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「飼育部ふぁーむ」が守る里山の未来

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「飼育部ふぁーむ」が守る里山の未来

大阪府立枚方高等学校

活動内容について

生物飼育部の活動内容はこちらよりご覧ください。

きっかけ

枚方市の東部に位置し、日本の原風景が今なお残る穂谷地区。日本の生物多様性の保護を目的として環境省が定めた「重要里地里山500」に選ばれている。本校で、穂谷地区の里山保護を行う団体とともに生物調査を行った際、地域の水田や湿地に、ニホンアカガエルをはじめとした希少な両生類が多く生息していることを知り、驚いた。同時に、その多くが耕作放棄地であり、土壌の乾燥が進んでいるという実態も目の当たりにした。
この現状に危機感を抱き里山を再生し、生き物の暮らしを守ることを目的に、NPO団体などと連携して、2022年から環境保全活動を行っている。

活動内容

メインとなる活動は、月に数回行う水田や湿地の整備。手づくりした水路で水を継続的に供給して水位を保ちつつ、刈り取った植物で生き物のための隠れ家を作り、両生類や水生昆虫の生育や繁殖を促す。湿地の周辺では、その成長の早さから生態系に悪影響を与える、モウソウチクを伐採。落葉広葉樹が多く生育する、里山本来の姿を取り戻そうとしている。体力を使う地道な作業が多いが、生き物の住処を守りたい!という思いが、力になっている。
耕作放棄の要因の一つである、高齢化や後継者不足に対する取り組みとして、市内の中高生を対象に、整備の体験会を実施。小学生向けには、生き物のお世話体験会や生物多様性に関する講義を行い、若い世代に里山の自然の重要性を広めている。
米の栽培にも挑戦中で、人々の暮らしと生物多様性の保全を両立できる農業の確立を目指して、化学肥料や農薬の使用は控えている。

成果

整備を行っている水田や湿地では、ニホンアカガエルをはじめとした両生類の卵の数が、活動開始時点と比べて200%以上増加した。また落ち葉などを集めた隠れ家エリアを作ったことで、カワニナなどの巻貝が増え、それらを餌とするヘイケボタルの増加も確認できた。
昆虫や両生類を捕食するヘビや水鳥も多く生息するようになり、里山の生物多様性の向上に貢献できている。
米の栽培では、昨年初めての収穫を迎えるはずだったが、獣害によってかなわなかった。獣害につながりやすい雑草の刈り取りを徹底したことで、今年初めて収穫できた。精米で940gとなった。

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