高校生にできる小さな自然再生を通した川づくり
TOP > 子どもたちの健全な育成 > イオン エコワングランプリ > 過去の受賞活動 >高校生にできる小さな自然再生を通した川づくり

岐阜県立多治見高等学校
活動内容について
地域探究部の活動内容はこちらよりご覧ください。
地元河川の再生を自分たちの手で
岐阜県立多治見高校、地域探究部の活動は、地元を流れる土とき岐川の自然再生を目指し、自分たち高校生にもできることはないかと考え、実験河川を借りて検証を行ったものである。
土岐川は岐阜県内を流れる川では最も魚類の多様性が豊富といわれているが、近年の多治見市の調査では、土岐川とその支流ではウナギを含めた底生魚の多様性や個体数の減少が報告されている。そこで同校では、岐阜県各務原市にある国立研究開発法人土木研究所自然共生研究センターから実験河川を借り、2017年から魚類多様性と個体数の増加を目的に、高校生の力で完結できる自然再生方法の検証を行ってきた。
先輩の研究成果をさらに発展
今回の成果につながった、過去2年間の検証では、生徒たちの手によって川底を部分的に掘り、流速や水深の異なる箇所を造る方法で自然再生に取り組み、河川内に生息する魚の種類数を増やせることが明らかになった。しかし、部分的に川底を掘って水深を深くする方法には、時間が経つと元の水深に戻ってしまうという課題があった。そこで今年度は、コンクリート二面張りの実験河川に、高校生でも運べる大きさの石を積むことにした。それにより、川の流れを変えて砂や泥などを川底に堆積させ、継続的に手を加えなくても、可能な限り自然発生的に多様な河川環境が出来上がる石の置き方を検証したのである。
県も認めた高校生の自然再生法
その結果、実験河川において生徒たちが自然再生の取り組みを始めて1カ月後、目的としていたウナギが住み着いていただけでなく、トウカイコガタスジシマドジョウやマドジョウ、カマツカなどの底生魚が増加。また、流れのあるところを好むオイカワなども生息するようになり、加えて、カワヨシノボリは流れが遅く砂のたまったところを好むなどのデータも得られた。
こうして、川底に石を積む自然再生法が、部分的に水深の深い場所を作る方法よりも魚類多様性を増加させる効果が高く、労力も効率的であることが検証できた。これらの検証データを基に、生徒が岐阜県河川課を訪問し提案したところ、2020年1月から土岐川の自然再生を行うことになった。