放置竹林の問題解決法
~新しい子実体栽培方法と普及~
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長崎県立諫早農業高等学校
活動内容について
食品科学部の活動内容はこちらよりご覧ください。
きっかけ
竹は生活様式の変化などで利用が激減し、使われない竹が森林に侵入するなどして日本の竹林面積は30年で約1割増加している。このため、背の高い竹が日陰を作って他の植物の生育を妨げたり、根が浅いため土砂災害が起きやすいなどの問題が起きている。
こうした中、生徒たちは微生物利用の授業で、長崎県で盛んに行われている菌床栽培について学び、栽培に主に用いられている米ぬかと竹の成分が類似していることを知った。そこで、竹をきのこの菌床栽培に利用することができれば、放置竹林問題の解決につながるのではないかと考え研究を始めた。
活動内容
生徒たちは、竹を用いたきのこの菌床栽培技術を確立するため、竹の添加量を変えて菌床栽培の状況を比較する実験をスタート。「椎茸」「舞茸」「きくらげ」の3種類で、それぞれベースとなる米ぬかに竹パウダーを0~100%まで10%刻みで添加し生育を観察した。その結果、竹0%と比較して竹60%以上では、椎茸で2倍、舞茸で3倍、きくらげでは2.4倍の速さで増殖することがわかった。
次に、竹の成分の違いによる実験を行い、カリウム、カルシウム、ナトリウムを7つの組み合わせで比較。すると、カルシウムが含まれる組み合わせで菌の増殖するスピードが速いという結果が得られた。さらに、竹による雑菌抑制効果についての検査も実施。竹が細菌やカビ類の成長を抑制し、逆にきのこ菌糸の成長が確認でき効果が実証された。
成果
研究成果を事業化につなげるため、生徒たちは全国15道府県のきのこに関連した事業所や農園、NPOなどとの連携を推進。特に、福岡大学の佐藤教授から竹研究のオンライン会議に招待されたことをきっかけに、全国できのこ栽培を展開している「ホクト株式会社」から実用化の意向が示され、試験栽培が始まっている。