長崎県特産品「枇杷(びわ)」の
エコ活動への挑戦
TOP > 子どもたちの健全な育成 > イオン エコワングランプリ > 過去の受賞活動 >長崎県特産品「枇杷(びわ)」の エコ活動への挑戦
」のエコ活動への挑戦.jpg)
長崎県立諫早農業高等学校
活動内容について
食品科学部の活動内容はこちらよりご覧ください。
活動内容
2016年4月〜2017年3月(参加人数:35人)
①枇杷に関する事前調査②枇杷の栽培管理
事前調査については、長崎県南の茂木枇杷地区(露地枇杷栽培)及び県央の大村地区(ハウス枇杷栽培)、本校果樹園の3カ所で研修を積み、JA長崎・本校農業科・果樹部門の協力もいただいた。
2017年4月〜2018年3月(参加人数:38人)
①枇杷果実の褐変防止法の検討②枇杷果実の長期保存方法の検討③枇杷カステラの試作
長崎県内の枇杷生産農家から規格外枇杷を譲り受け、年間を通して加工利用できるように研究活動を行った。そして、この技術を確立し特許を申請している。また、枇杷果肉を使用して、カステラの製造技術を確立した。なお、この技術に関しては、地元カステラ製造業者との連携を行っている。
2018年4月〜現在(参加人数:36人)
①商品化に向けての取り組み②品質検査(成分分析・保存試験)③枇杷の果皮・種子・葉の利用④普及・啓発活動
規格外枇杷を有効利用したカステラの商品化については、2018年6月1日に実現し、現在も継続して販売されている。また、その品質検査については、長崎県工業技術センター及び長崎県食品環境検査センターの協力をいただいている。果皮・種子・葉の利用はその成分を抽出し抗菌性を探り、利用できる可能性を見出した。普及・啓発活動は地元のイベント3カ所及び福岡天神ソラリア、東京新橋での長崎県産品フェア、農林水産省でのPR活動を行っている。
成果・実績
1.枇杷に関する事前調査
生産量や品種、規格外品の量などを長崎県農林技術センター果樹研究部門、栽培農家で研修を受けた。さらに、実際に学校の果樹園に行き、2年間枇杷の栽培管理を自分たちの力で行い、さまざまな苦労を重ねながら、その栽培管理方法を学ぶことができた。また、長崎県産の枇杷は露地枇杷とハウス枇杷の2つの方法で栽培され、規格外として処分されている枇杷が露地枇杷では約50%、ハウス枇杷では約20%にも上ることも分かった。この規格外枇杷を有効利用することで、エコ活動の一環として活動できる。
2.枇杷の褐変防止方法と長期保存方法の検討
枇杷果実の褐変防止法は、食品に添加する有機酸を用いて実験を試みた。有機酸の種類と濃度を50通りの組み合わせで行った結果、アスコルビン酸0.2%以上の水溶液で防止することができた。しかし、水溶液の中から取り出した場合、果実表面は褐変することが判明し、その改善法を検討した。枇杷の褐変化現象の要因は果実の中に含まれる酵素であるポリフェノールオキシダーゼが関与していることが分かった。ポリフェノールオキシダーゼは熱処理によって失活することが文献により判明したので、熱処理3種類(焼成、煮沸、蒸煮)を6パターンの時間設定で酵素失活の方法を検討した。結果は蒸煮処理20分以上行うことで枇杷果実の酵素を失活させることができた。次に長期保存方法は、保存温度2種類(5℃、−15℃)と糖濃度5種類(10%〜50%)で保存実験を行った。結果、保存温度は−15℃、糖濃度40%の保存状態を保つことができれば約12カ月間、枇杷果実の品質を保つことが分かった。
3.枇杷カステラの製造技術の確立
カステラの製造技術は、原料生地の比重を0.55とし、小麦粉を薄力粉である「おしどり粉」を用いることにより、カステラらしい生地に仕上がった。また、枇杷果実の添加方法はピューレ状とし添加量を10%加えた。さらに、枇杷風味の改善方法は枇杷のリキュールとエッセンスを添加することにより、枇杷の存在感を生かした長崎らしい「枇杷カステラ」を完成させることができた。この結果、2018年6月1日に連携企業の千鶏カステラ本舗にて商品化を達成し、6月から8月までの3カ月間で約2500個の販売実績があがった。
4.枇杷廃棄物の有効利用法の検討
農業廃棄物である枇杷の果皮・種子・葉を有効利用することができれば、規格外枇杷の利用と合わせて全く廃棄物が生じないゼロ・エミッションにつながる取り組みとなる。有効利用法を検討する中で、「抗菌性」に注目した。そこで、枇杷廃棄物から色素成分を抽出させ、ペーパーディスク法によりその抗菌効果を探った。結果は抽出した色素に発育阻止帯(ハロー)の形成があり、抗菌効果の可能性を見いだした。さらに、目視検査や細菌検査でその可能性を探った結果、枇杷の果皮・種子・葉には抗菌作用が存在することが分かった。このことを利用して、私たちは食品の「品質保持剤」としての利用可能であることを発見し、今後の活動で明らかにする予定である。
5.現在の普及活動
「枇杷カステラ」を全国にPRするために、地元でのイベントや販売会に積極的に参加し、県の研究施設で成果発表を行っている。さらに、福岡県や東京での県産品フェアや農林水産省でのイベントに参加し、全国へのPRを行っている。