ストックマネジメント
～現状の長寿命化と発展を目指して～
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群馬県立吾妻中央高等学校
活動内容について
環境工学研究部の活動内容はこちらよりご覧ください。
きっかけ
「皆さんの測量技術で、農地の水路図を作れませんか？」。群馬県立吾妻中央高校環境工学科の活動は、地域にある美野原土地改良区の農地に張り巡らされた水路の老朽化が進み、事務局長から適切に管理するための水路図作成を依頼され平成26年から始まった。吾妻中央高校は、統合前の中之条高校時代から培った測量に関する伝統と実績を継承し、日々学習に取り組んでいる。生徒たちはその測量技術を活用し、農業用水路を点検・補修して維持管理する「ストックマネジメント」を行うため、精度の高い水路図の作成プロジェクトを開始した。既存施設の長寿命化は、新設に比べ省資源、省エネ、低炭素などのエコにつながり、地域の農地環境保全にも貢献できるものだ。
活動内容
同校所有の美野原農場を含む美野原土地改良区には、約206ヘクタールの農地が広がっている。そのほとんどを占める水田に水を供給するため張り巡らされた農業用水路は、昭和28年に敷設され多くの箇所で老朽化が進んでいた。先輩たちが平成26年から開始した水路図作成プロジェクトでは、学校所有の測量機器「トータルステーション」を用いて測量を進め成果を蓄積。その後、地域企業提供による最新機器「ネットワーク型RTK」を県の予算で導入し、さらに事務局から貸与されたドローン活用によるUAV写真測量に挑戦した。最初は失敗の連続だったが、東京農業大学の指導を受けながら困難を一つずつ解決。これにより高精度の写真測量を実現し、総延長約34kmにおよぶ美野原土地改良区の水路図が完成し、事務局長から感謝の言葉をいただいた。
成果
完成した水路図は、老朽化が進んだ水路の長寿命化を図る「ストックマネジメント」に役立てられる。さらに事務局長からは、同校の高い測量技術を使い、農業排水を小水力発電に利用するための水路迂回計画が作れないかと依頼を受け、すでにルート解析なども進み新たな挑戦が進行している。また、測量士試験や測量士補試験に合格したメンバーもおり、プロジェクトを通じて得た技術が生徒の成長につながるという成果も出た。一方、空撮技術を活用して四季折々の美しい景色を撮影し、地域の活性化や環境保全にも貢献している。