日本伝統の三和土を使った
集水システムの開発と普及
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青森県立名久井農業高等学校
活動内容について
Treasure Huntersの活動内容はこちらよりご覧ください。
三和土(たたき)を使って集水システムを開発
日本の伝統工法が、世界中の農地の課題解決に役立つ─。TreasureHuntersは、日本の土間に用いられてきた三和土(たたき)を応用して、水不足の国で活用できる集水システムを開発した。
地球人口のうち20億人は、乾燥地や半乾燥地に生活している。それらの地域では、乾季には農業用水が不足し、雨季にはスコールが畑の土を流して河川や湖沼に流出するという問題を抱えており、食料不足はもちろん、水棲生物の生息環境を変え、水深が浅くなって多くの水害を招いている。
そこで2019年4月から開発途上国の土壌流出を抑制し、乾季に水を確保して収量を増やすための研究をスタート。三和土を用いて、これらの課題を解決できる集水システムを考案した。三和土は土、砂、消石灰を水でこねることで起こる反応を利用し、土壌を硬化させるもの。特殊な薬剤や機械がいらず、簡単に土に戻せて環境負荷が小さいというメリットがある。
安価に、それぞれの土地で作成可能な「集水ウイング」
乾燥地帯の西アフリカには、ザイ(Zai)という伝統農法がある。農地に穴を掘って周囲に土手を盛り、雨季の雨水を集めておく知恵だが、盛り土が崩れやすく改善の余地が残されていた。
その土手づくりに三和土を導入。耐久性が高まったことで土手の形状も自由になり、改良実験を繰り返して、最も効率の良い「集水ウイング」の形を突き止めた。三和土による集水ウイングを使用すると、無い場合よりも6倍も多く集水でき、堆肥の栄養分を長く土壌に供給することが可能に。栽培実験を行い、トウモロコシとインゲンマメの増産にも成功した。さらに小さな堤防としても機能し、雨季の雨による土壌流出を約90%も抑制できることも分かった。
乾燥地にこの農法が広がれば、斜面から流れてきた水をせき止め、貴重な雨水を作物に集め、乾季でも農業を継続できる。そして収穫の増加や土壌の改良、土壌流出の抑制につながるだろう。
それぞれの国の土などを使って作成できるため、ほとんど材料費がかからないのもメリット。パンデミックのため現地での実地試験は休止となっているものの、現在は英語のマニュアルをホームページで発信し、オンラインでの国際イベントでも大きな評価を受け、生徒たちは手ごたえを感じている。