エシカルとはどういう意味?わかりやすく簡単にポイントを解説
環境

2025.07.29

エシカルとはどういう意味?わかりやすく簡単にポイントを解説

最近「エシカル」という言葉を耳にする機会が増えましたが、その意味を正しく理解している方は少ないかもしれません。

エシカルとは、環境や社会、人々の権利に配慮した「やさしい選択」をすることです。

本コラムでは意味や定義だけでなく、買い物や暮らしにエシカルな考え方を取り入れるためのアイデアも紹介します。

エシカルとは何?意味を簡単にわかりやすく解説

「エシカル(Ethical)」とは直訳すると「倫理的な」「道徳的な」という意味です。近年では、人や社会、地域、環境に配慮した選択や行動を意味する言葉として広く使われるようになりました。

エシカルな行動は、環境保全や人権問題の解決、地域社会の共生などのさまざまな課題の解決につながると考えられています。例えばフェアトレードのコーヒーを選ぶ、動物実験を行っていない化粧品を選んで使うということもエシカルな行動の一環です。

最近では、人や社会・環境に配慮した消費行動である「エシカル消費」を始め、さまざまな形でエシカルな行動への関心が広がりつつあります。

難しく考える必要はなく、「自分以外の誰かや地球に思いやりを持つこと」がエシカルな行動の第一歩です。

どうして今エシカルな考え方が注目されているの?

近年、「エシカル」という考え方が急速に広まりつつあります。その背景にあるのは、社会や地球規模の課題に対する意識の高まりや、地域の協力団体の取り組み、消費スタイルの変化などのさまざまな要因です。

ここで、エシカルな考え方に注目が集まる理由を3つの視点で解説します。

国や自治体もエシカルな取り組みを取り入れ始めているから

近年では、国や自治体が「エシカル消費」を推進するようになりました。例えば、消費者庁ではエシカル消費の普及啓発のために公式の特設サイトを開設し、全国の自治体や教育機関、法人と連携して普及活動を進めています。

地方自治体の取り組みも見逃せません。例えば山梨県は、2021年9月に全国初となるアニマルウェルフェア(動物福祉)認証制度※を策定しました。

※ 動物が快適に過ごせる環境を提供し、ストレスを減らすことを目的とした制度

このように地域ぐるみでエシカルな生産や消費を支援する取り組みが見られています。

こうした公的機関の啓発活動により、私たち消費者にも身近な選択肢の一つとしてエシカルな取り組みが認知されるようになりました。

社会問題や環境問題に対する意識が高まっているから

社会問題や環境問題への意識の高まりも、エシカルな考え方の浸透に繋がっています。

2021年の日本生協連の調査によると、エシカル消費に関心がある層は過半数にのぼっています。理由は「環境のため」(58.6%)「子どもや次世代のため」(39.1%)「働く人の支援や動物保護につながるから」(32.1%)といった回答が上位を占めました。

また、公益財団法人旭硝子財団が2024年に実施した調査によると、気候変動の問題を受けて全体の74.5%が個人で何らかの行動を起こしていると報告されています。

このように日本国内でも環境問題への関心は着実に高まっており、それに伴ってエシカルな考え方も注目されています。

 「モノ」ではなく「共感」で選ぶ時代になってきたから

近年は、消費者が単なる「モノ」ではなく、背景にある想いや価値観に「共感」して製品やサービスを選ぶ傾向が強まっており、エシカルな共感を呼ぶ消費を「エシカル消費」と呼びます。

消費者庁が2023年に実施した調査によると、エシカル消費につながる行動を実践している方の割合は36.1%で、前年の27.4%から増加していることがわかりました。

別の団体の調査ではエシカルな活動を行う法人に対して9割以上の方が好意的な印象を持つという結果も出ています。価格やブランドだけでなく法人の社会的姿勢に共感して製品を選ぶ消費者が増えていることが伺えます。

身近にある!エシカル⚪︎⚪︎を紹介

「エシカル」と聞くと「ちょっと難しそう……」と思う方も多いかもしれませんが、エシカルな考え方は、私たちの身近な買い物やライフスタイルにもすでに浸透しつつあります。

ここでは、暮らしのなかで出会える「エシカル○○」を3つご紹介します。

エシカルファッション

エシカルファッションとは、簡単に言うと人や地球にやさしいファッションのことを言います。

衣服の製造から着用、廃棄に至るまでのライフサイクル全体で、環境や人権への配慮がなされている点が特徴です。

エシカルファッションの背景にあるのは、アパレル業界による大量生産・大量廃棄による環境負荷や低賃金労働などの問題です。このような問題の解決に向け、近年は素材や生産過程に配慮したり、フェアトレードを採用したりするブランドも増えてきました。

日本でもオーガニックコットン素材の衣服を販売し、生産者支援とおしゃれの両立を実現しているブランドがあります。

ほかにも洋服のリサイクル回収ボックスを設置したり、環境に配慮した新素材の開発を進めたりという活動が広がっています。

エシカルフード

エシカルフードとは、環境負荷の低減や生産者の人権・生活への配慮など「人にも地球にもやさしい」方法で生産・流通された食品のことです。具体的には、フェアトレード認証や有機JAS認証を受けた食品、地元産の旬の野菜などが挙げられます。

