公益財団法人イオン1%クラブ

肥料3分の2削減プロジェクト
~Re:温故知新~

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肥料3分の2削減プロジェクト ~Re:温故知新~

宮城県農業高等学校

活動内容について

作物部門の活動内容はこちらよりご覧ください。

きっかけ

授業の一環で米や大豆を育てる作物部門は、重大なミスに気づき頭を抱えた。肥料を散布し忘れて米の田植えをし、すでにひと月が経過していたのだった。あわてて肥料を散布したものの、収穫は絶望的だと思われた。しかし予想に反して、稲は通常の1.5倍のスピードで成長。田植えのときに肥料を散布しなくても、収量や味わいが劣らないという稲作の定説を覆す結果を得た。
調べてみたところ、無肥料で田植えをした場合、栄養を確保しようと通常よりも稲の根が増えることがわかった。さらに調査を進めるなかで、無肥料で育て始めて根が増えると、その後は収穫するまで肥料をそれほど散布せずとも、健康に育つという、約80年前の研究結果を得た。生徒たちはこの性質を“ど根性理論”と名付け、うまく活用することで従来よりも少ない肥料で栽培できると推測。しかし肥料を稲の生育途中で散布する作業は、負担が大きい。そこで、従来通り田植えのときに散布しながらも、途中で散布するのと同じ効果を得られる新肥料の開発に乗り出した。

活動内容

着目したのは、散布してから時間をかけて溶けるウレアホルム肥料。田植えから間もない時期には肥料の効果が発揮されないため、根の増加を促せると仮説を立てた。
従来使用している肥料を6kg散布する対象区と、ウレアホルム肥料を2kg散布する試験区で比較実験を行った。

成果

田植えから2カ月ほど経ってから根の生育を確認すると、試験区の根は対象区と比較して2.8倍長く、1.4倍太かった。ウレアホルム肥料であれば、無肥料で田植えをするのと同様に根を増加させられるという仮説が立証された。
さらに栄養が効率よく摂取されることもわかった。イネ科作物では生育する段階で、穂がつかずに枯れてしまう茎が発生する。それが試験区では全ての茎に穂が付いた。肥料の散布量が少なかったため、茎の過剰な生育を防ぎ、1個体あたりの茎の数が抑えられたためだと考えられる。
収穫後にできた量は、試験区と対象区で同程度となった。また味わいは試験区の方がよいという結果に。食味計を使って検証すると、食味を低下させるタンパク質の含有量が、対象区と比べて少ないことがわかった。
実験の結果、ウレアホルム肥料を使うことで通常の1/3程度の量の肥料でも、問題なく米を栽培することができた。78.2%の肥料費削減にもつながっている。

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