
2026.03.17
SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」とは?目標達成のために私たちにできること
SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」という、国際的な目標のことをご存じでしょうか。
私たちが普段何気なく使っている飲み水やトイレは、国が違えば当たり前にあるものではありません。飲み水を汲むために、1日に何度も通わなければならない人々が世界にはいます。
このような課題を解決するために生まれたのが、SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」です。
本コラムでは、SDGs6が具体的にどのような目標であるのか、また達成するためにできる身近な取り組みなどをわかりやすく解説します。
目次
SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」とは?概要を解説

SDGsとは、2015年の国連総会で採択された国際的な目標のことです。SDGs6「安全な水とトイレを世界中に」は、その目標の一つであり、世界の水やトイレに関する問題の解決をテーマとしています。
ここでは、SDGs6がどのような目標であるのか、概要から解説していきます。
SDGsについて詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
SDGsで私たちにできることは?17の目標から小・中・高・大学生向けに解説
SDGs6とは「世界における水とトイレにまつわる問題の解決を目指す目標」
SDGsの目標6は、「すべての人々が水やトイレを安全に使える環境を整え、その環境をずっと維持すること」を目指すためのものです。
実は、SDGsより前、2000年に採択されたMDGs(ミレニアム開発目標)でも「安全な飲み水を利用できない人々の割合を半分にする」という目標が立てられていました。その結果、安全な飲み水が利用できない人々の割合は、全人口の24%(1990年時点)から、9%(2015年時点)にまで減少しました。
しかし、MDGsでは「安全な飲み水とは何か?」の定義が明確でありませんでした。また、トイレに関する衛生面の問題については十分に取り挙げられていなかったこともあり、水に関連した課題はまだまだ残る状況だったのです。
そのため、SDGsの目標設定は、MDGsよりも詳細で具体的になっているのが特徴です。
SDGs6が掲げる8つのターゲット
SDGs6では、次の8つのターゲットが掲げられています。
「安全な水とトイレを世界中に」における8つのターゲット
| No | 目標 |
|---|---|
| 1 | 2030年までに、だれもが安全な水を、安い値段で利用できるようにする。 |
| 2 | 2030年までに、だれもがトイレを利用できるようにして、屋外で用を足す人がいなくなるようにする。 |
| 3 | 2030年までに、汚染を減らす、ゴミが捨てられないようにする、有害な化学物質が流れ込むことを最低限にする、処理しないまま流す排水を半分に減らす、世界中で水の安全な再利用を大きく増やすなどの取り組みによって、水質を改善する。 |
| 4 | 2030年までに、今よりもはるかに効率よく水を使えるようにし、淡水を持続可能な形で利用し、水不足で苦しむ人の数を大きく減らす。 |
| 5 | 2030年までに、必要な時は国境を越えて協力して、あらゆるレベルで水源を管理できるようにする。 |
| 6 | 山や森林、湿地、川、地下水を含んでいる地層、湖などの水に関わる生態系を守り、回復させる。 |
| a | 2030年までに、集水、海水から真水を作る技術や、水の効率的な利用、排水の処理、リサイクル・再利用技術など、水やトイレに関する活動への国際協力を増やし、開発途上国がそれらに対応できる力を高める。 |
| b | 水やトイレをよりよく管理できるように、コミュニティの参加をすすめ、強化する。 |
このうち、数字で表された6つのターゲットは、「安全な水とトイレを世界中に」を達成するために必要な目標です。
アルファベットで表された2つのターゲットは「安全な水とトイレを世界中に」を達成するための具体的な方法です。
なぜこれらのターゲットが定められているのか、どのようにして安全な水やトイレを世界中にもたらすことにつながるのかについては、次の見出しで詳しく解説します。
SDGs6が目標となった背景と現状の課題

