
2026.02.17
ゼロエミッションとはどういう意味?効果や取り組み事例・課題まで徹底解説
環境問題への関心が高まるなか、企業・自治体発信の情報やニュースなどで「ゼロエミッション」という言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。
ゼロエミッションとは、持続可能な社会を実現するための重要な概念の一つであり、私たちの生活や経済活動にも大きな影響を与えている取り組みのことです。
本コラムでは、ゼロエミッションの意味や期待される効果、カーボンニュートラルなどの用語との違いを整理しつつ、政府や自治体の施策をわかりやすく紹介します。
目次
ゼロエミッションとはどういう意味?どんな効果がある?

「ゼロエミッション」という言葉を環境関連のニュースや自治体の取り組みなどで耳にしたことがある方もいるかもしれません。
しかし、ゼロエミッションの正確な意味や、具体的に得られる効果についてはよくわからないと感じる方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ゼロエミッションの基本的な意味と、期待される効果についてわかりやすく解説します。
ゼロエミッションの意味
ゼロエミッションは、国連大学によって1994年に提唱された言葉で、1997年の環境白書によると、その意味は次のように記載されています。
産業界における生産活動の結果、水圏、大気圏や地上圏等に最終的に排出される不用物や廃熱(エミッション)を、他の生産活動の原材料やエネルギーとして利用し、産業全体の製造工程を再編成することによって、循環型産業システムを構築しようとする試み
出典:環境省
簡単に解説すると、「生産活動によって排出される不用物や熱を再利用することで、最終的な不用物を限りなくゼロにすることを目指す」という考え方のことです。
英語では「Zero Emissions」と表記されますが、数字のゼロと、排出という意味を持つエミッションを組み合わせて作られた言葉です。
ここでいう不用物には、地球温暖化を引き起こす二酸化炭素などの温室効果ガスのほか、大気汚染物質も含まれます。
ゼロエミッションに期待される効果
ゼロエミッションに向けた取り組みは、環境問題の解決に向けた大きな効果が期待されています。先に解説した通り、ゼロエミッションに基づいて削減を目指す生産活動に伴う不用物には、地球温暖化や大気汚染などを引き起こす物質も含まれるからです。
例えば、生産活動の排出物の一つである二酸化炭素など温室効果ガスの排出をできる限り抑えられれば、平均気温の上昇を抑えられます。
大気汚染物質が減って、空気がきれいになれば、呼吸器感染症をはじめとした健康被害を受ける人々を減らせるでしょう。
つまりゼロエミッションとは、地球にも人々にも優しい持続可能な社会を実現する効果をもたらしてくれるのです。
関連する3つの用語とゼロエミッションの違い

