里山づくりによる環境保全と
「オオムラサキプロジェクト」
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兵庫県立神戸北高等学校
活動内容について
ボランティア委員会の活動内容はこちらよりご覧ください。
活動内容
私たちは「里山づくりによる環境保全とオオムラサキプロジェクト〜住んでてよかった町・唐からと櫃」というテーマで活動しています。本校生徒会とボランティア委員会を中心に、各運動部・文化部、福祉・ボランティア類型の生徒や有志の生徒など、毎回40〜60人が参加し、6〜10人の地域ボランティアの方々と一緒に活動しています。活動時間のうち、前半は、地域ボランティアの方々から、稀少植物や昆虫など里山に生きる動植物について説明を受けながら里山の自然環境について学び、後半は里山の環境保全活動を行っています。春から夏にかけては、下草刈りや、不法投棄された廃棄物の回収をしています。
また、夏にはセミの抜け殻を集めることで、里山でセミがどれだけ生まれたか調査しています。抜け殻は、里山生まれのセミの生育状態を把握する指標になることを教わりました。秋から冬にかけては、木の枝打ちや遊歩道の整備などを行ったり、「ササユリ」をはじめとした貴重な植物が、春に芽吹き、育つように整地活動をしたりしています。また、準絶滅危惧種に指定されている国蝶のオオムラサキを里山に放つという「オオムラサキプロジェクト」を計画し、7年前からオオムラサキの産卵や幼虫の食餌として榎の手入れをして、一から環境作りをしてきました。そして今年は、ケージを作り、丹波の森公苑からいただいたオオムラサキの幼虫を放ち、羽化させました。オオムラサキを里山で飼育することが初めての試みだったので、手探りで飼育していたのですが、7月に西日本で大きな被害をもたらした豪雨の影響で、4匹羽化したオオムラサキのうち3匹が数日の内に亡くなってしまい、オオムラサキの餌場環境が私たちの用意したものでよかったのか、はっきりと分かりませんでした。しかし、残りの1匹は大嵐の中で約2週間生きていたので、餌場の役割として機能していたと思われます。羽化したオオムラサキを見に来た地域の方々からは、「貴重なオオムラサキを見ることができ、唐櫃に住んでいてよかったです」と感謝の言葉をいただきました。
成果・実績
チゴユリ、アリマウマノスズクサ、オオトラノオなどの希少種が復活してきていることです。なかでもササユリは、初めは盗掘がありましたが、高校生の活動として地域の方に広報したことやチラシを作成し里山に掲示することで、ここ数年盗掘が減ってきています。また、今年は丹波のオオムラサキをいただきました。遺伝子の多様性の保全という問題により、ケージの中という閉鎖的な空間での飼育でしたが、幼虫を羽化させることができました。榎を育てることから始めたので、とても長い年月がたちましたが、飼育するという私たちのひとつの目標が達成できたのでよかったと思います。
特に大きい成果としては、街の活性化につながっているということです。里山を整備することによって芽生えてきたササユリなどの植物や、今年羽化したオオムラサキを里山まで見に来る方もいらっしゃるようになりました。「きれいになった」「気持ちよくなった」という言葉や、「ありがとう」「ごくろうさま」といった温かい言葉をかけていただきます。準絶滅危惧種の「オオムラサキ」を飼育する計画は、多くのところで実践されていると聞いています。オオムラサキを保護する活動は、実は榎を植樹することで里山を復活・整備させる象徴的な活動として始められたと聞いています。本校でも7年前に榎を植樹したことで、先輩たちは榎の幼木を覆う大木を剪定するなど、里山に太陽光を取り入れるための活動を続けて、成長を見守ってきました。その結果、今年のオオムラサキのプロジェクトにつながりました。
目標・今後の計画
今回いただいたオオムラサキは丹波のオオムラサキだったので、遺伝子の多様性の保全という問題で自然界に放してやることはできず、ケージの中での飼育となりました。そこで次回は、六甲山系のオオムラサキを入手し、育成方法や繁殖などについて研究を進めていきたいと考えています。次に、本来ならば今年、地域の小学校に羽化したオオムラサキを提供し、学習の援助をする予定でしたが、大嵐が続いたために実行することができませんでした。そこで来年は、地域の小学生や中学生との共同作業などの活動となるプログラムを考え、環境学習の援助ができるようにしていこうと考えています。目標は、六甲山系のオオムラサキを、小学生と一緒に放蝶することです。一番の課題は、この町に国蝶であるオオムラサキが飛び交うようにするために、里山を整備する活動を継続することです。