トキと環境の島を受け継ぐために! ~GIAHSを守る地域貢献~
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新潟県立佐渡総合高等学校
活動内容について
農産加工系列の活動内容はこちらよりご覧ください。
目標・今後の計画
2008年、佐渡ではトキの野生復帰を目指す1回目の放鳥が行われ、2011年には「トキと共生する佐渡の里山」をテーマに、国連食糧農業機関により世界農業遺産(GIAHS:ジアス)に認定された。本校農産加工系列は、佐渡市、地域団体と連携し2013年よりジアスの認知度を高め、トキと環境の島を全国にPRする活動を実施している。現在の目標は、地域と連携し、佐渡の環境・景観・食文化を保存することで、ジアスに認定された「佐渡の農業システム」維持の方向性を模索し、ジアスの認知度を高めることである。島内の農家も後継者不足が深刻化しており、佐渡の農業システムの維持が困難となっている。この課題に地域連携を主体とした発信活動に取り組んでいる。
活動内容
1.ジアス普及活動
2013~15年までに、先輩方が佐渡の歴史と農業のかかわりについてまとめ、DVDを作成。2016年春に、佐渡島内の小・中・高校にDVDを配布。教材として活用が開始された。現在もDVDの活用と、高校生による発表活動を続けている。
2016年7月には全国棚田サミット佐渡大会の場で、有識者約800名の前で事例発表の機会をいただき、学習の成果を発表した。同年11月には第26回全国産業教育フェア石川大会における世界農業遺産シンポジウム、2017年8月には佐渡市主催のトキ野生復帰シンポジウムで、高校生の代表として事例発表を行った。
2.校内でのエコ活動の継続農産加工系列と本校環境工学系列が、環境エネルギーの利用を開始。「シクラメン作りに農業と工業が手を組んだ!ソーラーパネルで暑い夏を乗り切ろう!」と題し、太陽光発電と電子制御による温室内の空調管理を実施。「総合高校ならではのエコ活動」に取り組んでいる。2016年度は試験的な運用であったが、今年度はシクラメンを地域の緑化に役立てたいと考えている。
3.生物多様性調査を主とした環境教育への協力一般社団法人「佐渡生きもの語り研究所」の活動に協力し、小中学生に生物の採集方法や見分け方を教え、環境教育のサポートを行い、活動を盛り上げている。
4.耕作放棄地の利用による環境・景観保護活動トキと暮らす里山を維持するための課題は、後継者不足と耕作放棄地の増加であり、トキが餌場として利用できる環境をいかに保存するか、という点である。本校のある佐渡市畑野地区には「小倉千枚田」があり、上記の課題解決に向けてオーナー制度を実施。この制度でジアスを発信する活動ができないか模索した。
そして小倉千枚田にある耕作放棄地の利用を開始した。山林を切り開いて造られた棚田はトキの餌場にもなるため、荒廃させずに維持することで、トキのすむ環境を維持することにもつながると考えた。
参加オーナーへの佐渡のPRと、土地の有効利用を目的に、アズキと赤ソバの転作を実施。赤ソバはトキの「朱鷺色」とかけて朱鷺色棚田の景観を創出する。アズキは収穫後、食育活動への発展を目指している。
5.伝統食の保存と普及佐渡には「おこし型」という伝統食がある。木枠の型に団子生地を詰め、餡を包んで蒸した団子の一種である。しかし、型を彫る職人が高齢により引退し、型職人がいなくなってしまった。そこで、伝統食の継承と地域文化の保存を目指し、環境工学系列が型の彫りを、農産加工系列が転作アズキからあんこを煮て、おこし型を継承する取り組みを開始。今後は地域の小学生を対象に「おこし型体験」の食育活動を行い、地域資源を活用した伝統食の保存と普及に取り組みたい。
成果・実績
・発信活動の拡大
ジアスに関する発表を続けた結果、活動が認知され、トキ野生復帰シンポジウムで事例発表を実施した。シンポジウム参加をとおし、佐渡市との連携が一層強化され、環境省、新潟大学と新たな連携が生まれた。
・環境教育への貢献2017年4月から9月までに5回の生物調査に協力。夏に行われた佐渡市主催の「田からもの未来会議」では全国から集まった52名の小学生と、佐渡の水田生物を調査し、生物多様性について考えた。子供たちが生物多様性について出した意見をまとめ、トキ野生復帰シンポジウムで発表し、ローカルテレビで放映された。
・地域課題へのアクションと食育活動小倉千枚田の利用において、アズキは順調に生育し、今後収穫してあんこに加工する予定である。地域の老舗菓子屋「しまや」様より、あんこの製造について教えていただけることになり、地域のアズキを使い、地域の味を守る学習に発展しようとしている。おこし型体験の本格的な計画は、佐渡市教育委員会と連携して準備を進めており、早ければ年内に実施予定である。