使われなくなった 車いすをもう一度
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神戸市立科学技術高等学校
活動内容について
空飛ぶ車いす研究会の活動内容はこちらよりご覧ください。
16年間で約2700台の車いすを再生
少子高齢化が進む中、日本で廃棄される車いすは年間約5万台。持ち主の思い出が詰まった車いすの処分に困る人が多いうえ、金属や合成繊維、電動部品など「資源のエコ」を考えるうえでも一つの課題となっている。
一方、アジアの国々では車いすを必要としていながらも高価で入手できない人々が数多くいる。そこで神戸市立科学技術高校では、国内の病院や介護施設で使用しなくなった車いすを修理し、アジアを中心に入手が困難な人々に向け車いすを寄贈する活動を行っている。
開校した2004年、工業高校の特徴を生かしたボランティア活動を模索する中で出合ったのが日本社会福祉弘済会が主導する「空飛ぶ車いす」だ。中古車いすの修理、輸送、受け取りまでをボランティアで分担する活動で、開校以来16年にわたり修理に携わってきた。これまで修理した車いすは累計約2700台に上る。
部品の再利用などの工夫で環境に配慮
車いすの修理は重さの計測からタイヤ交換、ブレーキの調整までさまざまな工程がある。生徒たちは、工業高校ならではの学習を生かして制作したオリジナルの工具や部品を用いながら、一人で全ての修理工程をこなす。
単に中古車いすを直すだけでなく、工夫しながらさらなる環境配慮を意識している。寄せられた車いすの中で修理できないものは部品単位で再利用しているほか、修理の過程で出た金属ごみをリサイクルに回したり、不要になった制服を機械の汚れをふき取るためのウエスとして利用するなど、無駄を出さない修理方法が同校流だ。
出張修理で輸送コストを削減
さらに同校では年に1度、夏季休暇を利用して、近隣の養護老人ホームや車いすを寄贈しているタイを訪れての出張修理も実施。歴代メンバーは利用者の体に合わせて調節を行ったり、故障した車いすを整備したりと、使ってくれる人たちと交流しながら自らの活動の重要性も学んでいる。
目前に迫るのは修理総数3000台。改善・改良を重ね、より多くの台数を世界に届けるための効率的な作業方法を模索しながら、来年度はさらに出張修理の回数を増やして、輸送コストの削減にも一層力を入れていく。