をするときには「本当に必要なものかどうか」を考え、不要なモノを増やさないようにすることが大切です。
マイバッグやマイボトルを持参することも、不要なモノの「リフューズ(断る)」や、「リデュース(減らす)」につながります。
また、ゴミを減らすためには、食品ロスに対して問題意識を持つことも重要です。買いすぎず、作りすぎず、残さず食べる習慣を家庭に取り入れてみましょう。
地域社会で私たちができる取り組み
家庭だけでなく、地域全体で循環型社会を意識した取り組みができれば、個人で行うよりも効果を高められます。
たとえば、次のような地域の取り組みやイベントへの参加がおすすめです。
- ゴミ拾いボランティア
- リサイクルやリユースのボランティア
- 循環型社会に関するセミナー・ワークショップ など
公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。
イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。
体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。
「子どもを自然と触れ合わせたい」や「楽しみながら環境や社会について学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。
「イオン チアーズクラブ」で開催された活動

イオン チアーズクラブでは、これまでにさまざまな環境・社会貢献活動を実施してきました。
ここでは、具体的な活動例をいくつかご紹介します。
Tシャツのリサイクルによる服の循環体験
イオン チアーズクラブでは、衣料の廃棄問題やリサイクルの大切さについて学び、考えるワークショップを過去に実施しています。
ワークショップは3部構成になっており、1部では「実際にどのくらいの服が捨てられているのか」を学びました。
2部では、使い古されたチアーズメンバー用のTシャツがリサイクルされるまでの動画を見ました。
3部では、メンバーたちが持ち寄った古着を使い、ノートをデコレーションする体験をしました。
いずれのワークショップもみんな真剣な表情で参加しており、いらなくなったモノに対する考えを改める良いきっかけとなったようです。
食品ロス・店探検
イオン旭中央店チアーズクラブでは、循環型社会の実現に必要とされる食品ロスについて学ぶ活動を実施しました。
内容としては、イオンスタイルの店舗をお借りして、「手前取り」など、食品ロスを減らすためにできることについて学びました。
体験を通してメンバーは、「食品ロスを減らすには具体的な行動が必要」と言うことを理解したようです。
このほかにも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。
イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。
子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!
まとめ
本コラムでは、循環型社会の基礎知識から、日本の政策、私たち個人にできる行動までを幅広く紹介しました。
循環型社会とは、資源を無駄にせず、再利用・再資源化を通じて持続可能な経済と生活を両立させる仕組みであり、そのために私たちができることは、身近に多く存在します。
5R(リサイクル・リデュース・リユース・リフューズ・リペア)をはじめ、未来の地球を守るために、今日からできる行動に目を向けていきましょう。
公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
公益財団法人イオン1%クラブでは、小学生を中心とし、体験学習を通して自然や環境に向き合える「イオン チアーズクラブ」も運営しています。
イオン チアーズクラブではリサイクル工場の見学や、過去にはサトウキビを使ったさまざまなリサイクルの体験など、環境に関する体験や学習をしています。
また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」などさまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLからご覧ください。