エルニーニョ現象が日本に与える影響とは?メカニズムをわかりやすく解説
環境

2026.06.16

エルニーニョ現象が日本に与える影響とは?メカニズムをわかりやすく解説

エルニーニョ現象が生じると、日本では夏は涼しく冬は暖かくなるなど、気温や降水量が変化する傾向があります。これには太平洋の中部から東部にかけての海面水温の上昇が関係しています。

本コラムでは、エルニーニョ現象の定義やメカニズムについてわかりやすく解説するほか、日本への影響を季節ごとにまとめました。エルニーニョ現象の基本を理解し、日々の暮らしの備えとして、お役立てください。

エルニーニョ現象とは?基礎知識をおさらい

エルニーニョ現象とは、太平洋において海面水温や大気の流れが変化し、その変化が1年ほど続く状況のことです。数年おきに発生し、世界中の天候に影響を及ぼします。

ここでは、エルニーニョ現象の定義やメカニズムなど、基礎知識をわかりやすく解説します。

エルニーニョ現象の定義

気象庁では、エルニーニョ現象を次のように定義しています。

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。

引用元:気象庁

簡単にいうと、太平洋の広い範囲で海面の水温が高くなり、その状態が一定期間にわたり続くのがエルニーニョ現象です。

ただし、具体的に何度以上の温度上昇をエルニーニョ現象として判断するかは、国際的な定義がまだありません。日本の場合は、観測している海域の海面水温に次のような変化が起きたときを判断基準として定義しています。

気象庁では、エルニーニョ監視海域(南緯5度−北緯5度、西経150度−西経90度)の海面水温の基準値(その年の前年までの30年間の各月の平均値)との差の5か月移動平均値(その月および前後2か月を含めた5か月の平均をとった値)が6か月以上続けて +0.5℃以上となった場合をエルニーニョ現象、−0.5℃以下となった場合をラニーニャ現象と定義しています。

引用元:気象庁

※ エルニーニョ現象およびラニーニャ現象の判定基準の一つである「5か月移動平均値」とは、判定のタイミングが5月であった場合には3~7月というように、判定した月とその前後2か月を指す

エルニーニョ現象の発生メカニズム

通常、太平洋の熱帯域では「貿易風」と呼ばれる東風が吹いており、この風によって海面付近の暖かい海水は西へ西へと流れていきます。しかし、貿易風は時折、何らかの影響により弱まることがあります。

貿易風が弱まると、それまで風の影響を受けて西側にたまっていた暖かい海水が東へ広がります。結果、太平洋赤道域の中部から東部の海面水温が上がるというのが、エルニーニョ現象の発生メカニズムです。

なお、貿易風が弱まる理由は、まだ解明されていません。エルニーニョ現象はまだまだ謎の多い現象なのです。

「エルニーニョ現象」と「ラニーニャ現象」の違い

気象庁は、太平洋の広範囲における海面水温が、半年以上にわたり前年までの30年間の月平均値より約0.5℃以上高い場合を「エルニーニョ現象」、逆に約-0.5℃以下となったの場合を「ラニーニャ現象」としています

エルニーニョ現象は、東から吹く貿易風が弱まることで起こるのに対し、ラニーニャ現象では貿易風が強まることで起こります。通常よりも強い風が吹くことで、暖かい海水が西側により集まりやすくなるため、太平洋赤道域の中部から東部の海面水温が平年より低くなるといった仕組みです。

エルニーニョ現象と同じく、ラニーニャ現象も数年おきに発生し、世界中の天候に影響を及ぼすことが知られています。

※ ラニーニャ現象もまた、エルニーニョ現象と同じで世界共通の定義はなく、0.5℃の変化を基準としているのはあくまで日本の気象庁である

エルニーニョ現象が及ぼす日本への影響

エルニーニョ現象の影響は世界中に及び、具体的にどのような影響が出るかは地域によって異なります。例えば、春ごろに気温が高くなる地域もあれば気温が低くなる地域もあるといった次第です。

ここでは、日本で発生する影響に絞って、起こる影響を季節ごとに解説します。

春時期(3~5月)の天候への影響

エルニーニョ現象が春(3~5月)に発生しているとき、日本ではまず、全国各地の気温に影響が出ます。

1948年~2021年の統計では、東日本や沖縄・奄美では気温が高めになり、北日本では平年並みか高めの傾向です。

また、北日本の太平洋側では、降水が少なく日照時間が多くなる傾向があります。

夏時期(6~8月)の天候への影響

エルニーニョ現象が夏(6~8月)に発生しているとき、日本では全国的に気温が平年に比べて低くなる傾向があります。

特に西日本では気温が下がりやすく、北日本や東日本でも比較的涼しい夏になることが多いでしょう。

また、夏から秋にかけては台風が発生しやすい時期ですが、エルニーニョ現象が発生していると発生から消滅までの寿命が長くなり、勢力も強くなる傾向があります。

そのほかエルニーニョ現象の影響による各地の降水量や日照時間の変化は、下記の通りです。

  • 西日本:日本海側の降水量が増える
  • 北日本:日本海側の日照時間が減る
  • 東日本:日本海側の日照時間が減少~平年程度

秋時期(9~11月)の天候への影響

エルニーニョ現象が秋(9~11月)に発生しているとき、西日本の気温が平年よりも低めになるとの統計が出ています。北日本に関しても、気温は平年並みかやや低めの傾向です。

