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シロアリが日本を救う!?

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シロアリが日本を救う!?

【大阪府】清風高等学校

活動内容について

生物部の活動内容はこちらよりご覧ください。

放置された間伐材の新たな用途を開発

森林を育てるには過密になった木を適度に間伐することが必要だが、活用の難しいものが放置されるなど、間伐材処理が近年新たな問題となっている。そんな間伐材の問題に対して、自然界の朽木の60%を分解すると言われるシロアリによって解決するという発想で、間伐材を用いたシロアリの養殖に取り組んだ。その上、間伐材で殖えたシロアリは栄養価が高く、価格が高騰している養殖魚の飼料といった用途も想定できるため、「第一次産業が直面する2つの課題へ同時にアプローチできる」と生徒たちは胸を張る。

水産飼料として有望なシロアリ

まず着手したのは、間伐材を用いたシロアリの飼育だ。最初の実験では、カビの発生などからほとんどのシロアリが死んでしまったが、木材の形状や飼育環境を変えながら実験を重ね、成育、産卵まで確認できた。見事養殖に成功した生徒たちは、効率的な養殖ができるよう、木材の中でシロアリが繁殖する適切な個体数についても研究している。
飼料化に向けては、従来の飼料とシロアリを配合した飼料について、魚の成長への影響を比較。シロアリ配合飼料を与えると、非配合飼料に比べて同程度またはそれ以上の成長がみられることが分かった。一連の実験で、シロアリは間伐材で養殖でき、飼料としても有用であることが明らかになった。研究過程では新たに、シロアリの脂質成分が、化粧品や食用油などに用いられている落花生オイルと酷似していることが判明。良質なオイルであることから、燃料としての使用も視野に入ってくる。林業、水産業の問題に加え、エネルギー問題にも応用できる可能性を見出している。
一般には嫌われる昆虫であるシロアリだが、先入観にとらわれず成果を出した研究は、今後さらなる展開が期待されており、すでに企業と協働しながらシロアリ配合飼料の実用化に向けて動き出している。

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