目標およびそのターゲットについて、より具体的に知るために、ここでは「安全な水とトイレを世界中に」がSDGsの目標として定められた背景について、解説します。
安全な水やトイレがないことはどのような問題を引き起こしているのか、また、問題解決のためにはどのような対策が必要だと考えられているのかを見ていきましょう。
なお、8つのターゲットのうち、aとbはいずれの問題解決にも関係する内容となっています。
【a】2030年までに、集水、海水から真水をつくる技術や、水の効率的な利用、排水の処理、リサイクル・再利用技術など、水やトイレに関する活動への国際協力を増やし、開発途上国がそれらに対応できる力を高める。
引用元:ユニセフ
【b】水やトイレをよりよく管理できるように、コミュニティの参加をすすめ、強化する。
引用元:ユニセフ
教育・仕事・休息の時間を水汲みにうばわれている人々がいる
ユニセフによると、2024年時点で約21億人が安全な飲み水を利用できていません。また、そのうちの1億600万人の人が川や用水路など、十分に処理を施されていない水を使わざるを得ないといいます。
例えば、アフリカには安全な水を手に入れるために、1日8時間以上もの時間を割かないといけない少女がいます。少女は、水汲みのために学校に通えず、自由時間すらほとんどありません。
⚫︎ 水汲みに関する問題に対応しているSDGs6のターゲット
【1】2030年までに、だれもが安全な水を、安い値段で利用できるようにする。
引用元:ユニセフ
【4】2030年までに、今よりもはるかに効率よく水を使えるようにし、淡水を持続可能な形で利用し、水不足で苦しむ人の数を大きく減らす。
引用元:ユニセフ
【5】2030年までに、必要な時は国境を越えて協力して、あらゆるレベルで水源を管理できるようにする。
引用元:ユニセフ
「安全な水とトイレを世界中に」のターゲット1・4・5は、安全な水の利用が誰にとっても身近になる世界をつくるうえで必要な目標となっています。
トイレの設備不足により衛生や健康に問題を抱える人々がいる
ユニセフと世界保健機関の報告によると、世界の人口のおよそ5人に2人が安全なトイレを利用できる環境にない(※2023年データ)とされています。
また、トイレの設備が整っていない地域では、排泄(はいせつ)物がそのまま地面に放置されたり、近くの水路や川に混ざってしまったりする恐れがあります。
排泄物には赤痢菌やコレラ菌など人間の健康を害する生物が含まれているため、感染症のリスクも高まるでしょう。
⚫︎ トイレに関する問題に対応しているSDGs6のターゲット
【2】2030年までに、だれもがトイレを利用できるようにして、屋外で用を足す人がいなくなるようにする。
引用元:ユニセフ
【3】2030年までに、汚染を減らす、ゴミが捨てられないようにする、有害な化学物質が流れ込むことを最低限にする、処理しないまま流す排水を半分に減らす、世界中で水の安全な再利用を大きく増やすなどの取り組みによって、水質を改善する。
引用元:ユニセフ
「安全な水とトイレを世界中に」のターゲット2と3は、トイレの設備が不十分であることで起こっている問題を解決するための目標です。
水質汚染により水中の生き物たちにも悪影響が起きている
水質汚染は、水中に暮らすさまざまな生き物へ悪影響を及ぼすため、生態系を崩す原因になりかねません。
水質汚染の原因の一つにマイクロプラスチック汚染があります。世界中から捨てられたプラスチックは、劣化すると直径5mm以下の小さな破片、マイクロプラスチックとなります。
マイクロプラスチックは自然界で簡単には分解されません。海に行きついたマイクロプラスチックを海の生物が間違えて食べてしまうことによる、海の生態系への悪影響が懸念されています。
さらに近年は、マイクロプラスチックが海中の有害化学物質を取り込みやすいという指摘もあり、有害物質を吸収したマイクロプラスチックが海に広がることで、汚染が広がる可能性も示唆されています。
このような汚染の結果、水中で暮らす魚などの生き物が、有害物質を体内に取り込み、命を落とすことさえあります。さらに、その生き物を食べた人間や動物にも、有害物質が入り込むリスクが広がるでしょう。
⚫︎ 生き物たちに関する問題に対応しているSDGs6のターゲット
【6】山や森林、湿地、川、地下水を含んでいる地層、湖などの水に関わる生態系を守り、回復させる。
引用元:ユニセフ
「安全な水とトイレを世界中に」のターゲット6は、水に関わる生き物すべてに影響する水問題を解決するための目標です。また、先に紹介したターゲット2や3に関しても、水質汚染を防ぐための目標であるため、関連しているといえるでしょう。
日本や世界におけるSDGs6に関連する取り組み

「安全な水とトイレを世界中に」という目標を達成するため、世界中の人々や団体が日々協力し合って取り組みを実施しています。
ここでは、日本や世界におけるSDGs6の取り組みの一部を紹介します。
まず、日本では8月1日の「水の日」から始まる1週間を「水の週間」と定め、国や自治体が水を守るための啓発活動を行っています。
その取り組みの一つが、地方公共団体・事業者・民間団体などで協力して行っている全国各地の施設をブルーにライトアップする活動です。水を連想させるブルーにすることで、より多くの人に「水の大切さ」や「健全な水循環」について考えてもらうことを目的として2020年度から始まりました。
世界では、2023年、46年ぶりに国連水会議が開かれました。世界の水に関連した課題を議論する場であり、世界中の指導者や科学者・研究所などさまざまな人々が集います。
会議の結果、「水行動アジェンダ」が決定しました。水行動アジェンダとは、700以上のコミットメント(公約)で構成される世界の水問題への対処策です。
SDGs6を達成するために私たちにできる3つのこと

