
2026.05.19
火力発電のメリットとデメリットとは?初心者向けにわかりやすく解説
火力発電には、日本の電力の安定供給を支えるというメリットがある反面、大量に温室効果ガスを排出するというデメリットがあります。
また、火力発電に使われる資源の量には限りがあり、このままのペースで使い続けていると枯渇してしまう恐れがあるのもデメリットの一つだといえるでしょう。
本コラムでは、このような火力発電のメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
目次
火力発電とは?仕組みを簡単に解説

火力発電とは、燃料となる資源を燃やすことで生まれる熱を使って水を蒸気に変え、発電機とつながったタービンを回すことで電気をつくる方法です。
火力発電は、大量の電気をつくりやすく、発電量も調節しやすいというメリットがあります。
電気は日常的に使われているため、安定した発電とそれに伴う供給はとても大切です。このような背景もあってか、日本全体における発電量の約69%(2023年度時点)は、火力発電によってつくられています。
しかし、火力発電の燃料として使われるのは主に石油や石炭、天然ガスといった化石燃料であり、これらの利用にはデメリットが存在します。
次の見出しからは、化石燃料の種類ごとに詳しくメリット・デメリットを確認していきましょう。
化石燃料について、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
化石燃料とは?種類やメリット・デメリットのほかあと何年で枯渇するのかまで解説
石炭による火力発電のメリット・デメリット

石炭による火力発電のメリット・デメリットは、次の通りです。
- メリット:特に安定した量を採掘できる
- デメリット:二酸化炭素の排出が非常に多い
次の見出しから、詳細をわかりやすく解説します。
メリットは特に安定した量の採掘が可能なこと
石炭による火力発電のメリットは、燃料資源の獲得が、ほかの化石燃料と比較しても安定していることが挙げられます。
石炭は、アジア、ヨーロッパ、北米、オーストラリア大陸など、採掘できる場所が世界中に分布しており、地理的な偏りがあまりありません。
また、世界には約10,741億トンもの石炭が埋まっていることがわかっています。資源エネルギー庁によると、この埋蔵量は139年分の可採年数※に相当します。
石炭は、石油(可採年数53.5年)や天然ガス(可採年数48.8年)※といった化石燃料よりも長期にわたって使い続けやすいといえます。
※ 可採年数とは、資源が地下にどのくらい残っているのかを表す目安となる指標で、埋蔵量を年間の生産量で割った値。上記で取り上げたそれぞれの可採年数は、石炭のみ2022年時点、石油と天然ガスは2020年時点のデータである。
デメリットは二酸化炭素の排出が非常に多いこと
石炭による火力発電のデメリットは、二酸化炭素の排出量がほかの化石燃料と比較しても多いことです。
【化石燃料別】発電における二酸化炭素の排出量目安
- 石炭:942.7g
- 石油:738.0g
- 天然ガス:473.5g
出典元:経済産業省 資源エネルギー庁
石炭発電による二酸化炭素排出量は、石油よりも約200g多く、天然ガスよりも約500g多くなっています。
これらの数値は、それぞれの発電方法がどのくらい二酸化炭素を排出するのかを比較するために用いられる「ライフサイクルCO2排出量」と呼ばれる指標です。
ライフサイクルCO2には、発電時だけでなく、発電所の建設や燃料の採掘から廃棄されるまでの間に排出される二酸化炭素の量がすべて含まれています。
石油による火力発電のメリット・デメリット

石油による火力発電のメリット・デメリットは、次の通りです。
- メリット:燃料資源の貯蔵や運搬が容易
- デメリット:コストが高く、変動しやすい
次の見出しから、詳細をわかりやすく解説します。
メリットは燃料資源の貯蔵や運搬が容易なこと
石油による火力発電のメリットは、燃料資源の貯蔵や運搬がしやすいことです。
石油は常温・常圧でも液体であるため、石炭や天然ガスに比べるとタンクに蓄えることが容易です。実際、日本にも石油の備蓄基地が地上や地下、海上などにあり、緊急時に備えて大量に保管されています。
また、パイプラインやタンカー、鉄道など、幅広い手段で輸送できるのも石油のメリットです。例えば、東日本大震災の時には電気やガスの供給がストップした地域が出ましたが、そうした地域にも暖房用の灯油や非常用の軽油、自動車用のガソリンなどを送り届けることができました。
デメリットはコストが高く変動しやすいこと
石油による火力発電のデメリットは、発電コストが高いうえ、変動しやすいことが挙げられます。
【化石燃料別】1kWhあたり発電コストの目安
- 石油:30.6~43.4円
- 石炭:12.3円
- 天然ガス:13.7円
出典元:経済産業省 資源エネルギー庁
石油を燃料として1kWhを発電するのにかかるコストは、石炭や天然ガスの倍以上です。
また、日本は国内における石油自給率が0.5%未満と低く、中東からの輸入に依存しています。中東でなんらかのトラブルが起きたとき、大きな影響を受ける可能性があるでしょう。
実際、1973年10月に起きた第4次中東戦争による第1次オイルショックでは、国際原油価格が3か月で約4倍にも跳ね上がりました。
天然ガスによる火力発電のメリット・デメリット

