家畜昆虫コオロギで環境と経済にエコ
~世界の食糧問題解決へ~
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鹿児島県立市来農芸高等学校
活動内容について
自主研究班の活動内容はこちらよりご覧ください。
きっかけ
本校ではこれまで、数が減少している薩摩鶏の飼育をサポートするための研究を行ってきた。新たに取り組んでいるのが、昆虫を使った飼料の開発だ。世界的な食糧不足を解決する手段として、注目される昆虫食。肉や大豆など他のたんぱく源と比べて生育時に必要な水の量が少なく、温室効果ガスの排出や農薬の散布といった環境への負荷が少ないことから、需要が高まっている。飼料価格の高騰に悩む畜産農家の声や、従来の餌の食いつきが悪かったことがきっかけにコオロギを使って飼料づくりが始まった。
活動内容
まず地元の大学に、使用する昆虫について相談。100gあたりのた
んぱく質含有量が60gで、ほかの昆虫や大豆と比べて20g以上多いコオロギを採用した。
早速衣装ケースで作ったシェルターで、生育ステージごとにわけて飼育しはじめたものの、すぐに問題が発生。最適な温度調整ができず生存率が上昇しないのに加え、食欲旺盛のため共喰いが発生し、全滅するという結果となった。そこで、改めてコオロギの飼育方法を検討。衣装ケースで作ったシェルターはツルツルしているため、園芸ネットや新聞紙などを敷いてコオロギの足場を確保した。すると足を滑らすことなく移動できストレスが軽減したためか、生存率を高めることができた。共食いを避けるため、コオロギに餌を与える頻度も改善した。
成果
これまで繁殖させたコオロギは、3,000匹以上。成虫になったコオロギは、数日間糞抜きをして冷凍し、ミキサーにかけたあと発酵飼料と混ぜ合わせて給餌する。鶏に与える従来の飼料と比べて、コオロギ飼料は1kgあたり38円削減することができる。県内の全養鶏羽数に換算すると、1日約6,300万円の削減になることがわかった。飼料を変えても卵の質が維持できたことから、コオロギの飼料化に一定の可能性を示すことができた。