地域資源で環境創造 ~竹チップで未来を変える~
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兵庫県立篠山東雲高等学校
活動内容について
しののめ竹林バスターズの活動内容はこちらよりご覧ください。
目標・今後の計画
現在、私たちの学校がある篠山市では、環境問題として放置竹林の拡大が急速に進んでいる。放置竹林の拡大に伴い、生物多様性の減少や景観の破壊が想定される。しかし、行政や山林の所有者では管理が行き届いていないのが現状である。そこで私たちはこのプロジェクトを開始した。
①篠山市内の放置竹林を整備し、生物多様性の維持や景観の保全に努めるとともに、地域の里山を守る。また、竹林を焼却することを防止し、破砕機によりチップ化することで、農業利用や、環境にやさしいバイオエタノールを精製できるように研究する。
→篠山市やNPO、自治体と連携することで、1日約2tの竹林が伐採できる。これを農業利用(マルチング資材)として代替することで、利用後の石油製品の排出を軽減する。
②下水道の処理過程で発生する産業廃棄物、「乾燥汚泥」の臭気を竹チップにより低減し、実用化することで、農業利用を促進し、焼却される産廃の量を削減する。
→全国の自治体が抱える問題であるため、大量普及、大量の産業廃棄物の焼却や費用を削減できると見込まれる。
活動内容
私たちは学校がある篠山市が抱える2つの問題に着目し、研究を開始した。
①放置竹林の整備と、竹有効利用法の研究(再生可能な地域資源として農業利用)地域と連携し、1日当たり約2tの竹林を伐採した(活動は1回20人程度。回数は月3~5回)。そして伐採した竹を破砕機によってチップ化した。それをマルチングの資材として活用した。竹チップを農産物を畑に植えたのち、被覆することで、雑草の発生を抑制できることがわかった。この結果、従来のマルチングビニールの代替が可能となった。
→通常の栽培であればマルチング資材(プラスティックフィルム)を大量に消費する。しかもそれは使用後ごみとなり、焼却されることによりCO2が発生し、温暖化を助長するが、竹チップはその心配が皆無である。環境に配慮したバイオエタノールの精製。竹は再生可能な資源であり、かつ大量に発生するため、原料としての活用が実用的である。生成に必要な微生物を酵母以外で現在調査中であり、土着菌よりそれが発見できれば精製コスト減につながる。
②竹チップを利用した乾燥汚泥の臭気軽減と実用化篠山市では年間830tの乾燥汚泥が発生している。これがすべて焼却処分されれば発生するCO2の量は計り知れない。しかし、この乾燥汚泥は強烈な臭気があり、利用が困難である(あさぎり乾肥として肥料登録をとっているが利用は進んでおらず、産業廃棄物として処分されている)。そこで、竹チップを混和し、微生物により発酵させ、汚泥を分解し、臭気のもとであるアンモニア臭を吸収することに成功した。こうしてできたオリジナル堆肥は、次年度篠山市内の全小中学校に配布予定である。今後年間100tの堆肥化を行うことで、約300万円の処分費用の軽減と、焼却によるCO2の発生を削減することができると見込まれる。また、篠山市はこうした私たちの活動を支援するために竹の破砕機を購入した。私たちはこの破砕機とともに、地域を回り、竹林の整備を進めていく予定である。
成果・実績
◎活動の効果
竹チップの農業利用法が確立でき、これまで使用後はごみとなっていた資材を削減することができた。
→本校農場での実践ではマルチングビニール約50㎏が削減。乾燥汚泥の臭気が低減され、農業利用が広がった。その結果、産業廃棄物の量が削減できた。
→今回研究に利用した汚泥だけで、約1tを使用。
◎社会への波及効果
・研究にご協力いただいた神戸大学農学部藤嶽先生から、「環境保護活動としても有意義な取り組み」と評価を頂くとともに、プレスリリースによって篠山市民に広く活動を周知した。
◎地域への貢献度
・地域の放置竹林が整備できた。また、農業利用につなげることで、環境の負荷をかけない農法や、資材の利用を軽減できた(これまで、フェノール樹脂<利用後はごみ>を利用して栽培していたものを100%竹チップに変換)。
・活動を知った自治体や個人からも活動への参画希望があり、篠山市を挙げて活動ができるようになった。
◎今後の展望
・乾燥汚泥や放置竹林は日本全国ほとんどの自治体が抱える環境問題である。さらに効率的な堆肥の生産やバイオエタノールの取り出しを行うことで、全国規模で問題解決に寄与できると考える。