国際生物多様性の日って何をする日?5月22日は生物の未来について考えよう!
環境

2025.04.22

国際生物多様性の日って何をする日?5月22日は生物の未来について考えよう!

5月22日は国際生物多様性の日です。

国際生物多様性の日は生物と自然の大切さを考え、環境保全に取り組むための日ですが、具体的にどのようなことをすればいいかわからない方もいるでしょう。

本コラムでは国際生物多様性の日に何をすればいいのか、そもそも生物多様性がなぜ大切なのかについて解説します。

国際生物多様性の日とは?

国際生物多様性の日は5月22日で、生物と自然の大切さを考え、環境保全に取り組むための日です。

国際生物多様性の日は、生物多様性が失われている現状を多くの方に知ってもらうために、国際連合が制定しました。

1992年の5月22日に生物多様性条約が採択されたことに由来しており、毎年この日に合わせて、世界中で生物多様性を守るための普及啓発イベントが開催されています。

国際生物多様性の日には毎年テーマがある

国際生物多様性の日には毎年テーマが設けられ、テーマに沿ったイベントが世界中で開催されています。

開催されるイベントは、生物多様性の保全と国際生物多様性の日を広く普及させることを目的としています。

以下はこれまでに設けられたテーマです。

  • 2024年:”Be part of the Plan” (共に未来を)
  • 2023年:”From Agreement to Action: Build Back Biodiversity” (「合意」を「実行」に。生物多様性を取り戻そう。)
  • 2022年:”Building a shared future for all life” (すべてのいのちと共にある未来へ!)

これらのテーマに沿って、私たち一人ひとりが生物多様性について考え、行動することが求められています。

生物多様性とは?失われている原因って?

「生物多様性」という言葉を聞き慣れない方も多いと思いますが、実は私たちの暮らしに深く関わっている非常に大切なものです。

生物多様性とは何か、そしてなぜ失われているのか、その原因についてわかりやすく解説します。

生物多様性とは? 

地球には多種多様な生物が共存しており、人間や動物、植物、そして目に見えない菌やバクテリアまで、さまざまな生物が存在しています。

これらの生物たちは、長い歴史の中で、互いに深く関わり合い、支え合いながら進化を遂げてきました。

この多様な生物のつながりを「生物多様性」と呼びます。

どの生物も、たった一種だけで生きていくことはできません。

例えば、木は花や実をつけた後に枯れて地面に落ちます。

落ちた葉や実は、動物や昆虫が食べたり、菌類や微生物が分解します。

そして、それらの生物の排泄物や死骸が、土壌の栄養となり、植物の成長を助けるというように、命は循環しています。

地球上の生物たちは、直接的にも間接的にも、すべてつながりあって生きているのです。

このように、生物多様性は、地球の生態系を維持するために非常に重要なつながりです。

生物多様性が失われている原因って?

WWF(世界自然保護基金)とロンドン動物園協会(ZSL)が公表している「Living Planet Report 2024」によると、1970年から2020年の過去50年間で野生生物の個体数が平均73%も減少しているという事実が明らかになりました。

急速な生物多様性の喪失には、人間の活動が大きな影響を与えていると考えられています。

主な原因として、生物の乱獲や森林破壊、外来種の持ち込みなどが挙げられ、地球温暖化もこれらの問題に拍車をかけています。

生物多様性がなくなるとどうなる?

