森の想いを音色にのせて ~カホンを用いた森林環境教育の実践~
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愛媛県立上浮穴高等学校
活動内容について
森林環境科 カホンプロジェクトチームの活動内容はこちらよりご覧ください。
林業が盛んな地域こその危機感
愛媛県立上浮穴高校のある久くま万高原町は、森林面積が90%以上を占め、古くから林業の盛んな地域。しかし、久万高原町を含め、日本の森林は伐採の遅れが顕著で放置林解決が重要な課題となっている。このことに危機感を抱いた生徒たちは、2014年度から森林にかかわる環境活動を実施している。
活動は森林環境科で学んだ知識や技術を活用するもので、「持続可能な森林管理技術の確立」「木材利用の推進と啓発」「SDGs達成に向けた取り組み」が3本柱。そこでまず、愛媛県林業技術センターの協力を得て演習林の立木密度を調査して伐採を行い、適正な密度に誘導する森林管理を実践した。
次に生徒たちは、木材利用の推進と環境教育のため「カホン」に注目。カホンは「箱」という意味を持つ南米ペルー発祥の楽器で、椅子のように座り打面を叩いて音を出す楽器である。
5年で1291個のカホンを製作
最近ではさまざまな材質が出回っているカホンだが、もともとは木材で作られており、生徒たちは地元の木材を使って製作できることを確認。このカホンづくりは、森林や木材に興味がなくても、音楽に興味を持つ人たちが参加してくれることから、5年間で41回のワークショップや演奏会を開催し、累計1291個のカホンを製作した。2018年からの1年だけでも、24回のワークショップを行い、延べ612人が参加し、532個のカホンを製作。ワークショップでは、森林や林業の現状に関するクイズも行い、楽しく森林や木材、環境について考えてもらうことができた。また専門家の協力を得て、カホンに使用している木材の炭素量測定を実施。カホン1個当たりの炭素量をレジ袋と比較すると、5年間で製作したカホン1291個でレジ袋45万枚分の炭素を固定し、地球温暖化防止に貢献した試算結果が得られた。同時にこれは、木材利用への貢献にもなっている。
多くの人が興味を持つきっかけに
生徒たちは、環境問題の解決やSDGsの達成には「1人の100歩より、100人の1歩が大切」という考えを実践。森林や環境に興味がない人にも、できるだけ興味を持ってもらうきっかけとしてカホンが効果的に活用できた。今後は、現在未利用の木材の活用を目指している。