
2026.06.30
森林火災・山火事はなぜ起こる?事例や世界で増加している原因と対策について
近年、日本でも海外でも話題になることが多い大規模な森林火災は、気候変動の影響で深刻化しているといわれています。
例えば、2023年から2025年だけでも、日本を含む世界で記録的な被害となった森林火災が立て続けに起きました。
本コラムでは、森林火災の原因や深刻化の理由を詳しく知りたい方に向けて、世界各国の事例を交えながらわかりやすく解説します。
目次
森林火災・山火事はなぜ起こる?主な原因は2つ

森林火災は何らかの原因で火種が生まれ、それが下草や木々へ燃え移り、規模が拡大していくことで起こります。この火種の原因となるのが、自然現象、または人為的な行動です。
ここでは、火種の原因ごとに、森林火災のメカニズムを詳しく見ていきましょう。
原因①自然現象
自然現象を起因とした森林火災の原因は、主に枯れ葉同士が擦れあう摩擦や、落雷などです。
気温が高かったり降水量が少なかったりして空気や土壌が乾燥しているときに枯れ葉の摩擦や落雷などで火が点くと、周囲の枯れ葉や下草などが焼ける「地表火(ちひょうか)」が発生します。
地表火が枝や葉に移って木々の高い部分まで燃える「樹冠火(じゅかんか)」になると、飛び火によって新たな火災が発生する危険が高まります。
なかでも、強風が吹いているときは樹冠火の拡大速度が地表火の約2倍になるといわれており、大規模な森林火災へと発展しやすくなります。
原因②火の不始末など人為的な行動
人為的な森林火災は、主に火の取り扱いに関する不注意で起きています。
特に日本では、森林火災のほとんどが人為的な原因によるものです。統計によると、2019年から2023年に発生した林野火災の出火原因の筆頭には「たき火」が挙げられ、次いで「火入れ」や「たばこ」などが続きます(出典元:林野庁)。
また、日本における森林火災の約7割は冬から春に起こっています。冬は強風が吹きやすいうえに落ち葉が積もっているため、春は山菜取りやハイキングなどで入山者が増加するためです。
森林火災・山火事が深刻化している原因は「気候変動」

近年、世界的に森林火災が大規模化・長期化して被害が深刻化しており、その背景には地球の気候変動が大きく関わっています。
特に、地球温暖化は森林火災を深刻化させる主要な原因の一つです。
地球温暖化によって気温が上昇すると、規模の大きい熱波が起こりやすくなるほか、森林や土壌が乾燥します。結果、森林火災が発生しやすく、深刻化する環境になってしまうのです。
また、気温が1℃上がると雷の発生数が12%増加するというアメリカの研究結果もあり、世界的に雷が増加していることも森林火災が増える原因となっています。
気候変動と森林火災の関係はそれだけではありません。木が燃えてしまうと、幹や枝、土壌などに蓄えられていた炭素が大量の二酸化炭素として大気に放出され、地球温暖化を悪化させることがわかっています。
地球温暖化が森林火災を拡大させ、森林火災が地球温暖化を悪化させるという負の連鎖も大きな問題です。
地球温暖化について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧ください。
地球温暖化とは?原因や影響、対策の取り組みなどわかりやすく解説
日本における森林火災・山火事の現状

引用元:林野庁
日本の森林火災の発生件数は、長期的に見ると減少傾向にあります。
しかし、規模はというと一概に縮小傾向とはいえません。特に2025年は岩手県大船渡市を筆頭に、岡山県岡山市、愛媛県今治市と、各地で大規模な森林火災が相次ぎました。
なかでも、大船渡市の森林火災による焼失面積は約3,370haと、これだけでも近年(令和元年~5年)における一年間の平均焼失面積である705haを大きく上回る規模となりました。
具体的な事例についても、いくつか見ていきましょう。
日本の事例①岩手県大船渡市の森林火災
岩手県大船渡市で2025年2月26日に発生した森林火災は、4月7日に鎮火宣言が出されるまで41日間燃え続け、約3,370haもの林野被害を出しました。これは、大船渡市の約1割に相当する面積です。
大船渡市では火災の発生前約10日間は雨がほとんど降っておらず、乾燥注意報も出ていたといいます。さらに、2月26日13時から同日15時までの最大瞬間風速は北西 18.1 m/sと強風であったため、延焼を加速させました。
日本の事例②岡山県岡山市の森林火災
岡山県岡山市では、2025年3月23日に森林火災が発生し、1,091世帯・2,133人に避難指示が出されました。
伐採した木をガスバーナーで燃やしていたところ、火が燃え広がったのが原因と見られています。
この火災は乾燥と強風で岡山県玉野市の一部まで広がって、20日目となる4月11日に鎮火宣言が出るまでに県内過去最大となる486haが焼失しました。
世界における森林火災・山火事の現状

