地域と世界をつなぐ「空飛ぶ車いす」
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栃木県立栃木工業高等学校
活動内容について
栃工高国際ボランティアネットワークの活動内容はこちらよりご覧ください。
目標・今後の計画
活動目標として、明日の地域社会と世界に貢献できる「心豊かな技術者を目指して」を掲げ、工業高校の特色を生かした車いす修理活動を行ってきた。使われなくなった車いすを地域の福祉施設などから提供していただき、私たちの手で修理をする。その車いすを必要としている世界各地(主にタイ)の人たちに送り届けるリサイクル活動を1992年より実施している。今後の目標として、タイに赴き同世代の現地生徒と交流をしながら、共にリサイクル活動を行っていくことで、現地生徒が車いす修理活動を積極的に行っていく、無償のリサイクル活動の輪を広げていきたい。
学校内では生徒全員が問題意識を共有することで、学校全体で取り組める体制づくりを進める。また、車いすを提供してくださった地域の方々には、活動の経過をフィードバックすることで地域との連携をさらに強め、地域から世界に向けたより“グローカル”なリサイクル活動を幅広く展開していく。
活動内容
1992年から始まったタイでの車いす修理も2016年12月の訪問で24回を数えた。今回は、栃木市内の福祉施設などから提供していただいた車いすを学校で修理し、タイ南部のクラビー病院に持参、12台の車いすを必要とする方々に贈呈した。さらに、地元クラビー・テクニカル・カレッジの生徒と共に、3日間の車いす修理活動を行い、計17台のリサイクルした車いすを利用者の方にお渡しすることができた。本校生2~3名にタイの生徒1名を加えたチームを作り、計5チームで作業にあたった。コミュニケーションをとるのが大変だったが、ボディーランゲージも含めて思いを伝えることで徐々に作業効率も高まり、ものづくりの楽しさを共有することができた。何より、身につけた技術を人のために役立てることの素晴らしさと大切さを伝えることができた。
タイでのリサイクル活動終了後には、学校の生徒全員を対象とした報告会を実施した。また、車いすの修理費用に充てるため、アルミ缶リサイクル活動も実施している。さらに、総合的な学習の時間(1年生対象)を利用して、車いすの乗車体験や車いす修理体験を実施するなど、学校内でのさまざまな活動を通して全校生徒がリサイクル活動を身近に感じ、目的を共有することができた。
地域の方々へは、地元新聞の取材、コミュニティーラジオの出演、地域イベントへの参加などを通じてタイで行った活動内容を報告、より多くの皆さんにこのリサイクル活動を知ってもらうことができた。また、学校周辺にある福祉施設に赴き、車いすの修理を行った。
成果・実績
これまで本校で修理し、リサイクルして送り届けた車いすは2023台(2017年2月末現在)に達し、それに加えてタイ現地では多くの車いすを修理し、手渡しすることができた。現在、新たにタイの生徒と共に車いす修理を行うことで、互いに刺激を受け、真しんし摯にリサイクル活動に取り組むことができている。その結果、自分たちにできるリサイクル活動の輪を広げ、タイで共に活動した生徒たちからは今後も継続してこの活動を行っていきたいとの言葉や思いを確認することができた。そのきっかけを作れたことが大きな成果である。
また、この活動の趣旨を本校の生徒全員で共有するための取り組みも行った。まだまだ十分とは言いがたいが、生徒一人一人が問題を意識し、自分にできることについて考え始めている。
この活動は、本校が主体となり大きな広がりを見せたが、地域の理解なしにはできなかった。地域の方々や協力団体より援助をいただき、不必要となった車いすを譲り受け、世界各地へと送り届ける活動を継続、そして発展させることができている。
私たちは、これまで一人でも多くの人たちにこの活動を知ってもらおうと、情報発信を積極的に行った。さらに、タイでも現地のテレビ局や新聞社の取材を通して、多くの人々にこの活動を知ってもらうことができた。その結果、車いすリサイクル活動の輪が地域から世界に向けてより広がっていることを実感している。