公益財団法人イオン1%クラブ

東日本大震災の「がれき」を
温かみのある住宅材料に!

TOP > 子どもたちの健全な育成 > イオン エコワングランプリ > 過去の受賞活動 >東日本大震災の「がれき」を 温かみのある住宅材料に!

大分県立日田林工高等学校

活動内容について

林産クラブの活動内容はこちらよりご覧ください。

目標・展望

平成 22 年度から地元の荒廃した里山を再生しようと「里山再生プロジェクト」を立ち上げた。初年度は、里山に蔓延るタケの有効利用としてタケファイバーボード(環境大臣賞受賞)、平成 23 年度はタケパーティクルボードを考案した。さらに、平成 24 年度からは、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた「里海」を再生しようと動き始めた。震災で約 2,200 万 t のがれきが発生し、その 8 割が木材で、処理が困っているということを聞き、「里山再生の技(手法)」を使って、木質材料(ボード)を作ることを考えた。環境省は、がれきの 9 割を焼却すると発表している。このボードを製造することによりがれき 1t あたり、1.75t の CO2 削減に繋がる。しかも低コストで製造可能である。これらの研究を企業等に提案し大量生産を目指している。

活動内容

震災がれきについては、有害物質で汚染されている可能性があるので、実験的に海水に浸漬した「がれき」をつくり出し、ボードの原料となるかを徹底的に検証。一応の効果がみられたので宮城県石巻市からがれきを回収した実証実験を行った。ボードの製造については①木材の特徴をそのまま活かしたもの、②接着剤はできるだけ少量使い安全性には十分気をつける、③製造後は、東日本の復興住宅に使えるような温かみのある材料にする、④地元日田スギやバーク、タケの有効利用になることなどを全員で話し合った。そして、タケパーティクルボード製造の手法を応用した「がれき」によるボードが完成。これは、JIS 規格にも合格した。生徒たちは、このボードを PSGL:Parallel Strand Gareki Lumber:(がれきを並行に並べた材)と名付けた。
また、内部に 50%の空隙をつくり、その中に地元で処理に困っているスギバークやタケの繊維を混入させることによって保温性、断熱性の高い材料を作ることに成功した。製造については、林産工学科 3 年生全員で、強度実験・データ処理については、林産クラブで行った。

成果・実践

現在、関連企業 4 社と共同研究中。福島県の復興住宅に使われることがほぼ決定。10 月には東京ビッグサイトで開催される展示会にも出展。
TBS(全国)、NHK・TOS・OBS(地方)で放映される。また、毎日新聞をはじめ 6 社(日経、朝日、読売、西日本、大分合同)に掲載される。月刊誌「ソトコト」の特集号「がれきに花を咲かせましょう」に掲載される。農業クラブ九州大会最優秀、九州代表として長野県で開催される全国大会に出場(10 月 24 日)する。特許等は取得せずに、東日本大震災の復興と地元で問題になっているバークやタケの有効利用として多くの方に技術提供し役立つことを願っている。生徒たちは、これを「木繋(きづな)」(木を通して繋がりを持っていく)と呼んで取り組んでいる。
がれき 1t あたり 45 枚(90 × 180 × 2cm)のボードが製造可能(製造原価 1,200 円)。がれきを焼却しないでボードを製造することにより多くの二酸化炭素を固定することができる。環境省は平成 26 年 3 月には、がれき処理は完了すると発表しているが、このボードは震災がれきのみではなく災害がれき、工場廃材、住宅解体材、林地廃材等利用できるので今後期待できる。

戻る