世界の森林火災は、「発生件数自体は減っている」という報告がある一方で、この20年ほどで焼失面積が約2倍になったというデータもあります。
これは規模の大きな火災の増加を示しており、実際に2020年以降は記録的な森林火災が相次いで起きています。
2019~2020年にオーストラリアで起きた大規模な森林火災や、2023年にカナダで起きた世界最大規模となった森林火災は、生態系や環境にも大きな影響を及ぼしました。
ここでは、大規模な森林火災の事例を詳しく確認してみましょう。
アメリカ合衆国の事例
アメリカ合衆国では、特に乾燥しやすいカリフォルニア州を中心に大規模な森林火災が常態化しています。
2017年12月の「トーマス・ファイア」と呼ばれる森林火災は、約11万3,300haが焼失し、当時はカリフォルニア州史上最大と報道されました。
ところが、その翌年、2018年8月には「メンドシーノ・コンプレックス・ファイア」が、11月8日には「キャンプ・ファイア」が発生し、これらが立て続けにカリフォルニア州史上最大を更新しました。
また、2025年1月7日にはロサンゼルス近郊の高級住宅地パシフィック・パリセーズ地区を含む5か所で森林火災が発生し、多くの著名人が家を失ったことが日本でも報道されました。被害総額は日本円で約27兆円(当時)にのぼると推定され、自然災害としては米国史上2番目の規模です。
オーストラリアの事例
オーストラリアでは、2019年から2020年にかけて発生した「ブラックサマー」と呼ばれる大規模な森林火災が世界的な注目を集めました。
雨が極端に少なく、過去もっとも高い気温を記録した年に起きた森林火災でした。日本の国土の6割に相当する約2,300万haが燃えたほか、生態系への影響も甚大で、30億匹もの生き物の命やすみかが奪われたといいます。
カナダの事例
2023年にカナダで発生した森林火災は、約1,400万haを焼失し、カナダでの観測史上最大規模を記録しました。
この森林火災で特に注目されたのが、放出された二酸化炭素の量です。約780万haの森林が燃えたことで、約30億tもの二酸化炭素が大気中に放出されました。
さらに、この森林火災による煙はアメリカやヨーロッパ、中国にまで到達し、国を越えた大気汚染も起こりました。
森林火災・山火事がもたらす悪影響とは?

大規模な森林火災は、樹木が燃えるという直接的な被害にとどまらず、環境、経済、健康といった広範囲な分野に、長期にわたる悪影響を及ぼします。
環境への影響例
- 気候変動の促進:樹木が燃焼することで大量の二酸化炭素が排出され、地球温暖化といった気候変動を加速させる
- 生態系の破壊:動植物の生息地が焼失することで生物多様性が損なわれ、生態系のバランスが崩れる
経済への影響例
- 復興コスト:火災後の復興に多大なコストと時間がかかる
- 資源の消失:木材などの森林資源が失われる
- 住環境の消失:火災が住宅地へ延焼した場合、人々の住環境が失われる
- 産業へのダメージ:観光業や農業など、森林や自然環境に依存する地域の主要産業が損害を被ると、経済活動が停滞する
健康への影響例
- 大気汚染:煙に含まれる一酸化炭素による健康被害の恐れがある
- 心身の疲弊:火災そのもののほか、避難所生活によっても身体的な疲労やストレスをため込む恐れがある
森林火災はこのように複合的なリスクをはらんでおり、予防と対策の重要性が世界的に高まっています。
森林火災・山火事の対策

森林火災の対策は、火災を起こさないための予防が第一です。また、それでも起きてしまった場合に備え、早期発見と迅速な消火で被害を最小限に食い止めることも必要です。
ここでは、世界各国や自治体が行っている対策の一例と、森林を守るために私たちにできる活動を紹介します。
国や自治体による対策例
日本では1970年度より、消防庁と林野庁が共同で林野火災特別地域対策事業を推進しています。2024年4月1日時点では、38都道府県511市町村において実施中です。
林野火災特別地域対策事業とは、森林火災の危険度が高い地域で関係市町村が対策事業計画を策定して森林火災への対策を総合的に行うものです。「予防」「管理」「整備」「訓練」の4つの視点が盛り込まれています。
海外では、例えばアメリカ合衆国の場合、延焼シミュレーションを実施し、森林火災が起きた場合の延焼リスクを把握したり、ヘリコプターの待機位置を調整するなどして森林火災に備えています。
また、近年では、AIを用いた火災検知機や消火ロボットも世界各国で運用が始まっており、早期発見や延焼の防止に期待が寄せられています。
森林を守るために私たちにできること
森林火災から森を守るためには、私たち一人ひとりが防火意識を高め、森林の価値を認識することが大切です。
森や山の中での火の取り扱いや始末に気をつけることはもちろん、森林の環境的・社会的な価値に目を向け、森が持つ本来の健全な姿について学ぶことも緑豊かな自然を未来へつなぐための第一歩となるでしょう。
また、森林を育て・守るために、植樹や間伐などのボランティアに参加するのもおすすめです。森林管理に関わるボランティアはさまざまあるので、興味のある方はぜひ検討してみてください。
公益財団法人イオン1%クラブ「イオン チアーズクラブ」について