天然ガスによる火力発電のメリット・デメリットは、次の通りです。
- メリット:二酸化炭素の排出量が比較的少ない
- デメリット:取引の仕組みが最適化されていない
次の見出しから、詳細をわかりやすく解説します。
メリットは二酸化炭素の排出量が比較的少ないこと
天然ガスによる火力発電のメリットは、燃やしたときに排出される二酸化炭素が石炭や石油よりも少ないことです。
【化石燃料別】発電における二酸化炭素の排出量目安
- 石炭:942.7g
- 石油:738.0g
- 天然ガス:473.5g
出典元:経済産業省 資源エネルギー庁
ライフサイクルCO2排出量を化石燃料ごとに比較すると、天然ガスのほうが石炭や石油よりも少ない二酸化炭素の排出量で済むことがわかります。
デメリットは取引の仕組みが最適化されていないこと
天然ガスによる火力発電のデメリットは、取引の仕組みが最適化されていないことです。
天然ガスは、まず液化させて体積を小さくしたうえで貯蔵・運搬を行いますが、その作業を行うのは一般的に液化施設の事業主です。
天然ガスを小売りしたいと考える電力会社などは、施設事業主と契約を結んで購入し、それをさらに消費者へと販売します。液化施設は導入に多額のコストがかかるため、事業主は長期の契約を求めるのが一般的です。
しかし、昨今の国内の天然ガス需要は予測が難しい状況にあります。さらには、契約条件に第三者への転売禁止が含まれていることが多いのも難点です。長期契約をした場合、小売会社は売れ残ったときに大きな損失を受ける恐れがあります。
このような取引上の問題もあり、日本の天然ガス輸入量は過去に比べて減少しており、仕組みの改革が求められているのが現状です。
火力発電における2つの課題

ここまでは火力発電のメリットとデメリットを化石燃料の種類ごとに見てきましたが、いずれの種類においても大きな課題が2つあります。それは、地球温暖化を進行させてしまうことと、化石燃料はいずれ枯渇する可能性があるということです。
ここでは、これら2つの課題について、火力発電との関係性をわかりやすく解説します。
①地球温暖化を進行させてしまう
火力発電の課題の一つとして、地球温暖化を進行させてしまうことが挙げられます。火力発電に主に用いられる石炭や石油などは、燃焼時に二酸化炭素を排出するためです。
地球温暖化の原因である温室効果ガスは、二酸化炭素以外にもあります。しかし、2023年度のデータによると、温室効果ガス総排出量のなかで二酸化炭素が占める割合は92.2%と非常に高い割合です(出典元:環境省)。
さらに、日本国内における二酸化炭素の排出量の約4割以上が火力発電由来によるものであることもわかっています。
②化石燃料はなくなってしまう可能性がある
化石燃料は限りある地下資源であるため、いずれなくなってしまう恐れがあります。
石油や石炭、天然ガスといった化石燃料は、数百万年から数億年にわたる長い時間をかけて自然のなかでつくられます。そのため、つくられる量を使う量が上回り続ければ、いずれ枯渇してしまうのです。
同じく化石燃料の石油を原料とするプラスチックなどであれば、リサイクルによって資源を有効活用できます。一方、発電のようにエネルギーとして石油を使用する場合は、再利用ができないことも難点でしょう。
発電において化石燃料を枯渇させないためにできる対策は、使用しすぎないように心掛けることが主となります。
いま、世界中で新しい発電方法が生まれ、広まっている