もし生物多様性が失われてしまったら、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。

実は、食料や水、綺麗な空気などの私たちが当たり前のように恩恵を受けているものが、当たり前ではなくなってしまうかもしれないのです。

ここでは、生物多様性が失われることで起こりうるさまざまな問題について、詳しく解説していきます。

食料・水などの「供給サービス」が失われる

生態系は、私たちが生きていくために必要な食料や水、さまざまな原材料などを与えてくれており、これを「供給サービス」と呼びます。

植物は光合成によって成長し、その過程で葉や実、種子を作り出します。

これらは草食動物の食料となり、さらに草食動物は肉食動物や私たち人間の食料になります。

また、水も森林や土壌に生きる生物の働きによって浄化され、安全な飲み水として供給されています。

このように、私たちの食料や飲み水は、生物がいなければ成り立ちません。

野菜や肉、魚など、すべては生物のおかげで得られているのです。

もし生物多様性が失われることによって生物の種類が減ってしまうと、食料が不足し、深刻な事態を招く可能性があります。

暮らしを守る「調整サービス」が失われる

私たちが快適に暮らせる環境は、自然が持つさまざまな機能によって支えられており、その中でも、気候や環境を整える役割を担うものを「調整サービス」と呼びます。

例えば、植物は大気汚染や騒音を軽減させる効果を持ちます。

植物は、二酸化炭素を吸収し、酸素を放出することで空気を浄化しています。

植物には気温の調整機能もあり、都市部におけるヒートアイランド現象※緩和にも重要です。

森林は、緑豊かな風景を見せてくれるだけでなく、土壌を安定させる働きもあります。

その結果、土砂崩れや洪水といった自然災害のリスクを低減するなど、私たちの安全を守る重要な役割を果たしているのです。

調整サービスは自然災害が多い日本において、被害を軽減する上で特に重要です。

その他にも、サンゴ礁は観光資源や魚のすみかとしてだけでなく、天然の防波堤として、高波から陸地を守る役割を果たしています。

また、北海道では、冬の強風により吹雪や地吹雪が発生し、視界不良による交通事故が起こることがあります。

そのため、道路脇に林を作ることで吹雪を防ぎ、交通事故を減らす取り組みが行われています。

このように、自然は私たちの暮らしをさまざまな形で守ってくれているのです。

※ 都市の中心部の気温が郊外に比べて高くなる現象

レジャーや精神的な安らぎを与える「文化的サービス」が失われる

自然環境は、私たちが海水浴や登山などのレジャーを楽しむだけでなく、美しい景色を鑑賞することにより精神的な安らぎを与えてくれます。

このように、自然環境が文化活動や人々の精神にもたらす恵みを「文化的サービス」と呼びます。

文化的サービスは、私たちに精神的な安らぎを与えてくれるだけでなく、感性を豊かに育んでくれますが、生物多様性が失われるとこれらの貴重な機会も減少してしまいます。

美しい自然が損なわれれば、レジャーの場が減ってしまい、癒しの機会も失われてしまうでしょう。

光合成や土壌形成などの「基盤サービス」が失われる

基盤サービスとは、他の3つの生態系サービスを支える、最も基本的な機能のことです

生物や自然が私たちに提供してくれる食料や綺麗な空気、レジャーといったさまざまなサービスは、「基盤サービス」によって支えられています。

例えば、枯れた植物や動物の死骸は、バクテリアなどの小さな生物によって分解され、栄養豊富な土壌が作られます。

この土壌が植物の生育を支え、さらにその植物を食べる動物、そしてその動物を食べる動物といった具合に、食物連鎖を通じて生物の数のバランスが保たれています。

もし、基盤サービスが失われると、栄養豊富な土壌はつくられず、植物は育たず、生態系全体が崩壊してしまいます。

このように、生物はお互いを助け合って生きており、さまざまな植物や動物がいることで生態系は成り立っているのです。

国際生物多様性の日に行われるイベント

国際生物多様性の日には、毎年「国際生物多様性の日シンポジウム」というイベントが開かれます。

2023年のシンポジウムでは、2022年12月に採択された2030年までの国際目標「昆明・モントリオール生物多様性枠組」の達成に向けた議論が行われました。

この他にも、植樹などを行う「グリーンウェイブ」をはじめ、世界各地で生物多様性に関連したさまざまなイベントが開催されています。

生物多様性を守るために私たちにできることは?

生物多様性を脅かす要因の一つに地球温暖化があります。

地球温暖化によって、生物の生息地の変化や異常気象が引き起こされ、多くの生物が生存の危機にさらされています。

しかし、以下のような私たちの身近な行動が、温暖化の進行を抑え、生物多様性を守ることにつながります。

  • 節電する
  • ゴミを減らす
  • 植物を育てる

それぞれについて解説します。

節電する

節電は、生物多様性を守るために私たちができることの一つです。

電気を作るためには、石油や石炭を燃やす必要があり、その際に温室効果ガスが発生します。

この温室効果ガスが地球温暖化の原因の一つとされています。

次の行動は日々の生活でもできる、簡単な節電の取り組みです。

  • 使っていない部屋の電気はこまめに消す
  • 白熱電球や蛍光灯を、LED照明に交換する
  • エアコンの設定温度を見直し、室温を夏季は28℃、冬季は20℃を目安に調整する
  • 電化製品を使用しない時は主電源を切るか、コンセントからプラグを抜く

些細な行動でも節電につながるため、積極的に行っていきましょう。

ゴミを減らす

ゴミを減らすことも、生物多様性を守るためには重要な行動です。

ゴミを焼却処分すると、温室効果ガスが排出され、地球温暖化を進める要因の一つとなっています。

地球温暖化は生態系に悪影響を及ぼし、生物多様性の損失を引き起こす可能性があります。

ゴミの量を減らすことで、焼却時に排出される二酸化炭素を削減できます。

物を大切に長く使う、マイ箸やマイバッグを持参するなど、日々の生活でゴミを減らす工夫をしてみましょう。

例えば、外食の際に割り箸ではなくマイ箸を使えば、ゴミを減らせるだけでなく、森林資源の保護にもつながります。

さらに、ゴミを減らすためには、5R(リサイクル・リデュース・リユース・リフューズ・リペア)の考え方を意識することも重要です。

不要なものはできるだけ受け取らない(リフューズ)、繰り返し使えるものを選ぶ(リユース)、修理して長く使う(リペア)といった行動を心がけることで、廃棄物の削減につながります。

5Rについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

リサイクル・リデュース・リユースを含む5つのRとは?日常生活での取り組み例も紹介

植物を育てる

植物を育てることも、私たちにできる生物多様性を守る取り組みの一つです。

植物は光合成によって温室効果ガスである二酸化炭素を吸収し、酸素を作り出してくれます。

また、植物を育てることで、身近な環境にさまざまな恩恵をもたらすことができます。

例えば、窓につる性植物を這わせて「緑のカーテン」を作ると、日差しを遮ることで室温の上昇を抑えられ、冷房の使用を減らすことができます。

冷房の使用を控えることで、電気料金を節約できるだけでなく、発電時に排出される二酸化炭素を抑えることにもつながります。

特に夏場は電力消費が一年で最も多い時期ですが、その大きな要因は家庭やオフィスでの冷房使用です。

多くの人が緑のカーテンを設置し、少しでも冷房の使用を控えることで、石炭や石油などの化石燃料の消費を減らし、地球温暖化の防止に貢献できます。

緑のカーテンは、エアコンの使用を減らすことによる省エネ効果と、植物の光合成による二酸化炭素の吸収という、二つの面から地球温暖化対策に貢献できる方法です。

また、緑のカーテンは、蝶や小鳥などの生物を呼び寄せる効果が期待され、市街地の生態系を豊かにする役割も果たします。

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブの「イオン チアーズクラブ」では、年間を通してさまざまな環境に関する体験活動を実施しています。

農園での収穫体験や植樹祭への参加、ゴミ拾いなど、生物多様性を守るために重要な環境問題に関連した幅広い体験が可能です。

そのほかにも、子どもたちが楽しみながら環境について学べるさまざまな体験活動を実施しています。

イオン チアーズクラブでは、体験活動を通じて、実際に自然に触れながら環境への興味や考える力を育むとともに、集団行動における社会的なルールやマナーも学ぶことができます。

「イオン チアーズクラブ」に参加して生物多様性を守る活動をしよう!

イオン チアーズクラブは、生物多様性を守るための活動を数多く行っています。

ここでは、イオン チアーズクラブが実際に行った、生物多様性を守る活動をいくつかご紹介します。

上野動物園の見学

上野動物園の見学では、上野の森の歴史や文化に触れることができました。

上野公園は、「上野の森」として長年多くの人々に親しまれています。

日本で最初の動物園である上野動物園を訪れることで、「なぜ上野に動物園が作られたのか」「上野の森はどのように形成されていったのか」など、歴史や文化について興味を持つきっかけとなりました。

当日は天候にも恵まれ、多くの動物たちを観察でき、メンバーは目を輝かせていました。

牛久チアーズ農園

茨城県牛久市にある「牛久チアーズ農園」は、チアーズクラブ専用の農園です。

イオン チアーズクラブのメンバーが種まきや苗植えから収穫まで、一連の農作業を体験することができます。

「牛久チアーズ農園」の活動は、農作物を作る大変さや楽しさを実感し、自然環境や食べ物の大切さについて学ぶことを目的として実施されています。

2024年4月21日の活動では、ロメインレタスの定植※やそら豆とかぶの生育観察、ホウレンソウの収穫体験などを行いました。

そのほか、5月には生育観察をしたかぶの収穫、秋にはかぼちゃの定植作業を行いました。

※ ポッドなどで育てた苗を、最終的な生育の場である畑などに植え替える作業

科学館での野外活動

自然系科学館での野外活動では、テーマである「森」について学び、プラネタリウムを観覧しました。

森の公園を散策して虫取りをしたり、セミの声に耳を澄ませたり、プランクトンのいる池で生き物を観察したりと、自然を満喫することのできた活動でした。

さらに、2023年のイオン チアーズクラブのテーマである「森」について学習し、木の大切さや一人ひとりが環境のためにできることについて考えを深めました。

この他にも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。

イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。

子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!

まとめ

5月22日は「国際生物多様性の日」です。この日は、生物と自然の大切さを考え、守るための日として、世界中でさまざまなイベントが開催されています。

私たちも、生物多様性を守るために、日頃からできることがあります。

節電やゴミの削減など、身近なことから取り組むことが大切です。

イオン チアーズクラブでは、生き物や植物に触れ、楽しみながら学べる体験学習に参加できます。

ぜひ、こうした機会も活用しながら、生物多様性について考え、自分にできる行動をしていきましょう。

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域発展の貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

公益財団法人イオン1%クラブでは、小学生を中心とし、体験学習から自然や環境に向き合うことができる「イオン チアーズクラブ」も運営しています。

イオン チアーズクラブでは、環境に関するさまざまな体験や学習を1年を通して実施し、自然や環境に興味を持ち、考える力を育てるお手伝いをしています。

また、中学生が環境問題を自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」などさまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLからご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

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