公益財団法人イオン1%クラブが運営する「イオン チアーズクラブ」は、全国の小学校1年生から中学校3年生までを対象とした活動団体です。
イオン チアーズクラブでは、環境や社会に対して興味・関心を持ち、考える力を育むため、さまざまな体験学習を実施しています。
体験学習では子どもたちがメンバーで協力し合い、一丸となって活動に取り組むため、集団行動における社会的なルールやマナーも学べます。
「森林をはじめとした自然の大切さについて子どもに実感してほしい」と考えている保護者の方は、ぜひお子さまのイオン チアーズクラブへの参加を検討してみてはいかがでしょうか。
「イオン チアーズクラブ」で開催された活動
ここでは、イオン チアーズクラブでこれまでに実施してきた活動内容の一部をご紹介します。
科学館での野外活動

イオン天王町店チアーズクラブのメンバーたちが、神奈川県のかわさき宙と緑の科学館で野外活動を行いました。
科学館の中では動植物の展示物やプラネタリウムを鑑賞し、メンバーたちは興味深々の様子でした。
館内での活動のあとは、森の公園を散策しました。虫取りや池での生き物観察など、普段とは違う空間での活動を満喫していた様子でした。
お昼休憩をはさんで、最後は森について学習しました。木の大切さや環境のためにできることを学び、メンバーたちにとって充実した1日となりました。
七ヶ浜菖蒲田海岸の松林の間伐

イオン富谷 チアーズクラブのメンバーが、七ヶ浜菖蒲田浜(しちがはましょうぶたはま)周辺で間伐(かんばつ)※ 体験を行いました。
間伐に取り組んだ松林は、5年前に自分たちで植樹した防災林です。なかには植樹当時のことを覚えているメンバーもいました。
メンバーたちは地域の高齢化により手入れが難しくなっている現状も教えてもらい、植えるだけではなく、継続的に手入れをしていくことの大切さも学びました。
※ 樹木の一部を伐採し、森林の密度を調整すること
森を知るための体験学習
イオン チアーズクラブ上田店のメンバー20名は長野県にある林業総合センターを訪れ、森を知るための体験学習を行いました。
展示館ではまず、愛・地球博にも出展された土壌断面を観察し、普段見られない森の一面について学びました。その後、実際に木材に触れる体験として、工作室でペン立てを作りました。
このほかには、森林散策を行いました。森に関するクイズに答えながらのウォークラリーや、生き物の観察などを楽しみ、森林について深い興味を持ったメンバーもいたようです。
このほかにも、イオン チアーズクラブではさまざまな活動を行っています。
イオン チアーズクラブの活動をさらに詳しく知りたい方は以下のURLからご覧ください。
子どもたちが主役!環境・社会をテーマにした体験学習で楽しく学ぼう!
まとめ
本来なら山火事は、古くなった木や溜まった落ち葉を燃やして新しい植物が芽吹く場所と栄養を提供するという、森の生態系サイクルの一部でもありました。それが今、気候変動によって深刻化し、「災害」となっています。
気候変動という大きな問題はすぐには解決できませんが、森林火災の原因に目を向けると、森林が地球の環境と密接につながっていることに気がつくでしょう。
森林火災の規模拡大を恐れるだけでなく、そこから学ぶことで、私たちにできることが見えてくるかもしれません。
公益財団法人イオン1%クラブについて

公益財団法人イオン1%クラブは、1990年に設立され、「お客さまからいただいた利益を社会のために役立てる」という想いのもと、「子どもたちの健全な育成」「諸外国との友好親善」「地域の発展への貢献」「災害復興支援」を主な事業領域として、環境・社会貢献活動に取り組んでいます。
「子どもたちの健全な育成」事業の一つである「イオン チアーズクラブ」では、小学生を中心に、環境や社会貢献活動に興味・関心を持ち、考える力を育む場として体験学習を全国で行っています。
また、中学生が環境に関する社会問題をテーマに、自ら考え、書く力を養う「中学生作文コンクール」や、高校生が日ごろ取り組んでいる環境保全や社会貢献に関する活動を発表し、表現力や発信力を高めることを目的とした「イオン エコワングランプリ」など、さまざまな活動を実施していますので、ぜひ下のURLから詳細をご覧ください。