オゾン層の破壊が起こる原因とは?影響や対策までわかりやすく解説
環境

2026.03.03

オゾン層の破壊が起こる原因とは?影響や対策までわかりやすく解説

1980年代から世界中で問題視されてきた「オゾン層破壊」。その主な原因は、私たちが日常的に使うエアコンやスプレーなどから排出される人工の化学物質です。

しかし、オゾン層の破壊によって何が起こるのか、そもそもオゾン層が何かをすぐに説明できる方は多くないかもしれません。

本コラムでは、オゾン層の役割や破壊の原因・影響、さらに保護対策までわかりやすく解説します。オゾン層についての基礎知識を知りたい方は、ぜひご一読ください。

オゾン層とは何?基礎知識をわかりやすく解説

オゾン層とは、地上から約10~50km上空の成層圏にある、オゾンが多く集まっている層のことです。こう聞くと、「そもそも、オゾンって何だろう」という疑問を抱く方もいるのではないでしょうか。

ここでは、オゾン層を構成するオゾンについて、また、なぜ成層圏にこのような層ができるのかを解説します。

酸素分子が分解・結合してできるのが「オゾン」

オゾン(O3)とは、酸素原子(O)が3つ結びついてできる気体のことです。

ちなみに酸素原子が2つ結びついてできるのは酸素分子(O2)で、一般的には酸素と呼ばれるものです。

オゾンには強い除菌・脱臭効果があるため、実は私たちの暮らしのなかでも身近に使われています。例えば、加工食品の食材洗浄や、ホテル、病院の消臭などです。

こうした目的のために人工的に生成することも多いオゾンですが、自然界では、そのほとんどが酸素が紫外線によって分解・結合することで、形成されます。

オゾン層のでき方

大気中にある約90%ものオゾンが成層圏に集まることで、オゾン層はできています。

なぜ成層圏にこれほど多くのオゾンが集まるのかというと、次のような特徴があるためです。

  • 強い紫外線が降り注いでいる
  • 酸素の分解がちょうど起こりやすい高度である

紫外線の強さだけであれば、成層圏よりもさらに上層のほうが太陽に近いため、強くなります。しかし、これに加えて、酸素の分解は高度が低いほど起こりやすいといった特徴があります。

つまり、成層圏のあたりは、紫外線と高度の条件がどちらも丁度良く、オゾンが形成されやすい環境なのです。

オゾン層の役割

オゾン層の重要な役割は、太陽から届く有害な紫外線を吸収することです。

オゾン層が形成されたのは、約5億年前だといわれています。それまでは、生物にとって有害なレベルの紫外線が、地表に降り注いでいました。

オゾン層は紫外線から守ってくれるシェルターのようなものだといえるでしょう。人間をはじめ、さまざまな生物が陸地で生活していけるのは、オゾン層のおかげなのです。

オゾン層破壊の原因とメカニズム

気象庁は1957年のつくば観測所を皮切りに、那覇や札幌、南極の昭和基地などで順次オゾン層の観測を開始しました。

1982年、南極上空のオゾン層が著しく減少し、穴が開いているように見える「オゾンホール」を発見。これをきっかけに、オゾン層の破壊について、世界中の関心が高まりました。

ここでは、このようなオゾン層の破壊がなぜ起こるのか、その原因とメカニズムについて解説します。

オゾン層破壊の主な原因は「フロン」

オゾン層を破壊する主な原因は、フロンガスなどの人工的につくられた化学物質です。

フロンの一種であるCFC(クロロフルオロカ―ボン)は、安価で人体への影響が小さく、安定した物質であることから、かつては冷蔵庫やエアコンなどの冷媒(れいばい)、スプレーの噴射剤、半導体や液晶の洗浄液など、幅広い用途で使われていました。

しかし、その安定性ゆえに大気中に放出されても分解されにくく、やがては成層圏にまで到達してオゾン層を破壊してしまいます。

このため、フロンは現在では、世界的に規制されています。

※ 空気中の熱を運ぶためのもの。エアコンであれば、室内の熱を外に運び出すために使用されている

オゾン層破壊のメカニズム

引用元:環境省

フロンは非常に分解されづらいと先に解説しましたが、成層圏で降り注いでいるレベルの強い紫外線を浴びると分解されます。

フロンが分解されるときには塩素原子が放出されますが、これがオゾンを分解するはたらきを持っているのです。

そのうえ、一酸化塩素はさらにほかの酸素原子を取り込み、酸素を生成して塩素原子へ戻ります。すると、その塩素原子がまたオゾンを分解して一酸化塩素になり、酸素原子を取り込んで酸素と塩素原子に戻り……と、連鎖的にオゾンを破壊し続けます。

塩素原子によるオゾンの分解力はすさまじく、1個の塩素原子によって、数万個ものオゾンが破壊されることもあるといわれています。

オゾン層破壊が及ぼす3つの影響

オゾン層の破壊によって問題となるのは、地上に降り注ぐ紫外線の量が増加することです。

紫外線には、カルシウムの吸収を促すビタミンDを生成する効果があるため、人間をはじめとする生き物にとって欠かせない存在です。

しかし、オゾン層が有害な紫外線をさえぎるようになったからこそ、さまざまな生き物が陸地へと進出できたように、紫外線を直接浴びることは、リスクでもあります。

ここでは、オゾン層破壊が及ぼす3つの影響について説明します。

①人々の健康を損なう恐れがある

紫外線を浴びすぎると健康に悪影響を及ぼすことが、多くの研究からわかっています。

長期間にわたり紫外線を浴び続けた場合、皮膚がんなどの深刻な病気を引き起こすこともあります。

紫外線で傷つけられた皮膚は修復能力によって自然と治っていきますが、ダメージが一定量を超えた場合、DNAの直し間違いを起こしてしまうことがあるのです。このときに生まれる突然変異細胞が皮膚がんの原因になると考えられています。

