【ゴミ拾いボランティアのススメ】世界で起きてるゴミ問題を解決しよう!ゴミ拾いボランティアについて解説
環境

2025.02.13

【ゴミ拾いボランティアのススメ】世界で起きてるゴミ問題を解決しよう!ゴミ拾いボランティアについて解説

「ポイ捨てされたゴミが気になるけれど、つい見て見ぬふりをしてしまう」そのような経験はないでしょうか。

近年、街中や公園、海岸といった私たちの生活空間には、多くのゴミが散乱しています。

これらのゴミは景観を損ねるだけでなく、野生動物の誤飲や海洋汚染といった深刻な問題を引き起こしています。

本記事では、世界で深刻化するゴミ問題の現状と、ゴミ拾いボランティアの魅力や効果について詳しく解説します。

世界で起きているゴミ問題

私たちの生活の中では、日々多くのゴミが出ています。

しかし、生活の中で発生するゴミは、実は環境に深刻な影響を与えているのです。

では、具体的にどういったゴミ問題が起きているのでしょうか?

以下で、それぞれについて詳しく解説します。

地球はゴミでいっぱい!?世界で出ているゴミの量

国連環境計画(UNEP)が公表した「世界の廃棄物管理の展望2024」によると、2023年時点で、世界では年間約23億トンの家庭ゴミなどの一般廃棄物が排出されています。

そして、2050年までに家庭ゴミなどの一般廃棄物の年間排出量は38億トンに達すると予想されており、ゴミ問題は非常に深刻です。

一般廃棄物が増えてしまう原因は、大きく分けて2つあります。

カテゴリー具体例
事業系食品ロス・飲食店での食べ残し
・賞味期限切れや売れ残りによる廃棄
・規格外品の廃棄
家庭系食品ロス・家庭での食べ残し
・賞味期限切れ
・使いきれなかった食品の廃棄

先進国では、ゴミの発生を抑制する対策(5Rなど)を進めて、将来的にゴミの排出量を減らせるよう努めています。

一方、発展途上国では、技術不足により農作物の収穫がうまくできないことや、流通や保存のためのインフラ(※1)が整っていないため、市場に出る前に腐ってしまう食べ物も多く、やむを得ず廃棄される場合もあります。

また、発展途上国のゴミ問題には、先進国から輸入される電子ゴミも挙げられるでしょう。

電子ゴミとは、スマートフォンやパソコン、テレビなどの電気・電子機器の総称です。

国連調査訓練研究所(UNITAR)が2024年に発表した内容によると、地球上で廃棄されている電子ゴミは年間6,200万トン、2030年には30%余り増えるとしています。

大量の電子ゴミは、廃棄物に関する法整備がされていない発展途上国へ輸出されるケースが多く、先進国で回収される電子ゴミの約80%は発展途上国に輸出されるという報告もあります。

電子ゴミは、水銀などの有害物質を含んでいる可能性もあることから、人々の健康や環境に被害を及ぼす恐れも考えられるでしょう。

電子ゴミには、レアメタルや金などの私たちの生活や産業に役立つ有用資源も含まれていますが、中には再利用が難しいものも含まれているため、不要なものはそのまま廃棄されてしまうのです。

(※1):生活を支える基盤。ガス、水道、電気、インターネット、病院や公園などの公共施設もインフラに含まれる

ポイ捨てが多い国ってどこ?

ポイ捨ては世界各国で見られますが、その中でも特に発展途上国に多く見られます。

以下のグラフは、世界各国におけるゴミ収集率のグラフです。

「世界各国のゴミ収集率」

先進国では98%のゴミが収集されている一方で、アフリカでの収集率は46%と、半分以上が収集されずにいます。

発展途上国では、経済的な問題やインフラの未整備などの理由でゴミ処理設備が不足していることに加え、ゴミの分別意識が低いこともあり、ポイ捨てが深刻な問題となっています。

ポイ捨てによる環境への影響は?

ポイ捨てされたゴミは、その地域に有害物質を広めてしまうだけでなく、風や雨によって川や海に流れ込むことで海洋汚染の原因となります。

ポイ捨てされることが多いタバコの吸い殻のフィルターにはニコチンやヒ素などの有害物質が含まれており、土壌や水質汚染だけでなく、食物連鎖を通じてさまざまな生物に悪影響を及ぼします。

また、ゴミの中でも、プラスチックゴミは分解されにくく、大きなプラスチック製品が海まで流れ出るとマイクロプラスチックと呼ばれる小さなプラスチック片になります。

マイクロプラスチックは、波や紫外線などの影響で細かく砕かれたものです。

5mm以下と非常に小さく、約400年以上の長い間、海を漂うものもあります。

マイクロプラスチックは、ウミガメやクジラなどの海洋生物が誤飲してしまう可能性や、体内にたまると餌が食べられずに痩せ衰えたりする原因にもなります。

また、ハワイ大学では「プラスチックゴミが太陽光により劣化すると、強力な温室効果ガスであるメタンとエチレンを放出し、気候変動を招く要因になっている」とする研究結果が報告されています。

ポイ捨ては地球全体に悪影響を及ぼしてしまうのです。

日本においてのゴミ問題

ゴミ問題は、日本でも大きな問題の一つとなっています。

ここでは、日本で出るゴミの量や、どのようなゴミが捨てられているのかを解説します。

日本で出るゴミはどれだけある?

