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バクテリアセルロースを用いた
ストローの開発と評価

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バクテリアセルロースを用いた ストローの開発と評価

福島県立福島高等学校

活動内容について

スーパーサイエンス部バクテリアセルロース班の活動内容はこちらよりご覧ください。

捨てられる「酢こんにゃく」をエコなストローに

海洋プラスチックごみによる環境汚染が問題となっていることから、近年プラスチックストローの代替品として紙ストローの普及が目指されている。しかし、紙ストローは耐水性が低く、森林の伐採が広がりかねないという問題が残ってしまう。そこでスーパーサイエンス部バクテリアセルロース班は、環境負荷の少ないオリジナルストローの開発を始めた。
加工しやすく耐水性や生分解性に優れ、口に入れるのにも適した素材として目を付けたのがバクテリアセルロース(BC)。酢酸菌が生成するもので、植物繊維の主成分である植物由来セルロースの100分の1の細かさを持つ素材だ。もちろん木材は一切使わない。繊細な構造で水を通しにくいため、ストローへの加工に向いていると考えた。
一方、地元で行われている昔ながらの酢の製法・静置発酵法では「酢こんにゃく」という副産物ができ、これもBCの一種として知られている。廃棄されていた酢こんにゃくをストローの材料として再生すれば、コストを抑えられるうえ、伝統製法を守る地元醸造酢産業にも貢献できる。そう考えた生徒たちは、福島県内の醸造酢店から譲りうけた酢こんにゃくを用いて実験をスタート。1週間発酵させて作ったBCの膜を、オーブンで一部加熱・乾燥させた後、紙ストローのようにらせん状に巻き、さらに加熱・加工を繰り返し完全乾燥。接着剤を使わずストローを完成させた。

BCストローの実用化を目指す

実用性の評価としては、耐水性能を確かめるため、市販のプラスチックストロー、紙ストロー、そしてBCストローをそれぞれ60分間純水に浸し、質量の変化を測定。BCストローは最も水を吸っていたものの、ストローとして問題なく使用できた。さらに性質の異なる7種類の飲料を用意し同じ実験を行ったところ、pHが低いほど質量変化率に大きな影響が見られた。
今年度の活動で、酢こんにゃくを用いたBCストローの作製に初めて成功。今後はpHと耐水性の関係の検証、耐水性以外の観点からの評価、衛生面に配慮した作製を行い、BCストローの実用化へつなげるべく活動を続けていく。

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