土壌生物利用による循環型農業の研究
─シマミミズによるリンの循環─
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愛知県立安城農林高等学校
活動内容について
土壌研究研修班の活動内容はこちらよりご覧ください。
枯渇が予測されるリンの循環に挑む
「あ、もったいない」。愛知県立安城農林高校の活動は、生徒たちのそんな率直な思いから始まった。
同校では毎年トマトの水耕栽培を行っており、収穫後の葉や茎の残さ(残りかす)は堆肥に使えるが、根の残さは大量の水分を含むため土に還すしかなかった。そこで、何かに使えないかと考え調べてみると、都市部の植物工場をはじめ、残さの循環が全国的な課題であることがわかった。
生徒たちは、この問題では作物の地産地消と同様に、発生した場所で循環させる技術が求められていることに着目。具体的にはそれほど遠くない将来に枯渇が予想される「リンの循環」に絞って研究に着手した。
ミミズの生態研究が大きな成果に
ある日、根の残さにシマミミズがびっしり付いているのを発見。水耕栽培したトマトの根にはリンがたくさん含まれているため、その残さを食べたミミズの糞にもリンが含まれ、それを取り出すことができればリンを循環させることが可能となるのではないかと生徒たちは考えた。
そこで、ミミズの行動を丹念に観察すると、移動しながら糞をすることを発見。育苗箱を用いた装置を自作し、リンを含んだ糞土を短時間で確実に分離・回収する方法を開発した。早速比較実験をしてみると、トマトの根の残さを食べたミミズの糞土には、家庭生ゴミ由来のものに比べ、植物が使うことのできる有効態リン酸が約3倍含まれていることが確認できた。
循環型農業の実現に向け研究
トマトの根の残さ由来の糞土を用い、はつか大根を利用した発芽試験を行うと、培土のみのものよりも生育がよく、堆肥として利用できることが証明された。生徒たちはこの成果を発展させ、よりおいしく栄養価の高い野菜を作り、糞土や副産物の価値を高め、今後も循環型農業の実現に向け取り組んでいきたいとしている。