環境省の発表によると、日本の2022年におけるゴミの総排出量は4,034万トンで、1人1日当たり880グラムものゴミを排出している計算です。

家庭系ゴミの排出量は2,275万トン、1人1日あたりの排出量は496グラムとなっています。

さらに、近年耳にする「食品ロス」に関して、農林水産省及び環境省の「令和4年度推計」では472万トン、1人1日当たりお茶碗約1杯分(約103g)のロスが発生していると報告されています。

食品ロス単体だけで見ても、世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧支援(2022年で年間480万トン)とほぼ同等に相当する量です。

また、2022年末の時点で「このままのペースでゴミを捨て続けると、2047年にはゴミを埋める場所がなくなる」と指摘されており、ゴミに関する問題は深刻化しています。

日本のポイ捨てゴミ第1位は?

日本でも問題視されているポイ捨てでは、どのようなゴミが捨てられるのでしょうか。

環境省が2023年に全国1741市区町村へ行った調査によると、ポイ捨てされることが多いゴミの種類は「空き缶・ペットボトル22%」「タバコの吸い殻17%」となっています。

次に、ポイ捨てされることが多い場所については「山道・山林24.7%」「幹線道路22.2%」「河川・用水路19.3%」で、人が少ない山道や山林がもっとも多い結果です。

ポイ捨てされているものは小さなゴミが多いため、「落としてしまった」「これくらいなら良いか」といった気持ちから、ポイ捨てにつながっているのかもしれません。

タバコの吸い殻は非常に小さなゴミですが、たくさんの有害物質が含まれています。

有害物質が土壌や水質を汚染するだけではなく、火災の原因になる可能性もあるのです。

一方、空き缶やペットボトルは適切に収集されればリサイクルが可能であり、資源の有効活用やごみの減量にも貢献できます。

私たち一人ひとりが、小さなゴミでもポイ捨てせず、しっかりと分別して捨てる意識を持つことがゴミ問題に向き合うために重要なのです。

家庭ではどんなゴミが多く捨てられている?

では、私たちの家庭から出るゴミはどうでしょうか。

ここでは、家庭ゴミの割合の最新情報(令和5年度)を公開している「京都市」「横浜市」の燃やすゴミの割合を見てみましょう。

図1 家庭から出される燃やすゴミの中身(令和5年度調査結果)
図2 燃やすゴミの中に含まれる資源物の割合の変化

出典:横浜市「令和5年度 ごみ組成調査」

家庭から出るゴミの量は、生ゴミがもっとも多く、次に紙類、プラスチックゴミや繊維類などが挙げられます。

生ゴミとは、水分を多く含む廃棄物です。

主に野菜くず、食べ残し、食材の調理から出たゴミなど、台所から出るゴミを指します。

毎日の料理で「この部分は捨ててしまおう」「食べきれなかったので捨ててしまおう」と行っている積み重ねが結果的にゴミの量を増やし、日本のゴミ問題を深刻化させてしまう原因になるのです。

買い物の際は必要な分だけ購入し、料理は食べきれる分だけ調理するといった心がけが大切です。

ゴミ問題を解決!自分たちにできること

ゴミ問題を解決するためには、私たち一人ひとりが「ポイ捨てをやめよう」「自分たちができることにチャレンジしてみよう」という心がけが大切です。

  • ポイ捨てをしない
  • 使い回せるアイテムを使うようにする
  • 5Rを実践して、地球に優しい生活を送る

ここでは、ゴミ問題を解決するために意識したい3つのことを解説します。

ポイ捨てをしない

ポイ捨てを解決するためには、まずポイ捨てはしないと思う心がけが大切です。

例えば、外でホットスナックやお菓子を食べたときには、風でゴミが飛ばないようにする、食べた後にゴミを置き忘れないようにするなど、ポイ捨てにつながらないようにしましょう。

また、レジャーに行く際はマイ食器を持参したり、そもそもゴミになるものを持ち込まないようにしたりなど、ゴミを出さないための工夫をするのも大切です。

ポイ捨ては、動植物の生息環境を損なったり、大切な地球の美しい景色を損なったりすることにもつながるため、一人ひとりの心がけでポイ捨てを減らしていきましょう。

使い回せるアイテムを使うようにする

使い捨て製品の使用を減らし、繰り返し使えるアイテムを使うことは、捨てるゴミを減らすことにつながります。

例えば、マイボトルやマイ箸、マイバッグなどを活用することで、ペットボトルや割り箸、レジ袋の使用を減らすことができます。

また、繰り返し使えるラップや、竹製の歯ブラシ、リサイクル素材を使用した衣類、再生木材などから作られるスポンジなど環境に優しいモノを選ぶこともおすすめです。

これらのアイテムは、さまざまな種類が販売されているので、自分に合ったものを見つけることができるでしょう。

少しの工夫でゴミを減らし、ポイ捨てを防ぐことができます。

5Rにチャレンジして、地球に優しい生活を

「5R」とは、ゴミを減らすための、Rではじまる5つの行動のことです。

  • Refuse(リフューズ):ゴミになるものを断ること
  • Reduce(リデュース):ゴミを発生させないこと
  • Reuse(リユース):ものを繰り返し使うこと
  • Repair(リペア):ものを修理して使うこと
  • Recycle(リサイクル):資源として再生利用すること

