循環型椎茸菌床栽培方法及び
バイオエタノールの生成について
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長崎県立島原農業高等学校
活動内容について
食品加工部の活動内容はこちらよりご覧ください。
目標・今後の計画
本研究は、平成 23 年 7 月、地元椎茸生産組合から、椎茸をパック詰めするときに邪魔になる椎茸柄(あし)部位(椎茸副産物)を有効利用できないかと、相談を受けたことから始まった。研究当初は、食品として応用できないかと、試作を繰り返していたが、パンやお菓子などには、どうしても利用できないことが分かった。そこで、椎茸成分を調査した際、炭水化物が多く含まれていることが分かり、発酵することにした。発酵試験においては、長崎県工業技術センターの専門研究員の方のご助言を受けながら行い、新しい糖化技術を導き出し、アルコール発酵に成功した。その際、大量の発酵残渣が生じるため、その再利用をめざした、椎茸菌床栽培法を開発した。
研究開始から 4 年の年月を費やし、新しい技術を用いた循環型椎茸菌床栽培法、バイオエタノールの生成技術を開発し、それを証明するための特許論文を作成し、平成 25 年 4 月には、特許を取得できた。
現段階では、今回の新しい技術を地元の椎茸生産農家で始めているが、今後は日本全国に普及していくことを目標に活動を行っていきたいと思う。
活動内容
【平成 23 年度】アルコール発酵の予備実験・椎茸柄粉末の糖化実験(参加生徒人数:15 名)
長崎県工業技術センターの専門研究員に指導を受けながら、椎茸柄粉末の糖化及びアルコール発酵の実験を行った。地域との連携:地元椎茸生産農家・長崎県工業技術センター
実験項目:①糖化処理方法(水煮沸処理・酸処理・処理時間)
②アルコール発酵の方法(酵母の種類・濃度・椎茸柄粉末濃度・発酵期間)
【平成 24 年度】アルコール発酵の本実験・椎茸柄粉末の糖化実験・椎茸菌床栽培法の実験(参加生徒人数:13名)平成 23 年度の実験でうまくいかなかった項目を再度実験した。
地域との連携:地元椎茸生産農家・長崎税務署・食品環境検査センター・長崎県発明協会
実験項目:①糖化処理方法(アルカリ溶液処理・高圧蒸気滅菌処理)
②アルコール発酵の方法(酵母を添加する前に高圧蒸気滅菌処理)
③椎茸菌床栽培法の検証実験(発酵残渣物の再利用)
④特許取得をめざした取り組み
【平成 25 年度】椎茸菌床栽培法の検証実験・特許取得に向けた取り組み・普及活動(参加生徒人数:19 名)
地域との連携:長崎県工業技術センター・地元椎茸生産農家・長崎県発明協会
実験項目:①アルコール蒸留法(常圧簡易蒸留法・減圧濃縮法)
②特許明細書の作成・特許出願・拒絶に対する意見書・特許査定
③地元椎茸生産農家での自家製菌床栽培成功
【平成 26 年度】地元椎茸生産農家への普及活動(参加生徒人数:22 名)
特許を取得した新しい技術を用いた菌床を本校で作成し、地元椎茸生産農家で栽培普及を行っている。また、バイオエタノール生成技術のさらなる向上を目指して活動する。
地域との連携:地元椎茸生産農家・長崎県農林技術開発センター・全国展開の大手企業・特許庁・長崎県発明協会・長崎県工業技術センター
成果・実績
【平成 23 年度】アルコール発酵の予備実験・椎茸柄粉末の糖化実験
実験項目:①糖化処理方法(水煮沸処理・酸処理)
結果:いずれの糖化処理方法も成果なし
②アルコール発酵の方法(酵母の種類・濃度・椎茸柄粉末濃度・発酵期間)
結果:酵母の種類:低糖用酵母(Saf-red 種 2%)、椎茸柄粉末濃度:2%、発酵期間:15 日間
【平成 24 年度】アルコール発酵の本実験・椎茸柄粉末の糖化実験・椎茸菌床栽培法の実験
実験項目:①糖化処理方法(アルカリ溶液処理・高圧蒸気滅菌処理)
結果:水酸化ナトリウム 1%溶液で最も糖化される。
②アルコール発酵の方法(酵母を添加する前に高圧蒸気滅菌処理)
結果:高圧蒸気滅菌処理:2 回が最も糖化される。
③椎茸菌床栽培法の検証実験(発酵残渣物の再利用)
結果:椎茸菌床の栄養源である米ぬかの代わりに発酵残渣物を代用することに成功。しかも、椎茸菌糸の増殖スピードは米ぬかの約 2倍であった。
④特許及び酒類試験製造免許の取得をめざした取り組み
結果:平成 24 年 9 月に特許出願 平成 24 年 8 月に酒類試験製造免許取得
【平成 25 年度】椎茸菌床栽培法の検証実験・特許取得に向けた取り組み・普及活動
実験項目:①アルコール蒸留法(常圧簡易蒸留法・減圧濃縮法):アルコール度 41%まで濃縮・着火成功
②特許明細書の作成・特許出願・拒絶に対する副審書・特許査定 結果:平成 25 年 4 月 特許取得成功
③地元椎茸生産農家での自家製菌床栽培成功結果:自家製菌床による椎茸発生に成功
【平成 26 年度】地元椎茸生産農家への普及活動
結果:バイオエタノールの生成技術に成功し、濃縮したエチルアルコールで着火成功
特許技術を用いた自家製椎茸菌床の地元農家への普及活動中
大手きのこ業者及び菌床製造業者からの特許技術の使用許可要請に向けて検討中