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里山に風穴をあける ~どこでもできる休耕田オーナー制度の提案~

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里山に風穴をあける ~どこでもできる休耕田オーナー制度の提案~

岐阜県立加茂農林高等学校 

活動内容について

林業工業科環境班の活動内容はこちらよりご覧ください。

目標・展望

(背景)私達は平成 20 年度から「地域の里山環境の保全」というテーマで、様々な活動に取り組んできました。その中の活動場所の一つである、美濃加茂市山之上町には、県内でも有数の果樹農園が広がり、今でも里山の原風景が残る素晴らしい所です。しかし、ここ数年鳥獣による農作物の被害などにより、耕作放棄される田畑が目立つようになり、その耕作放棄地をなんとか減らせないかと考えていたところ、ある画期的なアイディアがひらめきました。
(提案)その秘策の助っ人は、「日本ミツバチ」です。その内容を一言で説明すると、「耕作放棄地を管理してもらえるオーナーさんを見つけその人に管理をしてもらい、そのお礼として日本ミツバチ群をプレゼントする」というものです。まず手始めに農家の近くにある休耕田を、農家さんが各自で交渉し借りてもらいます。その休耕田のオーナーとなった果樹農家さんには、そこをお花畑にするなどし、年間を通して維持・管理をしてもらいます。そして、管理して頂ける果樹農家さんには、日本ミツバチ群を無償で譲渡します。その後は私たちが養蜂のアドバイスを行い、順次蜂の群数を増やし規模を拡大していくという内容です。
(目標・展望)ミツバチの飼育者は、蜜源を確保する必要性に迫られ、休耕田を継続的に管理する必然性が発生するため管理が持続します。今回は地域を限定し、果樹農家さんにターゲットを絞っていますが、対象は「荒れた人工林」や「竹林」などでもできると思います。私たちはこの休耕田オーナー制度を全国に波及させ、日本各地の里山保全に悩む人達の、一助になれることを夢見ています。

活動内容

研究開始当初は単発的に里山を保全するだけに留まっていました。しかし、それでは継続性がないことに気づき「保全するだけの里山から、何かを生み出す里山への転換」を念頭に置き研究を開始しました。そこで、平成 24 年度からは蜂を利用し、里山でお金を生み出すことを考え「クロスズメバチ」の養殖に着手しました。私達の活動の可能性を高く評価してもらい、平成 24 年度「下中科学研究助成金」を頂き、現在も研究を行っています。さらに、25 年度からは「日本ミツバチ」の魅力を武器に、地域の課題である耕作放棄地を減らす研究を開始しました。
今年度新たに環境班に加わった 8 人と共に、4 月研究がスタートしました。まずは、本研究を進める上で、どうしても欠かすことができない「日本ミツバチ」の捕獲に全力を尽くしました。昨年度末から沢山の巣箱を製作。蜜蝋を塗り、キンリョウヘンの準備も万全でしたが、ミツバチの捕獲は簡単にはいきませんでした。そこで、日本ミツバチを飼育してみえる地元の山田さんに相談したところ、私たちの研究に共感して頂き、分蜂群を 4 群も分けて頂きました。今ではその山田さんが、私達の養蜂の先生となっています。
5 月、4 群からスタートした私達の養蜂は、その一週間後には 3 群に減ってしまいました。巣箱の設置場所が悪く瞬く間に逃亡、まさに痛恨の一撃でした。その後は「スムシ」対策を十分に行い、絶対に逃げられないよう、大切に育てています。
また、同時進行で私達が考えるシステムのチラシを作製し、果樹農家を廻り営業活動を展開しました。先生からチラシ 20 枚とカメラを渡され、車から降ろされました。高校生だから、協力的な対応をしてもらえるだろうと考えていましたが、そんな甘いものではありませんでした。時には素っ気ない対応で、悲しい想いもしましたが、頑張ってチラシを配り続けました。しかし、なかなか賛同してくれる農家さんは現れず、路頭にまよいそうになったころの8月の終わりに、ようやく協力して頂ける農家さんと出会うことができました。現在はその丸真農園の橋本さんと、休耕田 3枚をレンゲ畑にする計画を進めています。
また、私達自身も休耕田の管理を行っています。西禅寺の住職さんや日比野電気の会長さんから休耕田をお借りし、もち米やヒマワリ、ソバの栽培を行っています。
さらに、地域の里山の大切さを伝えるため、地元山之上小学校の生徒と、休耕田を活用してのサツマイモづくり。冬季湛水・不耕起栽培の田んぼにて、生き物の調査等も終了し、現在計画通りに進んでいます。

成果・実績

今回のミツバチを利用したプロジェクトは今年度から新たにスタートしたもので、始めの頃はなかなか賛同してくれるという人が現れず、本当に苦労しました。しかし、ようやく 8 月下旬、協力者第一号が現れたときは本当に嬉しかったです。現在の協力者は 4 名となり、ようやくこの制度の手応えを感じ始めると同時に、「このシステムにより、休耕田を減らすことができる」ということを確信しました。
さらに地元の「山之上まちづくり協議会」や商業施設の「日本昭和村」も加わり、地域、企業、行政、学校の四者が連携して、この制度を進めていくことが決まり、どんどんと話が膨れあがってきました。
また、様々なコンテストにも参加させて頂き、第 3回「高校生環境活動発表会全国大会」優秀賞、第 20回コカ・コーラ環境教育賞「次世代支援部門」優秀賞なども頂くことができました。それらのコンテストで頂いた活動支援金のおかげで、本活動がなり立っています。また、様々な所での発表会の参加や、マスメディアなどに取り上げて頂き、情報発信してきましたが、まだまだ知名度は低く宣伝が不十分であると考えます。そこで、本大会を通し、一人でも多くの方の目に触れるチャンスを頂ければ幸いです。

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