環境問題に関連して、ゼロエミッションと似た用語を目にする機会が増えています。なかには意味がよく似ていて、混同しやすい言葉も多く見られます。
ゼロエミッションを正しく理解するため、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーといった用語との違いを確認してみましょう。
①カーボンニュートラル
カーボンニュートラルとは、人間の生活に伴い排出される二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスを吸収または除去することで差し引きゼロにすることです。
具体的な方法としては、植林が代表的です。光合成時に大気中の二酸化炭素を吸収するという植物の特性を活用し、カーボンニュートラルを目指します。
環境負荷の最小化を目指す点ではゼロエミッションも共通していますが、ゼロエミッションのほうがカーボンニュートラルよりも対象が広い点に違いがあります。
カーボンニュートラルが「温室効果ガス」を対象としているのに対し、ゼロエミッションの対象は「人の生産活動によって排出される不用物」です。ここには温室効果ガスだけでなく、廃棄物や廃熱なども含まれています。
なお、カーボンニュートラルと同義で使われる言葉に「ゼロカーボン」という言葉もあります。
カーボンニュートラルについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
カーボンニュートラルの意味とは?未来の地球のために私たちができる取り組みを解説
②サーキュラーエコノミー
サーキュラーエコノミーとは、製品をつくる前の段階から再利用やリサイクルを前提として計画し、新たな資源の使用を最小限に抑え、今あるものを大切に長く使いながら、製品やサービス全体で新しい価値を生み出す経済活動のことです。「循環経済」ともいわれます。
従来の大量生産・大量消費といった経済社会活動では、いずれ天然資源が枯渇するうえ、さまざまな環境問題にもつながります。このような課題解決に大きな役割を果たすことから、サーキュラーエコノミーは今、世界的に注目されています。
一方、ゼロエミッションは生産活動によって排出される二酸化炭素をはじめとした不用物を可能な限りゼロにすることを目指す考え方です。
サーキュラーエコノミーが資源と価値を循環させる仕組みであるのに対し、ゼロエミッションは生産活動による不用物を出さないという結果を追求する点が異なります。
ゼロエミッションの達成にはサーキュラーエコノミーは欠かせません。例えば、捨てられた製品をゴミとして焼却するときには、二酸化炭素やちっ素酸化物などの不用物が発生するためです。
サーキュラーエコノミーの推進は、ゼロエミッションの実現を支える重要な手段だといえるでしょう。
③5R
5Rとは、次の単語の頭文字を取ってつくられた言葉で、限りある資源を有効活用するための5つの行動指針のことです。
- リフューズ:いずれゴミとして捨てるものを断ること
- リデュース:ゴミの発生を抑えること
- リユース:モノを繰り返し使うこと
- リサイクル:モノを資源として再生して利用すること
- リペア:モノを修理して使うこと
ゼロエミッションは、「生産活動によって発生する不用物を再利用することで、循環型の産業システムを作ろう」という考え方であり、生産活動の場で行われている5Rもまた、そのための取り組みの一環だといえます。
5Rについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
リサイクル・リデュース・リユースを含む5つのRとは?日常生活での取り組み例も紹介
ゼロエミッションに関連する自治体の取り組み事例

日本が行っているゼロエミッションの取り組みのなかから、東京都が実施している「ゼロエミッション東京」を紹介します。
具体的な取り組みとしては、まず、「2030年までに温室効果ガスの排出量を東京都では2000年比で50%減らす」というカーボンハーフと呼ばれる目標を表明しています。
さらに、表明を実現するためにゼロエミッション東京戦略という具体的な取り組みやロードマップも策定・公開されています。
▼ ゼロエミッション東京戦略における具体的な政策の一例
- 再生可能エネルギーをメインとして活用するエネルギー源にする
- 水素エネルギーの普及を進める
- フロン対策を行う
- リサイクルなどの持続可能な資源の利用を推進する
- 食品ロス対策を行う
さらに、2025年には戦略が更新され、新たに2035年の目標設定も追加されました。大目標は、2035年までに温室効果ガス排出量を60%以上削減(2000年比)することです。
大目標をかなえるための小目標として、エネルギー消費量の50%以上削減(2000年比)や、食品ロスの65%削減(2000年度比)など、さまざまな分野における具体的な数値による基準も設けられています。
ゼロエミッションに関連する企業の取り組み事例

国や自治体だけでなく、企業単位でもゼロエミッションを目指す取り組みが行われています。
例えば、製造業では工場内でリデュース・リユース・リサイクルを徹底し、廃棄物の埋立をゼロに近づける取り組みをしている企業があります。
食品製造業では、製造過程で出る食品由来のゴミを飼料や肥料として再利用する取り組みも行われています。
モノの製造に使用する資源を再生利用しやすいものに変えたり、自社製品を回収・リサイクルするサービスを打ち出したりしている企業もあります。
テレビコマーシャルやWebメディア、雑誌などでもゼロエミッションの取り組み事例について紹介されているケースが増えています。
ぜひこの機会に、「どのようなところが、どのような取り組みをしているんだろう」と、気に掛けながら、普段触れているメディアに目を向けてみてください。知識を得たことで視点が変わり、新たな気づきを得られるかもしれません。
ゼロエミッション実現に向けた主な課題