例えば、コーヒーを始めとしたフェアトレード製品を選ぶと、生産者は適正な価格で取引できて生活を改善しやすくなります。

農薬や化学肥料をできるだけ使わない有機JAS認証の食品を選べば、土壌や水質への負荷を減らしている農家のサポートになります。

また、地元産の旬の食材を選ぶ「地産地消」は、輸送にかかるエネルギーを削減し、食料の輸送が環境に与える負荷を減らす効果があります。

最近ではスーパーやオンラインストアでもエシカルフードがわかりやすく設置されるケースも増え、手軽に選択しやすくなりました。

エシカルジュエリー

エシカルジュエリーとは、採掘から製造・販売に至るまで、人権侵害や環境破壊を伴わない透明性のある素材を使用したジュエリーのことです。

特にダイヤモンドや金の採掘現場では、武装勢力の資金源になったり、劣悪な労働環境が問題視されたりしてきました。

こうした課題を受け、近年は製品がいつ・どこで・誰によって作られたのかを追跡できるトレーサビリティを管理する動きが広がっています。

紛争により得られたダイヤモンドは使わず、出所が明確なもののみを扱うなどの取り組みも見られるようになりました。

児童労働や搾取が行われていない小規模鉱山のフェアマインド認証を受けた貴金属を使用するケースもあります。

リサイクルゴールドやリサイクルシルバーなどの既存の資源を再利用することで、採掘に伴う環境負荷を抑える動きも活発化しています。

私たちにもできるエシカルな暮らしのアイデア集

「エシカルって良さそうだけど、実際に何をすればいいの?」という声に応えるために、今日から取り入れられるエシカルなアクションを5つ厳選しました。

どれも特別な知識や準備無しで取り組めるものばかりです。暮らしのなかのちょっとした工夫から始めてみましょう。

フェアトレード商品を選んでみよう

まず手軽に取り組めるのが、フェアトレード認証のついたモノを選ぶことです。

フェアトレードとは、その商品を生産する途上国の農家や労働者に適正な代価を支払い、児童労働などの人権侵害を伴わない持続可能な取引を行う仕組みのことを指します。

フェアトレード製品を買うことは、遠くの生産者の生活改善や自然環境の保全に直接つながります。

コーヒー、紅茶、チョコレート、バナナなど、私たちにとって身近な食品にもフェアトレード製品は数多くあります。

例えば、いつものコーヒーをフェアトレード認証コーヒー豆に、チョコレートをフェアトレードカカオ使用のものに変えてみてはいかがでしょうか。「選ぶだけ」でできる国際協力のかたちは、エシカルライフの入り口にぴったりです。

エコ認証のモノを選んでみよう

エコマークなどの認証が付いたモノを選ぶことも、日々の暮らしのなかで取り組めるエシカルな行動のひとつです。

認証機関により証明されている製品には「有機JAS」「FSC認証」「MSC認証」「エコマーク」などのマークが付いています。

買い物の際「これは環境や社会に優しいモノかな?」と迷ったら、認証マークの有無をチェックしてみましょう​。

エコマークについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

エコマークとは?意味や認定基準、商品の例を解説

地元産・旬の食材を選んで食べよう

毎日の食事でもエシカルな行動を意識できます。それは地元で採れた旬の食材を積極的に選ぶことです。地元で採れた食材を積極的に選ぶことは「地産地消」とも呼ばれています。

そもそも遠くから運ばれてくる食材には、輸送に多くのエネルギーがかかっていることをご存じでしょうか。

一方で、地元で採れた旬の食材は、輸入食品や遠方で生産された食材ほど輸送距離が長くありません。その結果、食料の輸送が環境に与える負荷の指標であるフードマイレージを削減でき、二酸化炭素排出量の抑制につながります。

地産地消は、生産者との距離が近くなることで安心感を得られたり、地域経済の応援につながる点も魅力です。

旬の野菜や果物はもっとも栄養価が高く、鮮度や味にも優れているため、地元の食文化を体感しつつ、美味しさという恩恵も同時に得られます。

長く使えるモノを選び、捨てない暮らしを意識しよう

長く使えるモノを選ぶことも、地球環境に配慮したエシカルなライフスタイルを実現する大切なポイントです。

衣類だけを見ても、日本では毎年約50万トン以上が捨てられ、その90%以上が焼却・埋め立て処分されています。しかし、環境省の試算によると「今ある服を1着、たった1年長く着るだけ」で、日本全体の衣類廃棄を4万トン以上も減らすことが可能です。

リサイクル・アップサイクルを意識しよう

リサイクルは使い終えた製品などのごみを原料に戻して再利用すること。アップサイクルは不用品にデザインやアイデアを加えて新たな価値を生み出す方法のことです。

例えば資源ごみをきちんと分別してリサイクルに出したり、古着をリメイクして雑巾やバッグにしたりするだけでもごみの削減に貢献できます。

まずは捨てる前に「別の使い道はないか?」と考える習慣を身につけ、日常から資源を循環させる暮らしを始めてみましょう。

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。

イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。

体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。

「環境に優しい行動とは何かを考える子どもに育ってほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。

子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!

まとめ

本コラムでは、「エシカル」という言葉の意味から、私たちの暮らしとの関わり、具体的な行動まで幅広く解説してきました。

「エシカル」とは、誰かのため、地球のため、未来のために配慮し「やさしい選択」をすることです。難しいことを完璧にやる必要はありません。

フェアトレード認証の付いた食品を買う、エコマークの付いたモノを買うなど、ちょっとした行動が立派なエシカルな行動です。

一人ひとりの選択が、社会を変えるきっかけになります。ぜひ、今日から「私にできるエシカルな行動」を始めてみませんか?

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。

また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

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