降水量については、全国的に有意な変化は見られません。

日照時間は、北日本の太平洋側で多くなり、西日本の日本海側でも平年並みか多い傾向が報告されています。

冬時期(12~2月)の天候への影響

エルニーニョ現象が冬(12~2月)に発生しているとき、西日本を中心に気温は平年並みか高めになる傾向です。実際、2024年の冬にエルニーニョ現象が起こったときは、全国的に暖冬となりました。

降水量については、東日本の太平洋側や沖縄・奄美で増えます。

日照時間は、西日本の太平洋側では少なくなり、東日本の太平洋側でも平年並みか少ない傾向が見られます。

梅雨に関しても降水量や時期に影響あり

エルニーニョ現象は、日本の梅雨にも影響し、降水量のほか梅雨入りや梅雨明けの時期に次のような変化が起こる傾向にあります。

  • 降水量:西日本の日本海側で増える
  • 梅雨入りの時期:北陸・四国地方で早くなる
  • 梅雨明けの時期:近畿・四国・奄美・沖縄地方で遅くなり、東北北部・東海・中国地方でも平年並みか遅くなる

なお、梅雨時期の日照時間に関しては、エルニーニョ現象による有意な変化は見られていません。

エルニーニョ現象と日本への影響に関するよくある質問

ここでは、エルニーニョ現象に関して寄せられることの多い質問にわかりやすくお答えします。

地球温暖化とエルニーニョ現象は関係ある?

地球温暖化とエルニーニョ現象の関係は、まだ明確に分かっていません。

地球温暖化が太平洋の海面水温に影響し、エルニーニョ現象が発生しやすくなる可能性を指摘する調査結果がある一方、自然の気候変動でも十分説明できるという意見もあります。

地球温暖化について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。

地球温暖化とは?原因や影響、対策の取り組みなどわかりやすく解説

エルニーニョ現象は対策が可能?

エルニーニョ現象は自然に起こるため、現象そのものを防ぐといった対策は困難です。ただし、エルニーニョ現象の発生予測は継続して行われているなど、発生に備えるための対策は実施されています。

エルニーニョ現象に伴なう気温や降水量の変化は、私たちの日常にも影響を与えます。気象庁などが公表する予測情報を活用して、適した服装や雨具を準備するなど、備えることが大切です。

公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。

イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。

体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。

「子どもがもつ興味関心の芽を大切にし、探求心を育みたい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。

イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。

子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!

まとめ

エルニーニョ現象は、私たちの暮らしに影響をもたらす気候変動の一つです。夏が涼しく、冬が暖かくなったりするほか、雨の降り方や台風の進路にも関係するため、農作物の生育やレジャーにも影響が出ることもあるでしょう。

エルニーニョ現象は自然現象であるため、なくすことはできません。だからこそ、柔軟に対応するといった適応策が重要です。

予測情報を活用し、天候の変化に伴うトラブルを防ぐために、正しい知識を身に着けることを心掛けましょう。

公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。

「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。

また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。

公益財団法人イオン1%クラブの活動内容を詳しく知りたい方はこちら

この記事はいかがでしたか?
リアクションで支援しよう

他の記事も読む

  • エルニーニョ現象が日本に与える影響とは?メカニズムをわかりやすく解説

    エルニーニョ現象が日本に与える影響とは?メカニズムをわかりやすく解説

    エルニーニョ現象が生じると、日本では夏は涼しく冬は暖かくなるなど、気温や降水量が変化する傾向があります。これには太平洋の中部から東部にかけての海面水温の上昇が関係しています。 本コラムでは、エルニーニョ現象の定義やメカニ [&he

  • ゲリラ豪雨が日本で増えた原因とは?仕組みや夕立との違いなど基礎知識も踏まえて解説

    ゲリラ豪雨が日本で増えた原因とは?仕組みや夕立との違いなど基礎知識も踏まえて解説

    ゲリラ豪雨とは、「限られた地域と時間に降る激しい雨」のことを指します。 近年、日本各地で頻発していることからゲリラ豪雨というワードを見聞きすることが増え、「具体的にどういう現象なのだろうか」と気になっている方もいるのでは [&he

  • ヒートアイランド現象とは?メカニズムや影響をわかりやすく解説

    ヒートアイランド現象とは?メカニズムや影響をわかりやすく解説

    「ヒートアイランド現象」とは、都市を中心に島状に気温が高くなる現象のことです。猛暑や大雨、大気汚染にも関係するといわれており、私たちにとっても身近な問題です。 しかし、そのメカニズムや具体的な影響、地球温暖化との違いにつ [&he

  • サステナブルファッションとは?意味や取り組み例のほか現代のファッションに関する問題点にも追及

    サステナブルファッションとは?意味や取り組み例のほか現代のファッションに関する問題点にも追及

    サステナブルファッションとは、衣服の生産から使用、廃棄まですべてにおいて、環境や社会への配慮を目指す取り組みのことです。 しかし、具体的にどのような衣服や、その利用方法がサステナブルファッションにあたるのかがよくわからな [&he