ヒラミレモン搾汁残渣を利用した
フルーツ魚の開発
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沖縄県立沖縄水産高等学校
活動内容について
海洋生物系列の活動内容はこちらよりご覧ください。
魚類養殖低迷でフルーツ魚に注目
沖縄水産高校海洋生物系列の生徒たちは、県内の魚類養殖が衰退傾向にある中、近年、西日本を中心にブランド化され商業的にも成功しているフルーツ魚に注目し、その研究開発に取り組んだ。
フルーツ魚は、柑橘類の皮や果肉、果汁などを加えた配合飼料で育てた養殖魚で、魚臭さの抑制や果物の香りが感じられるなどのメリットが人気となっている。そこで生徒たちは、沖縄を代表する小型在来柑橘であるヒラミレモン(シークヮーサー)に着目。ヒラミレモンは独特の強い香りと酸味が特徴で、年間約3000トン生産されているが、その利用方法は搾汁加工によるジュースがほとんどで、大量に出る搾汁残渣の処理や、ジュース以外の新たな利用方法・利用技術の開発が課題となっている。
このためフルーツ魚の養殖が成功すれば、衰退傾向にある沖縄の魚類養殖と、ヒラミレモンの有効利用という、2つの課題解決に貢献できることになり意義が大きい。
短期間での高い給餌効果を確認
研究はまず、ハマフエフキという魚にヒラミレモンの皮や果肉を混合した餌を与え、魚肉に香りを乗せることに成功。次に、魚類養殖業者と共同で、需要の高いマダイで給餌実験を検証。ここでも、マダイにヒラミレモンの香りが感じられ、魚臭さを消し、おいしさを感じられる効果が得られ、科学的な測定でも香料成分の含有が裏付けられた。また混合飼料についても、配合飼料とヒラミレモン残渣の重量比を1:1にしたものがベストであることもわかった。
さらに、沖縄県産養殖魚として、脂が乗り食味の良いスギ(クロカンパチ)について、養殖業者から提供を受け校内水槽で給餌実験を行い、試食アンケートを実施。その結果、給餌2日目から9割の人がヒラミレモンの風味や香りを感じたと答え、短期間で高い効果を得ることができた。
ホテルや居酒屋にも卸され高評価
フルーツ魚として研究開発した内、一部のマダイはすでに養殖業者から県内のホテルや居酒屋に卸され、高い評価を得ている。低迷する沖縄の魚類養殖の中で高校生が商品開発に取り組み、ヒラミレモンの付加価値も高めた今回の活動は、非常に大きな成果といえる。