ゼロエミッションに向けた取り組みは、環境問題対策として高い効果が期待されています。しかし、その一方でゼロエミッションの実現には、多くの課題が存在していることをご存じでしょうか。
ここでは、ゼロエミッション実現に向けた主な課題について、わかりやすく解説します。
再生可能エネルギーの普及に壁がある
ゼロエミッション実現には再生可能エネルギーの導入拡大が求められますが、日本での普及には大きな壁が立ちはだかっています。
再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力など)は、石油や石炭といった化石燃料とは異なり、利用しても枯渇することがなく、さらには発電時に温室効果ガスをほとんど排出しないというメリットがあるため、ゼロエミッションの実現に大きく貢献します。
しかし、設備の導入にも、維持するためにも高額な費用がかかるのがネックです。
費用面でいうと、日本では再生可能エネルギーの普及を進めるため、FIT制度※を実施していますが、制度を運営するのにかかる費用の一部は毎月払う電気代に上乗せする賦課金(ふかきん)という形で、国民から広く集められています。
結果、無理に再生可能エネルギーの普及を進めてしまうと、国民にも大きな負担がかかってしまうのです。
※ 再生可能エネルギー固定価格買取制度のこと。この制度を持って、一定期間、再生可能エネルギーによって発電した電気を電力会社が一定価格で買い取ることを国が約束する。
さらなる技術開発が必要不可欠
ゼロエミッション社会の実現には、革新的な技術開発の推進も欠かせないでしょう。場所や用途を選ばずに、再生可能エネルギーをつくり・使うには、技術によって解決しなくてはいけない課題が多いためです。
例えば、再生可能エネルギーの設備はその性質上、都市部から離れたところにあるため、遠くまで効率的に送電するための技術開発が必要です。
また、日本のように平地面積が少ない国では、太陽光発電の設置場所が限られていることも再生可能エネルギーの普及を阻む原因となっており、これの解決にも技術開発が必須だと考えられています。
実際、国を挙げての開発が進められており、すでにペロブスカイト太陽電池と呼ばれる次世代型の太陽電池も生まれています。
一般的にイメージされる太陽電池といえばいわゆる大きなパネル型のものですが、ペロブスカイト太陽電池は、薄く・軽く・柔軟性があるのが特徴です。
現在はまだ実用化に向けての開発段階ではありますが、壁面や窓など、これまで設備を設置しにくかった場所での活用が期待されています。
公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。
イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。
体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。
「楽しみながら環境や社会について学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。
「イオン チアーズクラブ」で開催された活動
ここでは、イオン チアーズクラブでこれまでに実施してきた活動内容の一部をご紹介します。
FCバス展示イベントとエネルギー環境教室
イオン チアーズクラブのメンバー11名が、宮城県富谷市で開催されたFCバス※展示イベントとエネルギー環境教室に参加しました。
宮城県初導入となるFCバスの展示会場に集まったメンバーたちは、車内で水素を使った仕組みの説明を受け、その構造や環境へのやさしさを学びました。
続いて会場を移動し、環境教室に参加しました。エネルギーを「つくる」「ためる」「かしこく使う」という考え方をスライドとワークシートで学び、後半はLEDライトの工作に挑戦しました。
※水素で走る燃料電池バス(Fuel Cell Bus)のこと
このほかにも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。
イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。
子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!
まとめ
ゼロエミッションとは、生産活動によって発生する廃棄物を再利用し、可能な限りゼロに近づけるという考えのことです。実現すれば、地球温暖化や大気汚染などさまざまな環境問題の改善が見込まれます。
産業活動に関わる話であるため、その取り組みの多くは自治体や企業が行っています。私たちもそのような取り組みによって作られたモノやサービスを積極的に購入したり、使ったりすることでゼロエミッションの実現に一歩近づきます。
今後、お買い物をするときには、意識してみてはいかがでしょうか。
公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。
また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。