②生態系に悪影響を与える恐れがある

オゾン層破壊による紫外線の増加は、生態系への影響も懸念されています。

例えば、植物の場合、種類によっては過度な紫外線を浴びることで成長が妨げられたり、組成が変化したりすることがあります。

とはいえ、ほとんどの植物には紫外線を遮蔽(しゃへい)する化合物の合成や、葉を保護するワックス層を変化させるなどの防御メカニズムがあり、オゾン層の破壊によって急激にすべての植物が枯れるということはありません。

ただし、その植物を食べる動物や微生物を通じて、生態系に影響を与える恐れが指摘されています。

また、透明度の高い水域では特に紫外線が深く浸透し、水中に棲む生物の生殖機能および発育に障がいを引き起こすなどの影響が出ると分かっています。

③建築物や製品の劣化・損傷を招く

紫外線は羊毛や木材といった天然素材から、プラスチックなどの人工合成材まで劣化させることが分かっています。

劣化の症状としては、色褪せや強度の低下、変質などが現れます。例えば、外壁の塗装がはがれたり、プラスチックが割れやすくなったりします。

これは、オゾンの分解と似た仕組みによるもので、紫外線による分子の分解が起きるからです。塗料に使われている顔料や樹脂、プラスチックの樹脂などの分子を紫外線が分解し、劣化を進行させたり色褪せを起こしたりするのです。

外壁の塗装が落ちると、外壁のひび割れなど、建物本体の劣化を進行させることにもつながり、建築物の寿命が短くなる可能性もあります。

オゾン層保護に向けた国内外の取り組みや対策

オゾン層の保護は、地球で暮らす人々全員にとって重要なことであるため、これまで世界的に取り組みや対策が進められてきました。

なかでも大規模な取り組みとしては、1985年に締結された国際条約「オゾン層の保護のためのウィーン条約」が挙げられるでしょう。

条約の概要は、次の通りです。

「オゾン層の保護のためのウィーン条約」の概要

ア オゾン層の変化により生ずる悪影響から人の健康及び環境を保護するために適当な措置をとること(第2条第1項)

イ 研究及び組織的観測等に協力すること(第3条)

ウ 法律、科学、技術等に関する情報を交換すること(第4条)等

引用元:外務省

オゾン層の保護のためのウィーン条約では、国際的な協力のもと、オゾン層の保護を行うことが取り決められています。

さらに、1987年にはこの条約のもとで、オゾン層を破壊する恐れのある物質を特定し、生産や消費、貿易を規制するための「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」が採択されました。

日本は、これらの条約・議定書に加入し、1988年に「オゾン層保護法」を制定。法律に基づいてオゾン層破壊物質の生産規制や排出抑制に取り組んでいます。

「家電リサイクル法」や「自動車リサイクル法」も、オゾン層保護法のもと、フロン類の大気中への放出を防ぐために行われている取り組みです。

オゾン層を守るために私たちができること

世界中の国が協力してオゾン層の保護に取り組んだ結果、その状態は改善傾向にあります。しかし、1970代と比べると、今もなおオゾンの量は少ない状態です。

状況を悪化させず、さらに改善するためには、私たち一人ひとりの取り組みも欠かせません。具体的には、次のような心掛けがおすすめです。

1.ノンフロン製品を選ぶ

近年では、「ノンフロン製品」が普及し始めています。特に冷蔵・冷凍庫は種類が増え、選択肢も幅広くなっているため、購入の際にはノンフロン製品かどうかも検討材料に含めると良いでしょう。

2.フロン類の漏えい防止に努める

フロンはエアコンの冷媒として使われています。エアコン類の効きが悪くなったときは、フロン類が漏れている可能性もあるので、専門業者に点検してもらいましょう。

3.フロン類使用機器を廃棄する際は適切に回収する

特定のフロン類使用機器を廃棄するときは、法律に従う必要があります。冷蔵庫やエアコン、洗濯乾燥機などは家電リサイクル法、カーエアコンは自動車リサイクル法に基づいて、適切に回収・処理してもらいましょう。

こうした取り組みでオゾン層破壊物質を減らしていくことが、オゾン層や未来の地球を守ることにつながります。

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。

イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。

体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。

「楽しみながら環境や社会について学んでほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。

子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!

まとめ

本コラムでは、オゾン層破壊の原因や破壊による影響、オゾン層保護のための対策などを解説してきました。

世界的な取り組みにより、オゾン層は徐々に回復傾向にあるといいます。しかし、オゾン層の破壊が問題になった1980年代よりも前の状況に戻るまでには、まだまだ時間がかかるといわれています。

これ以上オゾン層の破壊を進めないために、できることから始めてみませんか。

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。

また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

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