故郷の豊かな自然を守ろう!
東日本大震災による工事の影響評価
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宮城県志津川高等学校
活動内容について
自然科学部の活動内容はこちらよりご覧ください。
貴重な生態系が根付く八幡川河口干潟を調査
志津川高校が位置する南三陸町は、東日本大震災によって大きな被害を受けた地域。フィールドワークの場である八幡川河口干潟は、公園が東日本大震災に伴う津波を受けて前浜に回帰し、徐々に泥や砂がたまって干潟環境が形成された。生徒らは八幡川河口の干潟の生態系を調査することで、防潮堤工事の影響評価や地域の自然保護、さらには復興を目指す町づくりにも寄与できるよう活動を行っている。
2017年から行っている生物調査では、干潟としての歴史が浅いにもかかわらず、レッドリスト掲載13種を含む多様な生物を発見。2018年からは、干潟に加えて八幡川下流域の生物調査も実施している。アユやミミズハゼなど海と川を行き来する回遊魚が多く、上流でみられる魚が下流にも生息し、さらに外来種が一種類も確認されていないという独特な生態系が残された貴重な環境であることが分かった。
生態系への影響を証明し、工事計画にも変化
2019年冬、河口付近での導流堤工事で干潟の一部に土砂が投入され、干潟への河川水の供給が断たれることとなった。
そこで2020年は、八幡川と河口干潟の生物調査を通じて、導流堤工事の影響評価を行った。その結果、過去4年間で最も多くの生物種を確認。注目されたのは、巻貝や甲殻類といった磯に多い生物が優勢になったこと。工事で水の出入りが制限され、磯のような環境に偏ったとみられ、生態系に影響を与えていることの証明となった。
この結果を受け、2020年8月下旬に完成した導流堤には、川と干潟をつなぐ3本のパイプが設置されることとなった。
調査結果を多くの人に伝えたい
今回工事計画に影響を与えたように、生徒たちが取り組んできた調査は、人と自然の歴史を記録した貴重なデータになってきている。生徒たちは「南三陸町の自然環境の変動を自分たちで調査し、地域保全につなげていくため、調査結果を多くの人に伝えていきたい」と意気込んでいる。