一人ひとりが5Rにチャレンジすることは、無駄なゴミを減らし、資源として再利用するために役立ちます。

私たち一人ひとりが日々の生活の中で5Rを意識することで、地球の環境を守り、大切な資源を使いすぎず、未来の世代でも美しい地球の維持につながるでしょう。

5Rに関する詳しい情報は以下の記事で解説しています。

リサイクル・リデュース・リユースを含む5つのRとは?日常生活での取り組み例も紹介

本記事とあわせてご覧ください。

個人でできるゴミ問題対策「ゴミ拾い」

私たち個人でできるゴミ問題への対策には「ゴミ拾い」も挙げられます。

近年、世界各国で環境問題について関心が高まっており、地球を守るために大切な活動として「ゴミ拾いボランティア」が注目を浴びています。

ゴミ拾いボランティアのメリットや効果

ゴミ拾いボランティアには、さまざまなメリットがあります。

まず、自分たちの街や自然を綺麗にすることで、環境問題に対する意識が高まり、社会貢献や治安向上につながるというものです。

ゴミ拾いボランティアに参加することで、今までは気にならなかった外へ落ちているゴミに気がつけるようにもなるでしょう。

さらに、コミュニティが広がるため、ボランティアに参加した人同士や地域住民との交流の場にもなります。

ゴミ拾いボランティアは、自分の成長や社会貢献を実感できるため、素晴らしい経験になるでしょう。

ゴミ拾いボランティアの始め方

ゴミ拾いボランティアを始めたい場合は、自分が住んでいる地域や興味のある場所で、ゴミ拾いボランティアの団体を探してみましょう。

さまざまなボランティア団体やNPO法人、自治体がゴミ拾いのイベントを開催しているため、インターネットで検索したり、地域の広報誌や掲示板をチェックしたりするのも良い方法です。

参加したいゴミ拾い活動が見つかったら、それぞれの活動の申し込み方法をチェックして、メッセージや応募フォームを通して申し込みます。

公園や海岸など、気になる場所があればゴミ袋やトング、軍手などを用意して、ゴミ拾い活動を始めましょう。

ゴミ拾いをするときにあると便利な道具

ゴミ拾いボランティアに参加するにあたって、あると便利な道具はいくつかあります。

道具目的
軍手・トング落ちているゴミで怪我をする可能性があるため
ゴミ袋主催団体が用意するケースも多い。必要な場合は持っていく
ウェットシート・汗拭きタオル汗を拭いて、快適に活動するため
水筒水分補給をこまめにするため
帽子・日焼け止め夏場は日差しが強いので、熱中症予防のためにあると安心
着替え長時間のゴミ拾いの場合、汚れることもあるため、あると良い

これらの道具があれば、快適にゴミ拾いへ取り組むことができるでしょう。

まとめ

本記事では、世界で起きているゴミ問題とゴミ拾いボランティアなどの解決方法について解説しました。

各国で深刻化するゴミ問題は、早期の改善が求められており、特にポイ捨ては環境に悪影響を与えています。

ポイ捨てをしないことはもちろんですが、使い回せるアイテムを取り入れたり、5Rを意識して生活することが大切です。

また、私たち一人ひとりがゴミ問題に目を向け、ボランティアに参加するなどの行動を起こすことで、ゴミ問題の解決にもつながります。

ゴミ問題に取り組むことは、地球に住む人々や海洋生物のためだけでなく、地球環境を守るためにも重要です。

一人で解決するのは難しい問題ですが、みんなで協力すれば、ゴミのない地球を目指すことができます。

「ゴミ拾いボランティアに参加してみたい」「実際に目で見て考えてみたい」と思った方は、ぜひ一度ゴミ拾いボランティアに参加してみましょう!

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」では、小学生から中学生のお子さんとゴミ拾いを行う活動なども行っています。

今後も、子どもたちが主体的に環境問題に取り組めるような活動を実施していくため、気になる方はぜひご覧ください。

空き缶等ごみ追放キャンペーン参加|イオン1%クラブ

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域発展の貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

公益財団法人イオン1%クラブでは、小学生を中心とし、体験学習から自然や環境に向き合うことができる「イオン チアーズクラブ」も運営しています。

イオン チアーズクラブではリサイクル工場の見学や、過去にはサトウキビを使ったさまざまなリサイクルの体験など、環境に関する体験や学習をしています。

また、高校生が日ごろ学校で取り組んでいる環境活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」などさまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLからご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

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