SDGs6の概要や関連した背景・課題を知ったことで、「自分にもできることはないだろうか」と考えた方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、「安全な水やトイレを世界中に」という目標を達成するためにできる身近な取り組みを3つ解説します。
支援団体へ寄付をする
SDGs6に関連した事業に取り組む日本や世界の支援団体に寄付することは、私たちにできることの一つです。
近年は多くの団体が、WebサイトやSNSを運用しており、そのなかで活動内容の報告を行っています。
寄付をしたいと思った方は、まずは情報を収集して、「信頼のできる団体であるか」や「自分にとって関心の持てる活動をしているか」などの視点で寄付先を探すのが良いでしょう。
寄付について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
寄付とは何?「寄附」「募金」との違いは?控除や寄付先の団体を選ぶポイントまで解説
バーチャルウォーターを意識した生活を心がける
普段からバーチャルウォーターを意識しながら生活することも、私たちにできることの一つでしょう。
バーチャルウォーターとは、環境省では下記のように定義しています。
バーチャルウォーターとは、食料を輸入している国( 消費国) において、もしその輸入食料を生産するとしたら、どの程度の水が必要かを推定したものであり、ロンドン大学東洋アフリカ学科名誉教授のアンソニー・アラン氏がはじめて紹介した概念です。
引用元:環境省
例えば、とうもろこし1kgを生産するには、1,800Lもの水が必要だと推定されています。
とうもろこし1kgは、おおよそ3本分にあたります。とうもろこしを3本輸入することは、同時に1,800Lのバーチャルウォーターも輸入していることになるのです。
日本の食生活が、他国の水不足を間接的に招くこともあるでしょう。実際、日本が多くの農作物を輸入している地域の一つ、アメリカ中西部のカリフォルニア州セントラルバレーは、干ばつの影響もあり、農業用水が不足して、事業がままならない状況に陥っているといいます。
だからといって、輸入品に一切頼らない生活は現実的ではありません。
まずは、バーチャルウォーターのことを知ることからはじめ、国産品を積極的に選ぶ、食べ残しを避けるといった水を大切にする生活を意識してみましょう。
水を汚さないための工夫を生活に取り入れる
SDGs6達成のためには、水を汚さないように心掛けることも大切です。
例えば、現在、多くのプラスチックごみが海に流出し、海洋環境を汚染しています。
これらのごみがどこからやってきたのかというと、陸上でポイ捨てされたり、屋外に放置されたものが多いといいます。雨や風で流されて、川へ、そして海へと流れ着いてしまうのです。
海や川といった水場の近くではもちろん、どこであっても、ごみはきちんと処分するようにしましょう。それは、川や海など水中の生態系を守ることにつながります。
きれいな海を守るための対策について、詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
海洋汚染に立ち向かうために私たちにできることとは?具体的な対策を7つ紹介
公益財団法人イオン1%クラブ「イオン ユニセフ セーフウォーターキャンペーン」について

公益財団法人イオン1%クラブでは、カンボジア等の子どもたちに安全な水を供給するため、全国から寄せられた募金と当財団からの拠出金を、公益財団法人日本ユニセフ協会を通じて寄付しています。
遠方への水汲みに時間をとられ、学校の授業に参加できない子どもたちや、健康を害する恐れのある物質を含む地下水を生活用水として使う子どもたちを給水施設の設置等により、教育・健康の両面でサポートしています。
安全な水と衛生環境は、子どもたちの命を守り、健やかな成長を支える基盤です。
公益財団法人イオン1%クラブのイオン ユニセフ セーフウォーターキャンペーンについて、さらに詳しく知りたい方は、下記のURLからご覧ください。
イオン ユニセフ セーフウォーターキャンペーンについて詳しく知りたい方はこちら
公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。
イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。
体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。
「環境問題を身近に感じられる場に子どもを参加させてみたい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。
イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。
子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!
まとめ
比較的、水や衛生施設に恵まれた環境である日本で暮らしていると、「安全な水やトイレのない環境」と言われても、実感が湧かない方も多いかもしれません。
しかし、安全な水やトイレを利用できない人々は世界中にいます。
まずは、「もし安全な飲み水がなかったらどうなるか」、「水洗トイレが使えなかったらどうなるか」と、自分の生活に置き換えて想像してみましょう。
そのうえで、「何か貢献したい」と感じたときには、日常生活の小さな心掛けからでも、自分にできることに取り組んでみてはいかがでしょうか。
公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
公益財団法人イオン1%クラブでは、小学生を中心とし、体験学習を通して自然や環境に向き合える「イオン チアーズクラブ」も運営しています。
他にも、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」などさまざまな活動を実施しています。
小学生から高校生まで幅広い年齢のお子さんがさまざまな体験学習を通してSDGsに触れられる活動を多数実施していますので、ぜひ下のURLからご覧ください。