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とってもかわいい獣害対策 ~地域の環境保全をめざして~

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とってもかわいい獣害対策 ~地域の環境保全をめざして~

富山県立中央農業高等学校

活動内容について

小動物研究班の活動内容はこちらよりご覧ください。

目標・今後の計画

富山市神通峡地域は、過疎化の影響で獣害や耕作放棄地が増加している。そこで私たち小動物研究班は、イヌやヤギの学習を行っていることから、動物を活用した活動で、神通峡地域の保全と活性化に貢献できないかと本研究に取り組むことにした。
研究目標は、モンキードッグを育成し、活動を展開することで地域の保全と活性化に貢献すること。そして、ヤギを耕作放棄地に放牧し、地域の保全と活性化に貢献することである。

活動内容

1.モンキードッグの育成
モンキードッグとは、サルを追い払う犬のことであり、(1)人に危害を加えない、(2)人の命令に従う、(3)追いかけたら戻ってくる、この3つが条件である。しかし、本校のブラ号はモンキードッグとして育成していなかったため、(3)の訓練は行っていなかった。そこで、約30日かけてボールを投げ、追いかけさせて呼び寄せる訓練を行った。そして、富山国際ペットビジネス学院の学院長にモンキードッグとして認めていただいた。
2.モンキードッグの活用
・地域・専門機関と連携したモンキードッグ活動
モンキードッグ活動は、リードを解放するため地域の承認を得ることが課題。地域の方々、やるまいけらっきょう作り会、神通峡学校教育振興会、飛越・交流ぶりノーベル出世街道推進協議会、富山市鳥獣対策実施隊大沢野猟友会を訪問し、活動の説明を行った。
また、サルを発見するために、富山県自然博物園野生鳥獣管理員の赤座先生からサルに取り付けてある発信器の電波を受信して、サルの居場所を捕捉する方法を教えていただいた。まず、八木アンテナでサルに取り付けてある発信器からの電波を受信する。八木アンテナには受信できる方向「前」と受信しにくい方向「後ろ」があり、一番強く受信できた方向にサルがいることが分かる。そして教えていただいた電波探知の方法をさらに進化させ、オリジナルの新しい捕捉方法「モンキー・ロギング・三角測定法!」を開発した。モンキー・ロギングは、サルの行動を記録。三角測定法は3カ所からの測定を意味する。従来の活用方法では、1方向からの受信でサルがいる方向を捕捉するためのものであった。これに対し、「モンキー・ロギング・三角測定法」では、電波を3カ所から受信し、その方向を地図上で記録。三つの方向線が交わる位置を地図上に求めることで、サルの居場所をつきとめるのである。
・効率的・効果的なモンキードッグの運用
サルが草むらや高い場所にいると発見しづらいため、犬の嗅覚を利用して探しだそうと考え、猟友会に駆除したサルを提供していただいた。犬に臭いを覚えさせ、臭いで反応し、追い払うことができるようになった。
パトロール活動の成果として、やるまいけらっきょう作り会が運営する「らっきょう畑」の被害額はほとんどなくなった。また、地域の方々のアンケート調査で100%の方々が「モンキードッグ活動は地域の保全に貢献している。今後も必要」と答えてくださった。
3.ヤギの活用
・地域の保全に貢献
耕作放棄地は野生動物のすみかになっており、サルやシカが人里に下りてくる原因になっている。そこで、耕作放棄地にヤギを放牧して、地域の保全に貢献しようと考えた。ヤギを飼育している農家の方に協力を要請し、ヤギを無償で貸していただくことができた。
ヤギは人工飼料を与えず、その土地の雑草で生活させ、作成した「健康観察チェックシート」で定期的に健康観察を行った。地域の方々へのアンケート調査でサルやシカは近づいていないということがわかった。
・地域の活性化に貢献
新しい市民団体「神通峡ふるさと創生物語」を結成した。今年度は昨年放牧した2カ所の耕作放棄地を農地に再生し園芸を楽しんだ。しかし、2カ月を過ぎた頃、イノシシやサルによって農地が壊滅した。そこで、ヤギを放牧することで野生動物とのすみ分けをつくる「ヤギベルトファーム」の活用を考えた。耕作放棄地の外枠はヤギの放牧エリア、内側は農地とすることですみ分けをつくる。地域の方々に新しい環境保全の取り組みとして浸透させるため、「神通峡ヤギフェスティバル2017」を開催し、100名を超える人々が訪れた。来場者へのアンケート調査では、100%の方々に理解を示していただき、耕作放棄地30aの提供を受けた。その結果、「ヤギベルトファーム」を増設し、地域の保全と新しいコミュニティーとして活用していただいている。

成果・実績

モンキードッグ活用の成果として、やるまいけらっきょう作り会から、「モンキードッグの活動により、地域の保全と活性化に貢献したことによって、栽培面積100aの増加を決定した」と報告を受けた。
また、ヤギの放牧によって地域の保全に貢献することができた。さらに新しい市民団体を結成し、「ヤギベルトファーム」を開発することで、地域の輪が広がり、活性化に貢献できた。

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