火力発電にはメリットがある反面、地球温暖化を進行させたり、化石燃料の枯渇リスクがあったりなど課題があります。そのため、世界では環境に優しい再生可能エネルギーを使った発電方法※が次々と開発され、普及が進んでいます。
ここでは、発電に再生可能エネルギーを使用するメリットと、普及するうえでの課題についても解説します。
※ 再生可能エネルギーを使用した発電方法とは、太陽光発電・風力発電・水力発電・地熱発電・バイオマス発電などのこと
再生可能エネルギーのメリット
再生可能エネルギーを発電に使用するメリットは、まず、発電時に二酸化炭素を排出しないことです。
太陽光や風力、地熱といった自然エネルギーは、発電所の建設や廃棄の際には二酸化炭素を排出しますが、発電するときには二酸化炭素を排出しません。これは、発電時だけでなく発電所の建設や廃棄などすべてのライフサイクルで二酸化炭素を排出する火力発電と大きく異なります。
また、再生可能エネルギーは原則、枯渇しないことも大きなメリットです。
例えば、太陽光発電であれば太陽が存在する限りエネルギー源がなくなることはありません。太陽はあと50億年は存在し続けるといわれているので、半永久的に使い続けられるエネルギー源だといえるでしょう。
再生可能エネルギーにおける課題
再生可能エネルギーの課題として、発電コストが火力発電より比較的高いことや発電が天候に左右されやすいことが挙げられます。
【エネルギー源別】1kWhあたりの発電コスト目安
- 太陽光:12.9~17.7円
- 風力:19.8~30.0円
- 水力:10.9~25.3円
- 地熱:16.7円
- 石炭:12.5円
- 石油:26.7円
- 天然ガス:10.7円
出典元:経済産業省 資源エネルギー庁
再生可能エネルギーの発電コストは、石油を使用した火力発電よりも総じて低いものの、場合によっては石炭や天然ガスよりも高いことがわかっています。
また、日照や風況といった天候に左右されるため、太陽光発電や風力発電の発電量は日によって不安定という難点があります。安定的な電力供給という点では、化石燃料があれば発電可能な火力発電が優れています。
しかし、年々深刻化している地球温暖化をはじめとした環境問題を前に、火力発電に依存し続けるのは望ましいことではありません。よって、再生可能エネルギーの普及とともに、課題解決に向けた取り組みも世界中で進められています。
再生可能エネルギーについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
- 【我が家が発電所に!?】あまり知られていない太陽光発電のメリットとデメリットをわかりやすく解説
- 【水力発電の可能性と課題】水力発電のメリットとデメリットをわかりやすく解説
- 風力発電のメリットとデメリットを説明!仕組みや注目されている背景も解説
- 地熱発電の仕組みとは?メリット・デメリットや日本の取り組みも解説
公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。
イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。
体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。
「楽しみながら環境や社会について学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。
「イオン チアーズクラブ」で実施された活動
ここでは、イオン チアーズクラブでこれまでに実施してきた活動内容の一部をご紹介します。
学習施設「環境プラザ」の見学
イオン札幌発寒店チアーズクラブのメンバーたちは、札幌市環境プラザ※を見学し、エネルギーについて学びました。
「エネルギーをたどれ!」というタイトルのアクティビティでは、普段から使用している家電などがどのようなエネルギーで動いているのかを引率の大人も含めて、みんなで考えました。
学習の最後には、メンバーたちが一人ずつ、エネルギーを大切にするための省エネ方法を発表する時間も設けました。
本体験では、施設内を自由に見学する時間もあり、発電自転車に挑戦するなど、メンバーたちは楽しみながら学びを得られていたようです。
※ 札幌市環境プラザとは、環境問題について学べる展示物が多数設置された施設
FCバス展示イベントとエネルギー環境教室
イオン チアーズクラブのメンバー11名が、宮城県富谷市で開催されたFCバス※展示イベントとエネルギー環境教室に参加しました。
宮城県初導入となるFCバスの展示会場に集まったメンバーたちは、車内で水素を使った仕組みの説明を受け、その構造や環境へのやさしさを学びました。
続いて会場を移動し、環境教室に参加しました。エネルギーを「つくる」「ためる」「かしこく使う」という考え方をスライドとワークシートで学び、後半はLEDライトの工作に挑戦しました。
※ FCバスとは、水素で走る燃料電池バス(Fuel Cell Bus)のこと
このほかにも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。
イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は、以下のURLからご覧ください。
子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!
まとめ
火力発電は、安定した電力供給がしやすく、災害時をはじめとした緊急時にも扱いやすいのがメリットです。
一方で、環境負荷が大きいというデメリットを抱えているため、再生可能エネルギーの普及が世界中で進められています。しかし、再生可能エネルギーもまた、安定供給が難しいといった課題を抱えています。
安定供給が必須の電力において、火力発電をゼロにすることは、少なくとも現時点では難しいでしょう。このような現実を踏まえた技術開発により、火力発電による環境負荷は年々減ってきているという実情もあります。
地球を守るためには、正しい知識を身につけることが大切です。メリットとデメリットの両方を理解し、さらにはその背景にまで意識を向けることを心がけてみてください。
公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。
また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。