都市部における里山保全の
活動と取り組み
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東京都立農業高等学校
活動内容について
神代農場部の活動内容はこちらよりご覧ください。
順調に増えてきたゲンジボタル
東京都立農業高校の神代農場は、渋谷から直線距離で約13㎞と都市部に位置しながら、湧水や雑木林などの自然にあふれ生物多様性を有している。同校の神代農場部は、約22年9ヵ月にわたり、その里山環境の保全に取り組み、希少な動植物の保護を科学的なデータに基づいて実施している。
その一例が、絶滅危惧種であるゲンジボタルを増やすための水路整備とアメリカザリガニの駆除だ。水路整備では、川床に堆積した泥を水で流したり、成虫の飛翔時季に水路上の枝を払ってクモによる捕食防止を行っている。アメリカザリガニについては、エサの競合や捕食が個体数減少の原因になっていると推測し、定期的に毎回約100匹のザリガニ駆除を実施してきた。
ゲンジボタルの生育数は順調に増加傾向が見られることから、部の活動が成果をあげていると考えられる。
カタクリ保護と里山保全のために
生徒たちは、神代農場に群生するカタクリの保全にも取り組み、「生育に適した環境の調査」「カタクリの自然受粉の程度を知るための結実調査」「里山への関心をもってもらうための一般公開」を行っている。
生育や結実に適した環境の整備では、調査結果から、繁茂する常緑樹や下草の刈り取りで十分に光合成ができるようにしたり、落ち葉や枝を蓄積させて地温の上昇を防ぐ工夫を考案した。また農場の周辺にはカタクリの生育に適した場所があることもわかり、農場内の群落から種子採取が可能になれば、付近の公園などへ苗を広げることも可能となった。
また一般公開には約200人という多くの人が来場。倒木などで作ったチップをまいた順路や、農場で間伐した竹を用いた階段などが好評で、竹炭も売れ行きが良く、里山に関心を持ってもらうことができた。
全国的に減少している里山の中でも、都市部の里山環境は特に貴重であり、神代農場部の活動は今後ますます大きな役割を担っていく。