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細菌の力で髪の毛を有機窒素肥料に!
~化学肥料の低減に向けて~

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細菌の力で髪の毛を有機窒素肥料に! ~化学肥料の低減に向けて~

広島県立西条農業高等学校

活動内容について

自然科学部の活動内容はこちらよりご覧ください。

きっかけ

国内で利用されている化学肥料の原料のほとんどは、海外からの輸入に依存していて、価格の高騰や調達が困難になるリスクがある。解決策の一つとして関心が高まっているのが、未利用資源から肥料成分を創り出す技術の確立だ。そこで目に留まったのが、養鶏を行う本校の生徒にとって身近な羽毛。食肉加工の際に生じる羽毛は、有効活用できていない未利用資源だと気が付いた。活用方法を探るなかで、美容室で廃棄される毛髪は事業系一般廃棄物として有料で廃棄されていることも知った。羽毛と毛髪を、有機窒素肥料として活用する技術の模索が始まった。しかし、そこで立ちはだかったのが、羽毛や毛髪の主成分であるケラチンの、分解されにくいという性質である。

活動内容

まずはケラチンを分解する細菌を、見つけ出すところからスタート。国立研究法人から細菌を見つけるための培地の成分の組み合わせや、培養方法について指導を受けながら進めると、校内の土壌から、ケラチン分解細菌を4種類発見することができた。細菌の量や組み合わせを工夫して羽毛に添加したところ、毛髪が目視で確認できない状態まで分解された。
しかし、分解された羽毛が、植物が吸収できる窒素化合物にまで分解されているかはわからない。そこで、小松菜を水耕栽培して確認することにした。

成果

水耕栽培の結果、ケラチン分解細菌は羽毛や毛髪を分解し、その分解産物を小松菜が吸収していることが明らかになった。続けて、土壌栽培でも確認。すると、市販の培養土で育てた小松菜よりも、羽毛や毛髪から作成した肥料で育てたものの方が、大きく育つという結果に。食味試験を行ったところ、市販のものより苦味が少なく甘みが強い、おいしい小松菜が栽培できた。

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