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草花による環境浄化活動

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草花による環境浄化活動

青森県立名久井農業高等学校

活動内容について

TEAM FLORA PHOTONICSの活動内容はこちらよりご覧ください。

目標・今後の計画

近年、地球規模の大気汚染が問題となっている。しかしこれは特殊なものではなく、私たちの生活の中でも発生している。そのひとつがシックハウス症候群や介護施設の室内空気汚染である。空気清浄機を活用すれば良いのだが、今の日本はエネルギー不足である。そこで私たち草花研究チームは専門知識をいかし、草花で汚染物質を吸収して室内空気汚染を改善することを目標に取り組むことにした。計画は草花による室内空気浄化の方法の確立。水質浄化への応用。そして普及の3つとし、社会貢献活動に挑戦した。

活動内容

2012 年から取り組んできた予備実験で手応えを感じた私たち 7 名は、2013 年 4 月から密閉容器内で本格的な実験を行った。草花の名前はツリフネソウ科のサンパチェンス。日本の種苗メーカーが開発した美しい花を春から秋まで咲かせ続ける花壇用草花である。このサンパチェンスは気孔が多く、二酸化炭素吸収力が高いことがわかっている。しかし室内は花壇と違い光不足のため思うように光合成ができないかもしれない。そこで光を感じやすくなる植物生長調整剤アミノレブリン酸を散布した。サンパチェンスとアミノレブリン酸は特殊なものではなく普通に園芸店で手に入る。このようにして育てたサンパチェンスを学校や自分たちの家に設置し、空気浄化試験を行った。この活動はサンパチェンスを開発した種苗メーカーの耳にも届き、無償で花を提供していただいた。またサンパチェンスを植えた鉢を富栄養化状態の湖沼を再現した水槽に入れ、水質浄化できるか実験を行った。富栄養化とは湖沼に生活排水が流入し、アンモニア態窒素やリン酸などが過剰に増え、その結果、アオコなど藻類が発生し、景観を悪化させる現象である。鉢を池につける際は、苗鉢の底を事前に2cm 程度水に浸け、水中でも呼吸できる水中根を発生させた。また草花が富栄養化の原因となっているアンモニア態窒素を効率的に吸収できるように、鉢底に硝化菌という微生物をイクラ状にしたビーズを入れるなど工夫した。硝化菌はペットショップで購入できる安全な微生物である。
2014 年は水質浄化試験を再度繰り返し行い、効果を確認した。そして 6 月には南部町や八戸市の協力もあり、地元の都市公園内の修景池に設置した。
実証試験では水質浄化はもちろん、湖水にきれいな花を咲かせる水上ガーデニング機能があるのかを検証した。町と連携して行った室内及び水質環境浄化試験は、誰でもできる環境浄化活動として新聞やメーカー等によって取り上げられ、地元はもちろん広く全国に紹介されている。

成果・実績

サンパチェンスによる浄化は想像以上の成果をあげている。2013 年に実施した空気浄化実験では優れた二酸化炭素吸収力とともにホルムアルデヒドなどシックハウス症候群の原因となる汚染物質まで早く吸収してくれることがわかった。またアルコール臭の低減にも効果があった。そこで校内に飾ったり、校長室に置かせてもらっている。また地元の介護施設やペットショップにも提供し、実用化と普及に努めている。さらに現在、東日本大震災によって新設された仮設住宅でシックハウス症候群による環境汚染が発生していることを知った私たちは岩手県山田町に出向き、仮設住宅にも提供し社会貢献活動を行った。その結果、浄化はもちろんだが室内にきれいな花が咲くことで癒しになったと高く評価していただいている。また空気浄化を応用した水槽での水質浄化試験では想像以上の成果をあげた。私たちが開催している地元の中学生対象に行った環境教室でもこれを取り上げ、大いに注目された。
2014 年になると新たに仲間に加わった 2 年生 5 名とともに水質浄化の実用化を目指した。その結果、水槽実験ほどではないが高価な大型浄化装置を導入しなくても、徐々に水質が改善されることがわかった。さらに池にきれいな花が春から秋まで咲き続け、素晴らしい景観を提供できることもわかった。これにより水上ガーデニング、水上花壇という今までなかった園芸ジャンルが誕生している。このようにサンパチェンスを使った環境浄化活動は誰でも行うことができる活動である。新聞やメーカーの広報もあり、広く普及していうものと思われる。2020 年に開催される東京オリンピックではこんな環境浄化植物でおもてなししたいと考えている。

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